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団塊オヤジの短編小説goo

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「腸チフスメリーと呼ばれた女性がいた」について考える

2011-06-10 09:38:11 | ニュース

今欧州各国では新型大腸菌O104の脅威にさらされています。新型大腸菌が出現する背景には清潔すぎる環境があるのだそうです。彼らは生き延びるために、更なる凶暴さを増しているのだそうです。

病原菌はいつ何処で私たちに襲い掛かるかわからないのです。

Photo_2 メリー・マロンは1900年代初頭にニューヨーク市周辺で散発した腸チフス(Typhoid fever)のうち7回は彼女が発生源だったそうです。そのため、彼女は1907年にNorth Brother Islandの病院に一旦拘留されましたが、1910年、食品を扱う職業にはつかないこと、定期的にその居住地を明らかにすること、という2つの条件つきで、隔離病棟から出ることを許され、再び自由を得ました。

「釈放」されてしばらくの間、メアリーは衛生局との取り決めを守って、洗濯婦など食品を扱わない家事使用人としての職に付き所在を定期的に連絡していたが、やがて連絡が途絶えて消息がつかめなくなりました。

次に彼女の居場所が明らかになったのは、釈放から5年後の1915年、再び腸チフス流行の感染源として見つかったときだったのです。

そのとき彼女は調理人として、しかもニューヨークの産婦人科病院で、偽名を使って働いていたそうです。そこで引き起こした腸チフスで25人の感染者と、2人の死者を出したのです。友人のためにゼリーを作ったのが原因だともいわれています。

Mary_mallon_in_hospital この事件をきっかけに、彼女は再びに隔離され、亡くなるまでの23年間もの間、身柄を拘束されたのです。

普段は健常者と何ら変わらないままに隔離された彼女の、その後の人生を知る手掛かりは少ないのですが、病院内で看護師、介護人、研究室の技術補佐員としての仕事をしていたことが記録に残っているそうです。1932年に心臓発作から身体麻痺になり、その6年後の1938年、子供たちの声が聞こえる小児科病棟の近くに移されたベッドで息を引き取ったのです。

メアリーの死後、病理解剖の結果から、彼女の胆嚢に腸チフス菌の感染巣があったことが判明したそうです。

Photo_3 アイルランドからの移民だったメアリー・マローン(Mary Mallon, 1869923 - 19381111日)は、世界で初めて臨床報告されたチフス菌(Salmonella enterica serovar Typhi)の健康保菌者(発病はしないが病原体に感染している不顕性感染となり感染源となる人)で、「腸チフスのメアリー(Typhoid Mary、タイフォイド・メアリー)」という通称で知られることとなったのです。

彼女は、自分が腸チフスの保菌者であるという自覚を持たなかったために、「邪悪な感染源」、もう一つは「不運な社会的被害者」という、二つの見方がなされたのです。いずれにしても、偏見と言う名のレッテルを貼られた彼女の人生は、苦難に満ちたものであったことは容易に想像できます。

「腸チフスのメアリー(Typhoid Mary)」のエピソードは、公衆衛生の意識を高めるための教材として、今も語られているそうです。

ちょう‐チフス【腸チフス】

水や食物に混入した腸チフス菌によって起こる消化器系感染症。高熱が持続し全身が衰弱するほか腸出血を併発することもある。日本では近年減少したが、輸入感染症としてみられる。感染症予防法の3類感染症の一。

大辞泉

考えてみれば、恐ろしい話です。何の罪もないのに23年間も身柄を拘束され、生涯を終えたのですから・・・。

まだ、解明されていない病気がどこかに潜んでいるかもしれません。次のメアリーは、あなたかも知れないのです。

Photo

したっけ。

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10 コメント

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以前流行った、日本の0157も、清潔すぎる家庭... (ヒカリ)
2011-06-10 10:46:27
以前流行った、日本の0157も、清潔すぎる家庭(お母さんが消毒液で床を拭くとか)の子供ほど症状がひどかったと聞きました。
親が家をきれいにし過ぎると、子供は弱くなって抵抗力が弱くなるんですよね。掃除はほどほどにした方が健康にも良いですね。
返信する
★ヒカリさん★ (都月満夫)
2011-06-10 12:58:30
★ヒカリさん★
そうですね。昔から「過ぎたるは及ばざるが如し」という諺があるように、やりすぎは良くないですね。
したっけ。
返信する
都月さん   こんにちは♪ (柴犬ケイ)
2011-06-10 13:04:36
都月さん   こんにちは♪

我が家に犬がいるために私も神経質でつねに
食事の用意とかに神経使いますが、去年と
今年に県病院に定期健診で行きノロウイルス
に感染をして去年はひどく身辺整理をしたほど
でした。

インフルエンザとかどこで感染するかわからず
ある意味恐怖ですね。
返信する
こんにちは(^^) (紫音)
2011-06-10 13:23:38
こんにちは(^^)

一人の女性が感染源。。。

大変な問題ではありますが、なんとも気の毒なお話ですね。

何事においても、ほどほどで、が、一番良いのかもしれませんね。
返信する
★柴犬ケイさん★ (都月満夫)
2011-06-10 14:22:11
★柴犬ケイさん★
これからの季節は特に気を使いますね。
したっけ。
返信する
★紫音さん★ (都月満夫)
2011-06-10 14:24:13
★紫音さん★
当時の医学知識では仕方がなかったのかもしれませんが、気の毒としか言いようのない人生です。
したっけ。
返信する
なんて数奇な運命の方でしょう。 (きままなマーシャ)
2011-06-10 15:44:57
なんて数奇な運命の方でしょう。
その辛い心情ははかりしれませんね。
彼女自身が発症しないというのも
不思議で怖い気がします。
返信する
★きままなマーシャさん★ (都月満夫)
2011-06-10 17:23:27
★きままなマーシャさん★
自分に自覚症状がないまま、23年間も拘束されたのですから、恐い話です。
したっけ。
返信する
メアリーさん・・・なんてかわいそうな方なんでしょう。 (ひいち)
2011-06-10 20:41:26
メアリーさん・・・なんてかわいそうな方なんでしょう。
死ぬまで、体の中に感染巣があることが見つけられないなんて。
偏見の中に生きるって、とても辛い事だったでしょうね。

抗菌、除菌製品が当たり前になってきた今。
細菌達もどんどん進化しているのですね。
怖いですね・・・
返信する
★ひいちさん★ (都月満夫)
2011-06-11 09:54:00
★ひいちさん★
彼女はもちろん気の毒としか言いようがありません。
しかし、今清潔すぎる環境が最近を進化させていることは皮肉なことです。
したっけ。
返信する

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