わさびの日記

老後の暮らしを模索しています。健康のためランニング、楽しみにクラリネット、それに古文書解読を趣味にしたいと思っています。

徒然草第ニ百三十六段 (感涙いたづらになりにけり)

2024-03-31 10:56:22 | 徒然草

「感涙いたづらになりにけり」、子供のいたずらに、さも意味があると思い込み有難がったが、本当のことが分かり、がっかりするという話です。子供のすることは、不純な意図がないだけに、神が子供の姿を借りてさせたとも考えられますが、・・・

人からこっそり聞かされる上手い話しには、気を付けないといけません。誰かが得をすれば、誰かが損をする。何も知らないお人好しは損することが多いからです。近江商人の三方よしは、『売り手によし、買い手によし、世間によし』といって、誰も損をしない考えです。それを実践するには、皆が等しく知っているということが大切です。つまり、知らない人だけが損をするという構図が生まれがちだからです。裏を返せば、損をさせる相手には知られたくないと言うことです。

さて、最近、説明責任が話題になっていますが、しっかり説明しない人は、自分さえ得すれば良いと思っているのでしょう。知られると不味いということです。それは、自分の得が失われるからです。知られても、皆が得する、得とまではいかなくても、納得できることが大切です。国を率いる人は、得よりも徳だという考えでやってもらいたいものです。

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徒然草第ニ百三十五段 (虚空よく物を容る)

2024-03-27 14:08:55 | 徒然草

虚空こくうよく物をる」、心の中に主たる考え、信念がないとあれこれと思い悩むということでしょう。

最近、若い人の言葉が厳しく感じることがあります。もう少し、年寄りに優しくしてほしいものですが、優しいばかりでは生きていけないのも確かです。それだけしっかりしていると言うことなんでしょう。自分が若い時を振り返ると、優しさ=優柔不断というイメージがありました。多少間違っていても、主張を貫き通すことが必要だと思ってました。それで、意見が通れば、間違っていると気づいたところだけ軌道修正すれば良いと思ってました。つまり、ブレないことが大切で、ブレると信頼も、自信も無くなります。

その考えのまま、老人になると、単なる頑固爺の偏屈ものになってしまうので、気を付けなければいけません。年を取れば、寛容で優しくなりましょう。

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徒然草第ニ百三十三段 (言葉少からんには如かじ)

2023-11-27 09:02:04 | 徒然草

「言葉少からんには如かじ」、「雄弁は銀、沈黙は金」という諺があります。雄弁は大切なことだが、しゃべりすぎるのは良くない。要らぬことを話して、とんだ失敗をするということです。それを念頭にしたのでしょう。

「言わぬが花」や「口は災いのもと」といったように、話すことに否定的な言葉があります。しかし、社会では、コミュニケーションの大切さが言われます。勿論、しゃべるだけがコミュニケーションではありません。気持ちは言葉にして伝えないと分からないというのも正しいです。黙っているだけで相手に気持ちが伝わるなら、そんな楽なことはありません。伝わった積もりになっていても、相手は全然違うように受け取っていることもあります。それは、言葉にしたからと言っても同じかもしれません。気持ちを伝えるのは難しいです。

会社に入ってくる新入社員、若い人はしゃべらないと言われました。だから、最初に報連相の大切さを教えます。教えるのもいいのですが、しゃべらないのは、無口だからではありません。しゃべる相手の問題です。何を考えているか分からず、すぐに怒るおっさんにしゃべりたくないだけかもしれません。その若者も10年もすれば立派なおっさんです。その都度、上の世代から「そんなんじゃダメ」と言われます。

年齢によって、無口になったり、怒りっぽくなったり、気難しくなったり、頑固になったり、ピント外れになったりします。そろそろ、私はピント外れの域に達してきました。もう、誰も何も教えてくれません。

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徒然草第ニ百三十二段 (人は、無智・無能なるべきものなり)

2023-11-26 08:32:15 | 徒然草

「人は、無智・無能なるべきものなり」、「能ある鷹は爪を隠す」という諺と似ていますが、能がさほどないのに、知識をひけらかすのはもっと見っともないと言う意味かもしれません。

人のすることに、ああだこうだと口出しする人がいます。それはお節介というのではなく、知識を見せつけて自己満足しようとするものです。人が困っていて、助言するならば良いのですが、困ってもいないのに、「こうした方が良い」と無理やりやらせて、かえって悪くなって困ってしまうということがあります。そんな人に限って、上手くいかなかった理由を人のせいにします。

年寄りは、長く生きてきた分、経験が豊富です。だから、過去の成功体験から物事を判断します。しかし、今は、経験が役に立たない時代です。論理的なことは、経験者の方が正しいことがありますが、感覚的なことは若い人にはかないません。あまりに多くの情報があふれていて、一つ一つの情報を吟味していては切りがありません。感性で情報を選択し、思い切って実行するしかありません。感性は過去の蓄積で培われる部分もありますが、むしろ時代を流れる風を上手くとらえる感受性ですから、やはり若い人にはかないません。だから、若い人の意見には素直に耳を傾けなければいけません。

 

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徒然草第ニ百三十一段 (興なくてやすらかなる)

2023-11-25 18:23:10 | 徒然草

「興なくてやすらかなる」、下手な小細工は、かえって嫌味に聞こえる。素直に言えば良いということでしょう。

人が決心するのに、理由のある時とない時があります。下心があるか、気持ちがただそうさせるかです。下心とは何か良からぬことを企んでいるようですが、言い方を変えると具体的な目的があることです。その目的を隠し続けると、それは本当に下心になってしまいます。一方、ただ気持ちがそうさせるとは、目的はないのだけど、感情がそうだということです。

人を食事に誘う場合を考えてみましょう。上手く行けば仕事をくれるという下心があるならば、初めからそう切り出せばよい。そんなことはどうでもよく、一緒に食事をしたいだけならば、そう言えばよい。下手に、理由をつけて遠回しに言うと、かえって下心が悪企みになってしまいます。素直に言ったとしても信じてくれないならば、それは日頃の行いが悪いからです。

先日、ドラマで、「良いか悪いかには理由が必要だけど、好きか嫌いかには理由はいらない」というセリフがあり、なるほどと納得しました。さらに言うと、良い悪いと言われて、その理由が分かれば諦めがつきますが、好きだ嫌いだと言われると傷つきます。つまり、理由があると、改善すれば良くなる可能性があるけれど、好き嫌いには可能性はありません。それが人間関係になると難しい問題になります。良い友達、悪い友達はいますが、そこに好き嫌いが入ると友達ではなくなります。好き嫌いの感情が入ると、もはや決別するしかないのです。

好き嫌いにも原因はあります。犬に噛まれて、それ以来犬が嫌いになるという設定はよくあります。一種のトラウマです。一つの出来事が脳に強いインパクトを与え、それが条件反射、この場合は反復経験ではありませんがパブロフの犬のようになるのです。嫌だという強い感情が生じて、それが生理的な反応になってしまいます。だから、それを上回る経験がない限り、その感情は消えないでしょう。人に好かれるためには、嫌われる感情が生じる場面を避けなればなりませんが、「嫌い嫌いも好きのうち」と言う言葉もあるので、程度によるのかもしれません。やはり、人間関係は難しいです。

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徒然草第ニ百三十段 (未練の狐、化け損じけるにこそ)

2023-11-09 10:51:40 | 徒然草

未練みれんの狐、化け損じけるにこそ、狐も修行を積まなければ、化けきれないということらしい。

化ける動物には、狐と狸がいます。もともとは中国の神話の妖怪が起源で、最初は狐だけだったようです。それが、日本に入ってきた時、狸も加わりました。昔から、狐や狸に騙される民話は多くあります。人に悪さをするために化けるのか、恩返しのために化けるのか、動機は色々あります。

神様が、化ける力を狐や狸に与え、人の行いを戒めたり、褒めたりするのに上手く使っているとも考えられます。人は、他人に騙されると憤慨しますが、狐や狸に騙されると自分の愚かさに気づくといった具合です。

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徒然草第ニ百ニ十九段 (少し鈍にぶき刀を使ふ)

2023-10-23 18:01:16 | 徒然草

「よき細工さいくは、少しにぶき刀を使ふと言ふ。妙観めいくわんが刀はいたく立たず」これ又、短い段です。切れ味ければ、良いものができるとは限らないということでしょう。

「弘法筆を選ばず」と言う言葉があります。名工はどんな道具を使っても良いものができる。結局は、道具じゃないと言うことでしょう。では、凡人はどうか。良い道具を使ったら、良いものができる訳ではないが、道具が悪いと、絶対に良いものはできない。せめて道具ぐらいは良いものを使おうということになります。あれこれ考えると、ここで言いたいのは、自分に合った道具を使おうということではないでしょうか。切れ味の素晴らしい高価な道具よりも、自分に手に合った使い慣れたものが一番良いということでしょう。それを見つけるのは、結構難しいかもしれません。

 

 

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徒然草第iニ百二十八段 (釈迦念仏)

2023-10-23 09:10:35 | 徒然草

千本せんぼん釈迦しやか念仏は、文永ぶんえいころ如輪上人によりんしやうにん」、これを始められけり。この段は、これだけです。

釈迦念仏は、『南無釈迦牟尼仏なむしゃかむにぶつ』と唱える。つまり、お釈迦さんの名前を呼び続けるということです。信奉している人の名前を呼ぶことに、どんな意味があるのか考えると、アイドルの名前をファンが叫ぶようなものかとお釈迦様に失礼な連想をする。それは違うだろうと打ち消しても、その違いがよく分からない。名前を呼ぶことで、その人の顔や姿を思い浮かべ、思いを強くする効果があるのだろう。そうだとすれば、基本的には同じことかと納得してしまいます。

 

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徒然草第ニ百ニ十七段 (一念の念仏)

2023-10-22 07:26:40 | 徒然草

「一念の念仏」、これを一回唱えるだけで、浄土に往生できるそうです。

仏教の目指すところは、如何にして仏のおわす浄土に行けるか、近づけるかです。その意味で、修行と念仏は目標が同じでも、異なった手段といえます。仏教における修行は、精神鍛錬によってすべての人間的な欲望から解放されることです。欲さえなければ、人は生きていることだけに幸せを感じることができる。つまり、生きたまま極楽浄土に行った気分に成れるのです。ただ、その境地に至る修行は厳しく、誰にでもできることではありません。一方、念仏は誰にでも唱えられます。念仏を唱えさえすれば極楽浄土に行ける。厳しい修行をしなくても、念仏さえ唱えていれば良いのです。つまり、念仏を一心不乱に唱えて、他のことは何も考えるなということでしょう。欲にも良い欲と悪い欲、あるいは、過度な欲と適度な欲があると思います。その欲から、完全に解放されたら、端目にはどう見えるでしょうか。腑抜けになってしまったとか、聖人君主になったとか。マインドコントロールという言葉が、オカルト宗教ではよく聞かれますが、人の心をみんな同じ方に向けることの恐ろしさを感じます。

ここに登場する安楽は、法然上人が流罪させられる原因となった黒谷事件の首謀者の一人です。上皇の女官を唆した罪で死罪になったのですが、本当のところ、どんな裏話あるいは真実があったかは分かりません。女官を連れ出したのは、安楽の欲だったのでしょうか。それとも、女官を欲の世界から解放したいとの思ったのでしょうか。いずれにしてもすごい話です。欲も怖いものです。

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徒然草第ニ百ニ十六段 (心憂き事にして)

2023-09-28 21:00:17 | 徒然草

「心き事にして」、行長さんは、公の場で失態を犯し、自分が情けなくなり、世捨て人になってしまった。この行長さんは、琵琶法師によって語り継がれている「平家物語」の作者とされている。

とんなに才能のある人でも、時には失敗するものである。サルも木から落ちるということだろう。それを大いに恥じ、ショックを受けたのは確かだろう。しかし、それだけだったのだろうか。人が人生の大きな決断をするとき、何かきっかけが必要ではあるが、きっかけとなったことが原因のすべてではない。行長さんの失態の裏には、何か深い訳があっのではないだろうか。そのことについては、何も触れられていない。

スポーツ選手が現役を引退するようなストーリーが考えられるし、権力闘争の中でやむなく、あるいは重大な病気などもあるだろう。いずれにしても、天皇の前での失態だっただけに、今後、同じようなことが起きるのを恐れた。だから、世を捨てるまでのことを考えた。「平家物語」を作るほどの人物であったのだから、「盛者必衰の理」からも、きっと思いもよらなぬストーリーが隠れているのだろう。

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