
武士の家計簿
映画を見ながら、私の頭の中に浮かんだキーワードは「断捨離(だんしゃり)」。
断捨離とは、不要・不適・不快なモノとの関係を断ち・捨て・離れ、引き算の解決方法によって停滞を取り除き、住まい・暮らし・身体・気持ち・人生の新陳代謝を促すこと。
単なる「ケチ」とは明らかに一線を画すものです。
加賀藩に長く仕える猪山家は、代々「御算用者(会計処理の専門家)」として、藩の財政を預かってきました。
そんな猪山家でありながら、家計は「なんとかなるでしょう」のどんぶり勘定。
その上、名家の見栄から行事の度に借金を増やし、八代目の直之の長男のお披露目をする頃には お家取り潰しの危機になってしまいます。
それに気付いた直之は、まず不要な家財一式を売り払い、その後は冠婚葬祭の費用から日々の食材の買い物に至るまで徹底して帳簿をつけて質素倹約を実践し、家を守るために算盤をはじきます。
この映画のキャッチフレーズ、「刀ではなく、算盤で家族を守った武士のお話」は、まさに言い得て妙でございました。
何を捨てて、何を残すのか。
これは本当に悩ましい問題です。
基本は「使っていないものは捨てる」なのですが、使っていなくても持っていたいものは誰しもあります。
それについて、断捨離の第一人者である やましたひでこ さんは、「愛着のあるものは残す。しかし、所有したいと執着しているものは捨てる。」と言っています。
愛着と執着。
この判断基準の表現は、これまた言い得て妙です。
で、何が愛着で何が執着なのかを、この映画はまたうまく描いていたと思います。
倹約生活と、みすぼらしい生活は、全くの別物です。
それは、直之の妻 お駒の「貧乏と思えば辛いのですが、工夫と思えば楽しいものです。」というセリフに集約されていたかと思います。
行動として表れる形は同じだったとしても、心持ちが違えば意味が変わる。
そこに本当の豊かさがあるのかな、と思いました。
全国のダンシャリアンの皆様、きっと共感できる映画ですよ。
また、夫の意向にただ従うのではなく、そこに自分なりの楽しみや意味を見出していくお駒の姿に、「ああ、共に生きるっていうのはこういうことなんだなぁ。」と思いました。相手を受入れることは、自分を捨てることとイコールではではないですからね。
自分のアイデンティティを持ちながら、他者との共存ができること。
これが「一緒にいる」という理想の形だと思います。
そんなわけで、いい映画でした。
今日は冬至。
昨夜の満月は残念ながら雨で見られなかったけれど、1年で一番夜が長い日に、綺麗に月が見えてるってところに、何か意味があるような気がしてしまう私です。
さて、年内のライブは あと2本。
●12月25日(土)Blues Cafe'(揖斐郡池田町)
IMPROVISE JAZZ LIVE
OPEN:18:30、START:20:00(2セット入替なし)
チャージ無料
Gt.服部靖 Ba.矢野良和 Ds.辻村勝 Pf.水戸香 Vo.aki
●12月31日(金)国営木曽三川公園 (海津市海津町)
カウントダウンステージ
START:21:30~(入場無料)
お時間ありましたら、是非。
新しい年まで、残すところ9日。
10日を切ると、俄然「カウントダウン」という言葉が ぴったりくるように思います。
そして、次の新月を迎える頃は、もう新しい年。