若殿の気ままな独り言

日常生活で見聞きしたこと感じたこと、はまってるマカオ/Macau/澳門のことなど、勝手気ままに書き綴ります。毎日更新!

高齢者の衰え「フレイル」、 運動や食事で予防・回復。

2015-08-19 09:27:27 | 健康、フィットネス
高齢者の衰え「フレイル」、運動や食事で予防・回復。1日5~6千歩 日光浴びる(以下、日経ライフから一部抜粋)

『 年を重ねるごとに筋肉が減り歩く速さが遅くなる。次第に身体の活動水準も低下する。高齢者の衰弱はそのまま介護に向かう状態と考えられてきたが、運動や食事など積極的な対策によって予防や回復が可能と受け止められるようになってきた。日本老年医学会が2014年に「フレイル」という考え方を提唱し、従来の衰弱に対する見方が変化し始めた影響が大きい。

 「いったん始まったらもう戻れない。そんな悪い印象を拭い去れたと思う」
 老年医学会のワーキンググループでフレイルの導入を唱えてきた国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の荒井秀典副院長は、提案後1年間の変化をこう解説する。

 フレイルは、英語で虚弱を意味する「Frailty」をもとにした造語。高血圧や糖尿病など生活習慣病の危険が高まるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を「メタボ」、筋力の低下によって引き起こされるロコモティブシンドローム(運動器症候群)を「ロコモ」と省略して呼び、社会に浸透しやすくなった事例を参考に言葉を決めた経緯がある。


 動作が遅くなったり転倒しやすくなったりするなど身体的な問題だけではない。フレイルには認知機能の障害やうつ病などの精神や心理的な問題、独り住まいや経済的な困窮などの社会的な問題も含む。放置すれば介護が必要な状態に陥るし場合によっては生命にかかわる。荒井副院長は「医療関係者だけでなく社会の関心も高め、適切な対策を取る必要がある」と強調する。

 正式な診断方法はまだなく、学会で検討中だ。ただ介護予防事業で用いられている基本チェックリストには似た考え方の項目があり参考になりそうだという。米老年医学会など海外でもいろいろな基準が検討されているが、福祉や医療の現場で使いにくい課題がある。

 桜美林大学加齢・発達研究所(東京都町田市)の鈴木隆雄所長は「分かりやすい判断基準が2つある。歩行速度と握力だ」と話す。

 高齢者の歩行速度の研究から、1秒間に0.8メートル以下になると介護が必要になるリスクが高くなることが分かってきた。筋肉の量ではなく筋力が重要で、足を蹴り出す力やももを持ち上げる力の衰えが歩幅を小さくして歩行速度を遅くする。横断歩道の青信号は毎秒1メートルの速度で渡れるように設計されており、横断歩道を渡れなくなると要注意だ。

 握力も50歳を超えたころから徐々に低下する。過度に低下すれば自分を支えるために手すりにつかまりにくくなるし、荷物の持ち運びができなくなる。男性では26キログラム、女性では18キログラム未満になると支障が出る目安になっている。

 高齢者で介護が必要になる要因を年齢別にみると、70代までは「脳卒中」が圧倒的に多い。80歳以上になると「衰弱(フレイル)」が増え、90歳以上では3割を超す。「フレイル対策は後期高齢者で特に重要になる」(荒井副院長)といえる。

 フレイルを防ぎ健康を回復するにはどうすればよいのだろうか。基本はやはり運動と食事だ。
 運動ではウオーキングが一番取り入れやすい。最低でも1日5000~6000歩を継続すると筋力の低下を防げる。長寿医療研究センターは、ロボット技術を生かした歩行補助装置を使ったウオーキングでも、自立の歩行とほぼ同様の効果があることを確かめており、人によっては活用も考えられる。


実証実験で歩行補助装置「リズム歩行アシスト」を装着して歩く高齢者(愛知県大府市)

 また荒井副院長らは高齢者向けに、ゴムバンドを使う筋肉トレーニングのプログラムを作った。屋内でできるし、ゴムの強さを調節して関節を痛めないように配慮した。

 食事面では、筋肉のもととなるたんぱく質の摂取が大切だ。性別を問わず体重1キログラム当たり1グラムのたんぱく質を毎日食事から取ることが望ましい。体重50キログラムの人の場合は50グラムだ。肉や魚、大豆、牛乳などがたんぱく質を多く含む。平均すると日本人は必要なたんぱく質を取っているが、好き嫌いの差があり人によってまちまちで、注意が必要だ。

 同時にビタミンDも必要だ。体内のビタミンDは太陽光を受けて活性化し、たんぱく質の合成を促す。最近注目されている作用だ。鈴木所長は「1日に5分でいいから日光に当たろう」と付け加える。

 日本人の平均寿命は長いが、自立して生活できる健康寿命との差は男性で約9年、女性で約13年もある。フレイルの回避で健康寿命を延ばせる。関係者はこの期間を半分にしようと目標を立てている。

■名前変えただけと批判も… 対策、分野超えた連携を
 「フレイル」の考え方は介護や福祉の関係者に理解され始め、他の医療分野でも取り入れるケースが出てきた。例えば日本歯科医師会では「オーラル・フレイル」と呼び、滑舌が低下する現象や食べ残し、むせかえり、かめない食品の増加などを指標に、食欲の低下や食材の種類の減少などに注意を払う運動を始めた。80歳になっても自分の歯を20本以上持っていようという「8020運動」と並ぶ主要な活動に位置づけている。

 厚生労働省もフレイル対策を政策に取り入れ始めた。しかし、社会全般で広く理解されている言葉ではない。呼び方を変えただけで実態は何も変わっていないとの指摘もある。

 的確な対策にはスポーツ医学や栄養学、ロボットなどの工学、脳科学など幅広い分野が結集する必要がある。新しい制度の整備や投資と効果を評価する視点も大事だ。関係者の密接な連携が重要といえる。  』