日本を戦争する国にさせないために
憲法記念日にあたってのアピール
日本国憲法が施行されてから本日で67年目を迎えました。日本国憲法は侵略戦争の教訓を活かした誇るべき九条を含む平和主義と基本的人権、民主主義の原則に則った世界で最も進んだ憲法です。ところが、この憲法がいま大きな試練のときを迎えています。
改憲勢力が国会で多数を占めていることを背景に安倍政権は憲法改定の道を暴走しています。特に重大なことは、安倍政権が、「明文改憲」の前に「解釈改憲」によって集団的自衛権行使を可能にし、まさに「戦争をする国」づくりにまい進しようとしていることです。
日本は、戦争をしないと固く誓って戦後再出発をしました。それが憲法9条です。集団的自衛権の行使は、戦後外国人を1人も戦争で殺さず、殺されなかった日本を180度変える重大なことです。安倍政権は、憲法96条の改定に対して国民の反対が強いことから、これを無視して「閣議決定」で憲法の中身を変えてしまう「解釈改憲」をねらっているのです。
つまり、「解釈改憲」とは、国民主権の立場で国家権力を制限し、国民の人権を守るという憲法の本質的役割である立憲主義の原理を真正面から踏みにじるもので、まさにクーデターです。
さらに、安倍政権は、2013年の臨時国会で、外交・安保政策の「司令塔」となる国家安全保障会議(日本版NSC)法と、秘密保護法を強行的に成立させ、その後「国家安全保障戦略」を閣議決定し、それに基づく新「防衛大綱」、新「中期防衛力整備計画」を策定しました。これは従来の「専守防衛」の建前さえも投げ捨てて、自衛隊の侵略的機能の強化を図ろうとするものです。
また、安倍政権は、過去の日本の侵略戦争と植民地支配を肯定・美化する歴史逆行の本性をむき出にし、大きな国際問題にもなっています。安倍首相の「靖国神社参拝」と、「村山談話」と「河野談話」の見直しに言及していることは、中国や韓国からの厳しい批判とともに、米国からも異例の批判が出されています。
そのうえ、政府は、従来から踏襲されてきた「武器輸出三原則」を撤廃して武器輸出を認める「死の商人」の国家へ変貌しようとしています。 安部政権のこのような異常な軍事一辺倒の姿勢は、周辺諸国から警戒を持って受けとめられるだけでなく、世界各国からも懸念の声を呼び起こしています。
沖縄では、普天間基地の辺野古移設を日米両政府が、地元名護市民と沖縄県民の反対の意思を無視して新たな基地を建設しようとしていることと同時に、政府が策定した「防衛計画の大綱」で、尖閣諸島をめぐる中国との対立を背景に、南西諸島の防衛強化を打ち出し、石垣、宮古などに自衛隊の警備部隊を設置する計画をしていることは重大な問題です。
軍事的手段にもっぱら依存した安全保障という考え方から脱却し、対話と信頼、紛争の平和的解決など平和的アプローチで安全保障を追及するという新しい考え方で、平和憲法の精神に則り関係諸国と対話と協力の促進に力をつくすべきだと考えます。
私たちは、今こそこの憲法を守り生かしてこそ、国民が願う国づくりと世界から信頼される日本の針路が実現できると確信しています。その証拠に、日本国憲法九条がノーベル平和賞の候補になったということからも明確です。改憲派は国民との間に大きな矛盾を引き起こしており、国民の力を大きく結集すれば、憲法改悪は阻止できます。市民のみなさん、憲法の理念に合致するような社会にしていくために、そして軍事ではない平和な宮古を築くために一緒に手を取り合って運動を発展させようではありませんか。
2014年5月3日
みやこ九条の会