「殊に人多く立ち込みて」、例年ならば秋のお祭りの季節、山鉾やだんじりの巡行に見物人が多く集まる光景が見られます。コロナ禍では、祭り自体、自粛で巡行の中止などが相ついています。
日本人は、喧騒の中の人込みを楽しむ一方で、誰もいない静寂を好むところがあります。人のいない静かなお寺で、小川の潺や鳥の囀りのする日本庭園を眺めていると、心が落ち着きます。コロナ前は、そのような場所でさえも、多くの外国人観光客が訪れ、騒がしかったのを嘆いたりしました。今は、観光地から外国人が消え、お店は大変でしょうが、静寂の情緒が戻って来たようにも思います。
「潺」や「囀」という漢字は難しく漢字変換機能が無ければ書けません。いかにも小さいながらも賑やかな水の音のような「潺」、水を表す氵偏、尸は'しかばねかんむり'ですが、家の屋根の意味に捉えると、家の中で子供たちが楽しく遊んでいる声が聞こえるような感じでしょうか。「囀」、鳥が口から発する鳴き声が二輪で糸巻きするような音に聞こえるのでしょう。このように字の意味を見ていくと、手本が無くても書けるような気になります。