〈垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ〉
オスプレイが山口県の空を飛んだ。元住んでいた岩国から昔泳いだ瀬戸内海、生まれ故郷に近く親戚の多く住む下関沖で試験飛行を繰り返している。一度は民主党の前原政調会長が配備時期の見直しなどを画策したようだが、アメリカ側の壁は厚く、また尖閣の情況もあって米政府の事故調査報告を追認しただけの安全宣言をした。この宣言が何の裏付けのない虚偽であることは森本敏大臣はじめ防衛当局が一番よく知っているのであって、直近では大飯原発再稼動と共に、国による犯罪である。国は日米安保条約、日米同盟のために基地周辺住民、また訓練空域下の住民の命の危険を、犠牲として差し出したのだ。
新聞の報道では、アメリカがこんどの尖閣問題での日中関係の悪化を憂慮、困惑していると伝えているが、果たしてそうであろうか。不安をあおれば日米同盟の重要性への認識が高まり、オスプレイの普天間配備もやりやすくなったとほくそ笑んでいるように思えてならない。
日中関係の悪化で、日本への中国からの観光客のキャンセルが相次いでいるという。とくに沖縄への影響が大きい。いつもそうだ。9・11の同時多発テロの時も、沖縄への修学旅行が激減した。平穏でなければ成り立たない観光産業、地道な努力がフイになりかねない。漁業にしても昔は暗黙の了解で各国の船が混じり合って操業していたという。そこを線引きしたのだ。政治家たちが何かやるたびに事態は悪化する。
尖閣から約2000キロ離れた東京の、今回の直接のきっかけをつくったご老人はこの責任はどう取るのだろう。もっとも彼の頭の中には「日本の尖閣」はあっても「沖縄」はないのだろう。これを機会に軍国ニッポンを再興するつもりか。
ときを同じくして北沢俊美元防衛相がワシントンで、下地島に自衛隊訓練場計画を提言したという。2500M滑走路がすぐにでも使える下地島訓練飛行場は、自衛隊にとって喉から手の出るほど欲しい場所であろう。無人機の訓練場でASEAN(東南アジア諸国連合)の国も活用してもらえるというが、結局アメリカが出てくるとは火を見るより明らかだ。いよいよ正体を現したというかんじだ。
折しも、自民党の総裁選が終盤である。そのうちの二人が山口県選出。なかに「美しい自然と領土を守る」と詩的なことを言っているが、その美しい自然と領土の上をオスプレイが飛んでいる。二人は内心、何も起こらぬうちに早く沖縄に(行って)欲しいと思っているのだろう。
山口県出身が恥ずかしい(普)