今日の「 お気に入り 」は、「 放哉俳句 」を 、「 句稿 」から 、いくつか 。
「 用事の有りそうな犬が歩いてゐる 」
「 奥から奥から山が顔出す 」
「 風よ俺を呼んで居るな風よ 」
「 机の足が一本短かい 」
「 犬のお椀に飯が残つて居る 」
「 噴水力のかぎりを登りつめる 」
「 ゐもり冷やかな赤さひるがへす 」
「 蛙蛙にとび乗る 」
「 嫁入りのお供が山みち酔つてもどる 」
「 吹けばとんでしまつた煙草の灰 」
「 うす霜の朝脊中こ寒く」
「 きかぬ薬を酒にしよう 」
「 一人の道が暮れて来た 」
「 墓にもたれて居る脊中がつめたい 」
「 一枚の舌を出して医者に見せる 」
「 一丁の冷豆腐たべ残し 」
「 元日のみんな達者馬も達者 」
「 芸者の三味線かついで行く月夜 」
「 お医者の靴がよく光ること 」
「 ことこと番茶を煮てもてなす 」
「 たもとになんにもは入って居ない 」
「 星がふるやうな火の見やぐら 」
「 お月さんもたつた一つよ 」
「 白壁雨のあとある 」
「 カタリコトリ夜の風がは入つて居る 」
( 出典:「 尾崎放哉句集 」池内 紀編 ( 岩波文庫 ) ㈱岩波書店 刊 )
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