平和を創り出す宮古ネット通信

宮古島の平和を願う3人の市民が始めたブログ。平和を阻む政治状況とたたかう市民の行動を載せる。美しい自然、環境問題も。

宮古毎日新聞への投稿

2014-03-07 15:38:53 | インポート

 危険な野原岳レーダー 

糸満市  賀数清孝 

昨年1225日付の本紙によると、野原岳にある自衛隊レーダーを撤去し、新たなレーダー二基を設置するとのことである。新レーダーは遠距離用と近距離用から成り、2017年度の完成予定だという。現在すでに旧レーダーの撤去作業が始まっている。
 

設置から30年近くたった野原岳の旧レーダーの電磁波環境を調査するために、昨年123日に宮古島を訪れた。電磁波強度の測定は2日間かけて16カ所で実施したが、予想をはるかに超える強さであった。野原岳の西側はそれほど強くはなかったが、それでも一般の地域に比べるとかなり強かった。一方、野原岳の東側はとてつもない強さであった。恐らく全国一の電磁波汚染地域であろう。高い汚染の第1の原因はレーダーと民家が近すぎることである。

電磁波は、電磁波過敏の方々を除いて、ほとんどすべての人にとって、痛くもかゆくもないので、日常生活においては空気のような存在である。そのために、強力な電磁波を浴びていても誰もそれに気が付かない。それをいいことに、米軍や防衛省は設置してはならない場所にレーダーを設置したのである。そのために、周辺住民は30年近く自衛隊レーダーによる電磁波汚染にさらされてきた。住民無視、軍事優先の典型である。
 

野原岳の西側の強度は、欧州評議会議員会議(EUを含む47カ国318名で構成)の基準値の2060倍であったが、東側は基準値の370倍から2000倍を超える強さであった。その強さは1630m離れても590倍に達していた。野原越の交差点の測定値は2000倍(測定器の限度)を超えており、民家の多いその周辺地域は特に深刻である。
 

電磁波はなぜあぶないのだろうか。その最も大きな理由は、現在までに「がん、脳腫瘍、不妊症、アルツーハイマー病、うつ病、自閉症など」の病気の原因であるという膨大な研究がなされていることである。レーダーや携帯電話などの電磁波(高周波)の悪影響の研究は非常に多い。例えば、脳を電磁波にさらすと、脳を保護する関所(血液脳関門)が開き、脳の中に有毒物質が流れ込むことが知られており、また、電磁波に対して精子が非常に弱く、携帯電話を使うほど精子が減っていくことが実証されている。さらに、20歳未満から携帯電話を使用している人は、非使用者に比べて、脳のがんに3.1倍かかりやすいという研究もある。これらの研究を基にして、WHOの「国際がん研究機関」は電磁波には発がんの可能性があるとすでに結論づけている(20115月)。
 

現在、与那国でも、防衛省が陸上自衛隊の駐屯地を造り、レーダーを設置しようと計画している。その設置場所は民家のすぐ近くであり、周辺住民にとって大変危険である。ここでも住民無視の考えが一貫している。

 

琉球大学理学部教授