「隔てなく馴れたる人」、気兼ねなく話せる人は、此の世にどれだけいるでしょうか。かみさんと子供たちはそうですが、他人にはそんなにはいません。年上ならば、敬語を使い、年下は敬語を使われます。同い年となると、学生時代の同窓生や会社の同期ですが、現役時代はなんの拘りもなく談笑してましたが、今となっては、当時との境遇の違いに気持ちが遠ざかります。結局、肉親だけになりますが、そんなものかもしれません。
再就職して仕事で話す人は増えましたが、それ以外では、定期的に行く医者、散髪屋のマスター、習いごとの先生ぐらいです。お金のやり取りのない付き合いはほとんどありません。仕事だから、お客様だからと、その立場をわきまえた会話になります。「親しき仲にも礼儀があり」という諺が当てはまるような場面は、やはり肉親だけでしょうか。