7月31日、日本共産党都議団は、小池知事あてに「東京2020大会の開催時期の再検討を求める申し入れ」、8月1日には組織委員会に対しても申し入れを行いました。
気象庁が「いのちに関わる危険な暑さ」「災害と認識」と発表したように、深刻な問題としてこれらを考える必要があります。
こうした状況で、選手がパフォーマンスを発揮できるのでしょうか。8万人の大会ボランティア、3万人の都市ボランティアの人たちの健康上の安全はどう考えるのでしょうか。屋外競技の観客が、長時間にわたり炎天下の元にいるという現状はどう考えるのでしょうか。
次の表は、環境省のホームページをもとに「熱中症指数」を時間ごとに明らかにしたものです。ピンク色の部分が「原則は運動中止」(熱中症指数31度以上)、黄色の部分は「厳重警戒」(同28〜31度)です。
一目瞭然ですが、日中は大部分が色がついています。
「運動は原則中止」は8時〜16時、「厳重警戒」は6時〜19時まで広範囲に分布しています。
この酷暑が、今年だけと言い切れるものは何もありません。
国会議員団も小池書記局長が「暑さ対策を心配するなら、オリンピックの開催時期を9月や10月に変えるべきだ」と指摘。1964年の東京五輪では10月10日が開会式だったとして、「『アスリート・ファースト』というなら秋に移すべきだ」と表明しています。
共産・小池氏、五輪「暑さ対策なら9月か10月開催を」:朝日新聞デジタル https://t.co/BGEoZ6kcPk
— 小池晃 (@koike_akira) 2018年7月31日
以下、申し入れ全文です。
東京都知事 小池百合子 殿
東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長 森 喜朗 殿
2018年7月31日
日本共産党東京都議会議員団
東京2020大会の開催時期の再検討を求める申し入れ
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開会まで2年を切りました。今夏、気象庁が「いのちに関わる危険な暑さ」「災害と認識」と述べる猛暑により、熱中症の深刻な被害が広がっています。7月1日から26日の東京消防庁の熱中症による救急搬送件数は3946人にものぼり、26日現在の集計によれば特別区内だけで83人もの方が熱中症で死亡しました。
こうしたもとで、多くの都民から「この時期の五輪開催で本当に大丈夫なのか」と心配の声があがっています。東京都と組織委員会は、競技の開始時間を朝7時などに前倒しすることをはじめ、マラソンコースに遮熱性舗装をして路面温度を抑える、送風機やミストなどにより涼める場所を増やす、会場に入る観客の手荷物検査の待ち時間を20分以内にするなどの酷暑対策を検討しています。
しかし7月13日以降、朝7時でも熱中症指数が「厳重警戒」である28℃を超える日が続き、朝9時には「運動は原則中止」である31℃以上となる日が相次ぎました。専門家からは「そもそも7月下旬という開催時期に問題があり、鍛えられた選手でも、力の発揮どころか脱水症状や熱中症で命の危険にさらされる」との指摘がされています。海外メディアも「猛烈な暑さで選手と観客の体調への不安が高まっている。夏の開催についての疑問が再燃した」と警鐘を鳴らしています。
日本共産党都議団は過去にも五輪開催時期の変更を提案しましたが、東京都は「国際オリンピック委員会(IOC)の定めで、7月15日から8月31日までの間に開催することとされている」「1991年には東京で同時期に世界陸上を開催しており問題ない」と答えてきました。しかし今日の状況を見れば、2年後も「災害」レベルの暑さとなる可能性は否定できず、アスリートや観客、ボランティア等を危険にさらしかねない時期の開催でよいのかどうか、改めて検討する必要があります。
オリンピック憲章は、IOCの使命と役割として「選手の健康に関する対策を奨励し支援する」ことを掲げ、また「スポーツと選手を政治的または商業的に不適切に利用することに反対する」としています。IOCが開催時期を夏と定めているのは放映権料のためだとされていますが、今後、オリンピック・パラリンピックを健全に発展させていくためにも、そこから脱却する必要があります。
日本共産党都議団は、東京2020大会の開催時期について、専門家やアスリートの意見を再度聞きながら、9月、10月に開催することも含めて改めて検討することを強く求めるものです。
以 上
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