「今日の小さなお気に入り」 - My favourite little things

古今の書物から、心に適う言葉、文章を読み拾い、手帳代わりに、このページに書き写す。出る本は多いが、再読したいものは少い。

Long Good-bye 2019・10・31

2019-10-31 05:00:00 | Weblog





  今日の「お気に入り」。


  「 アンはその夜、満足することの幸福をしみじみ味わった。桜の枝を風が静かに

   わたり、ハッカの香がただよってきた。星は窪地(くぼち)の樅の上でまたたき、

   木の間からダイアナの窓の灯(ひ)が輝(かがや)いていた。

    アンの地平線はクイーンから帰ってきた夜を境としてせばめられた。しかし

   道がせばめられたとはいえ、アンは静かな幸福の花が、その道にずっと咲(さ)

   きみだれていることを知っていた。真剣(しんけん)な仕事と、りっぱな抱負

   (ほうふ)と、厚い友情はアンのものだった。何ものもアンが生まれつきもって

   いる空想と、夢の国を奪(うば)うことはできないのだった。そして、道には

   つねに曲り角があるのだ。


   『神は天にあり、世はすべてよし』(訳注 英国の詩人ブラウニング(1812-89)

   の言葉)とアンはそっとささやいた。


   ( Lucy Maud Montgomery 著、村岡花子訳 「赤毛のアン」(原題 "Anne of Green Gables") 新潮文庫所収 )



                


   「赤毛のアン」の最後の文章、その原文は:

    " God's in his heaven, all's right with the world." whispered Anne softly.

         
   


       ・・・・ And there was always the bend in the road. ・・・・・

               
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