「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

格言的例文 Long Good-bye 2024・09・06

2024-09-06 05:36:00 | Weblog

   

 

 今日の「 お気に入り 」は 、村上春樹さん ( 1949 -   )

 の随筆「 村上朝日堂  はいほー! 」( 新潮文庫 )

 の中から抜き書き 。備忘のため 。

  引用はじめ 。

 「 僕は辞書というものがわりに好きで 、暇で読む
  ものがないときにはごろんと横になって英和辞典
  を読んだりすることがよくある 。辞書というのは
  あれでなかなか面白くて人情味のあるものである 。」

 「 たとえば例文ひとつとってみても 、なかなか含
  蓄のあるものがあってうならされることが多い 。」

 「 僕の人生観( といってもけっこう貧相なもんです
  けど )のかなりの部分は英和辞典の例文で成立し
  ているんじゃないかという気がするくらいのもの
  である 。」

 「『 リーダーズ英和辞典 』の little の項に出てい
  る " Little things please little minds " という
  例文なんか『 そうだな 、たしかにそうだ 』と
  十回くらい一人でうなずいてしまう 。日本語に
  訳すと『 小人は小事に興ずる 』となるが 、も
  う少しわかりやすく言うと 、『 つまらん人間は
  つまらんことで喜ぶものだ 』という風になる 。」"Petty people are absorbed in trivial matters."

                                「 器の小さい人ほど些細なことに執着しがちである 」ってこと?

 「『 どんな髭剃りにもその哲学がある 』というのも
  僕の大好きな格言的例文のひとつである 。高校時  
  代に読んでそのときに『 うーむ 』とうなって 、
  それ以来ずっと頭の中に刻みこまれているわけだ
  が 、残念ながら正確な英文は忘れてしまった 。
  要するに『 どんな些細なことでも毎日つづけてい
  ればそこにおのずから哲学が生じる 』ということ
  です 。」

 「 そう考えていくと 、コム・デ・ギャルソンの洋
  服の中に哲学を発見する思想家がいたとしても 
  ( いたね ) 、それは何の不思議ももない当然の
  ことなのかもしれない 。」

 「 僕の知っている男に『 毎日の髭剃りが嫌で嫌で
  たまらない 。女に生まれりゃ良かった 。髭剃る
  くらいならまだ生理があった方がいい 』と言うの
  がいて 、それを女の子に話したら 、彼女が非常
  に生理の重い人で『 私 、生理がなくなるんなら
  毎日髭を剃ってもいい 』ということになったのだ
  が 、そんなことで意見が一致したところでどうに
  かなるものではなし 、困ったものである 。人と
  いうのはそれぞれの荷を背負って生きていくしか
  ないのだ 。どんな生理にも哲学はあるのだ 。ど
  ういう哲学なのかは僕にはちょっと想像もつきま
  せんけれど 。」

 「 こういう風にいろいろとものを考えながらのん
  びり辞書を読むというのも 、悪くないものであ
  る 。縁側に座ってコブ茶を飲みながらこれをや
  っていると 、気分はもう老後である 。」

  引用おわり 。

  これらの文章が入っている小文のタイトルは「 無

 人島の辞書 」。小文は 、こんな文章で始まる 。

 「 一冊だけ本を携えて無人島に行くとしたら何を
  持っていくか 、という設問がよくある 」。

  因みに ChatGPTさんは 、「 どんな髭剃りにもそ

 哲学がある 」を " Every shave has its own philosophy . "

 と英訳してくれ 、ついでにこんな解説までしてくれました 。

 「 どんな髭剃りにもその哲学がある 」というフレ
  ーズは 、表面的には単なる髭剃りの行為にも深
  い意味や個々の信念が存在するという解釈ができ
  ます 。この表現は次のように考えられます:

  ・個人のスタイルや価値観の反映:髭剃りは 、
    ただ外見を整える行為にとどまらず 、その
    人の美意識やライフスタイル 、ひいては自
    己管理に対する態度を反映します 。たとえ
    ば 、伝統的なカミソリを使う人はクラシッ
    クなスタイルや職人技を尊重しているかもし
    れませんし 、電動シェーバーを使う人は効
    率や最新技術を重視している可能性があり
    ます 。

  ・日々の習慣と心のあり方:髭剃りのプロセスは 、
    日々の生活習慣やルーティンの一部であり 、
    自己を整える儀式のように扱われることもあ
    ります 。その行為自体が 、自己との対話や
    心の整理 、集中力を養う機会と捉えられる
    こともあります 。

  ・技術と道具へのこだわり:髭剃りには道具( カ
    ミソリやシェーバー 、クリームなど )が必
    要であり 、それぞれの道具に対するこだわり
    や選択が 、その人の哲学を反映する場合が
    あります 。より良い刃を求めたり 、肌に優
    しい成分を使うなど 、細かい選択がその人の
    価値観を示しています 。

   このフレーズは 、日常の中の小さな行為にも深い
  意味や個性が宿るということを示唆していると言え
  ます 。」

   解説しようと思えば 、何事も尤もらしく解説できる

  もんだなあ 。

 (*^^*) (*^^)v ( ^)o(^ ) (^O^)/

 

  

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ねじを巻く Long Go... | トップ | 耳順 従心 Long Goo... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事