レンタル店で借りて観賞した映画『耳をすませば』の感想です。
あらすじ(HPより転載)
読書が大好きで元気いっぱいな中学生の女の子・月島雫。
彼女は図書貸出カードでよく見かける、ある名前が頭から離れなかった。
天沢聖司―――全部私よりも先に読んでる―――
どんなひとなんだろう。
あるきっかけで“最悪の出会い”を果たした二人だが、
聖司に大きな夢があることを知り、次第に惹かれていく雫。
聖司に背中を押され、雫も自分の夢を胸に抱くようになったが、
ある日聖司から夢を叶えるためイタリアに渡ると打ち明けられ、
離れ離れになってもそれぞれの夢を追いかけ、また必ず会おうと誓い合う。
それから10年の時が流れた、1998年。
雫は、児童書の編集者として出版社で働きながら夢を追い続けていたが、
思うようにいかずもがいていた。
もう駄目なのかも知れない―――そんな気持ちが大きくなる度に、
遠く離れたイタリアで奮闘する聖司を想い、自分を奮い立たせていた。
一方の聖司も順風満帆ではなかった。
戸惑い、もどかしい日々を送っていたが、聖司にとっての支えも同じく雫であった。
ある日、雫は仕事で大きなミスをしてしまい、仕事か夢のどちらを取るか選択を迫られる。
答えを見つけに向かった先は―――。
『耳をすませば』と言えばジブリ映画のアニメ作品が有名ですが、だいぶん昔に観たという記憶はあるもののどんなストーリーだったかはほぼ忘れてしまってました。この映画は、その『耳をすませば』の実写化作品で、原作にはないその後の10年後が描かれていた映画でした。昨年の秋に、宿泊した神戸フルーツフラワーパークのホテルのフロントにホテルの敷地内でロケされたことが宣伝されていていつか観賞してみたいなあと思っていた映画でした。このホテルで宣伝されていたシーンは噴水の付近で撮影されたシーンが最後のほうで出てきていたのを見つけました。昔アニメで観たときの記憶を辿りながら観賞しました。アニメとこの映画は少し設定が違っていたようにも思いました。実写化の『耳をすませば』は、月島雫(中学生時代は安原瑠那さん、10年後は清野菜名さん)と天沢聖司(中学生時代は中川翼さん、10年後は松坂桃李さん)の出会いとその10年後を中心に遠距離恋愛を描いた作品でした。
読書が大好きな月島雫と天沢聖司の出会いは中学生の頃でした。雫がいつも借りて読もうとした本の図書カードに自分より先にいつも天沢聖司という名前が書かれていて気になっていたことがきっかけでした。本に付いていた図書カードに名前を書くしくみになっていた頃のお話なので、現在ではもうほとんどの図書館では図書カードにその本を読んだ人の記録は遺さないようになっている図書館が多いので、一時代前の懐かしい図書館での出会い方はノスタルジックですね。今だったらこういう出会い方はもうできない状況なのでしょうと思いました。この映画の中での二人が連絡を取り合うときに公衆電話でテレホンカードを入れて会話していましたし、手紙でやり取りしていたシーンを観ていたらひと昔前の時代の様子を思い出し懐かしかったです。
お互い繋がって惹かれ合っていた雫と聖司の関係が10年以上も会ってないと不安になるときがあるはずなのでしょうが、二人にしかわからない年月の距離感とお互いの信頼感は当時者にしかわからない年月を通り超えたところで確固とした繋がりがずっと保たれていたということが上手に描かれていたように思いました。このような長い年月を超えても、ずっと出会った頃のままの繋がり方ができている人々は世界中にきっとたくさんおられるのでしょうと思いました。また、その繋がりは当事者の二人にしかわからないものだったりするので、他の人がとやかく言うようなことではないのでしょうとも思いました。中学生のときに交わした二人の指切をした約束は雫と聖司にとったら忘れることのない掛け替えのない繋がりだったことがよく伝わった映画だった気がします。
この映画を観ていて、印象的に思ったのは、聖司の祖父が営む地球屋で、大人になっていた雫が「耳をすませば心の声が聞こえてくるんです。」と聖司の祖父に投げ掛けられたこの言葉でした。その言葉を聞いた雫が自分の奥底にあった心の声を振り返り、押し潰されそうになっていた自分の夢や気持ちに気付き、物語を書き続けようと決意したようなシーンでした。また、この映画で歌われていた『翼をください』を雫が聖司の演奏に合わせて心の声を思い切り出しながら歌っていたように感じたシーンもとても印象的でした。10代のときの二人と10年経った二人がリンクしながら歌っていたシーンでした。ジブリアニメでは「カントリーロード」がこのアニメのすべてを語っているような主題的な歌でしたが、この実写版では「翼をください」が主題を表す歌として何度も流れていました。これらの歌からもわかるようにジブリアニメとこの実写版で描かれていた主題はそれぞれが違っていたかのような印象を受けました。この実写版の映画はジブリアニメと原作は同じでもアニメとは違った側面を描いていたような映画だった気がしました。また、この映画を観終えた後、ずっと前にNHKで放映されていたみんなの歌の「ゆびきり」という歌の歌詞やシチュエーションとぴったり合っていたことにも気が付きました。