「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

2014・03・06

2014-03-06 07:55:00 | Weblog


今日の「お気に入り」は、山本夏彦さん(1915-2002)のコラム集から。再録。

文字は言葉の影法師だとギリシャ人は見ていた。ソクラテスもイエスも問答しただけで自分は書いてない書いたのは弟子たちである本を読むのは死んだ人と話をすることだ死んだ人は返事をしない十年二十年たって読み返すとハタと思い当るすでに書いてあるのを発見してようやく問答がなりたったのだ
 人間の知恵は古典に尽きているそれに加える何ものも現代人にはない学ブニシカザル也と古人はそこまで言っている。けれども同じことでも同時代人の口から聞くのはまた格別である。だから本は少しは出てもいい。そんな本でも読む人は稀である。
                                    〔Ⅹ『本屋近くつぶれる』平11・4・8〕」

(山本夏彦著「ひとことで言う‐山本夏彦箴言集」新潮社刊)





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