若殿の気ままな独り言

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食物繊維の本当の実力 ! 快便・減量・死亡率低下・・・ 

2015-03-26 10:00:00 | 健康、フィットネス
 穀類、野菜などの植物性食品に豊富な食物繊維。古くからお通じを快調にする“健康成分”として知られるが、近年はさらに肥満をはじめとする生活習慣病を防ぐ効果を持つことも明らかになってきた。世界中から研究成果が続々発表される食物繊維の“本当の力”とは──。(以下、日経ヘルス&メディカルから一部抜粋)

『  食物繊維とは、人の消化酵素で分解できない難消化性成分のこと。大麦に豊富なβグルカン、野菜に含まれるセルロースなど多くの種類があり、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維に大きく分けられる。「どちらもブドウ糖などがつながった多糖類だが、でんぷんや砂糖と異なり、人の消化酵素で分解されず大腸に届いて、さまざまな作用を発揮する」と千葉大学大学院園芸学研究科の江頭祐嘉合教授は話す。


 不溶性食物繊維の主な作用は大腸で水を吸って膨らみ、便のかさを増すとともに便の腸内運搬速度を速めることだ。「腸内細菌に良好なすみかを提供している側面もある」と大妻女子大学家政学部の青江誠一郎教授。 一方、水溶性食物繊維はビフィズス菌など“善玉菌”のエサになる。「水溶性食物繊維を分解した腸内細菌は、酪酸、プロピオン酸などの短鎖脂肪酸を産生する。その結果、腸内のpHが低下し、腸内環境が良好に保たれる。ミネラルの吸収も良くなる」と青江教授。

 近年は食物繊維とほぼ同じ働きを持つ成分として、難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)も注目されている。でんぷんは本来、消化酵素で分解されるが、炊いた白米を放置してできる固くなった部分や、冷えたフライドポテトなどには消化酵素を寄せつけない難消化性でんぷんが含まれる。 腸での働きは水溶性食物繊維に近いが、便のかさ増し作用もある(図1)。大豆イソフラボンの一種、ダイゼインと難消化性でんぷんを一緒にとると、腸内環境が改善され、女性ホルモン様作用がより高いエクオールという代謝物の産生が高まることも動物実験で判明。今後の研究に期待が集まる。


図1 不溶性食物繊維と水溶性食物繊維は作用がやや異なるが、食事には両方とも含まれるので、食物繊維豊富な食材をとれば、これらの生理作用がすべて表れる


図2 1日当たりの摂取量は、中国15グラム、米国3~8グラムと報告されている。中国の男女6382人を対象にした調査では、小麦製品や米製品からの摂取が多かった

【食物繊維とその仲間は大きく3タイプ】
●小腸で吸収されず大腸に届いて働く食物繊維
(1)水溶性食物繊維
 大麦に含まれるβグルカン、柑橘類やリンゴ果実などに含まれるペクチン、昆布やワカメなど海藻類に豊富なアルギン酸など。腸内で善玉菌を増やし腸内環境を改善。間接的にお通じ改善に寄与。血中脂質を低下させる作用が高い。
(2)不溶性食物繊維
 植物の細胞壁の構成成分であるセルロース、ヘミセルロースなど。腸で水を吸って膨らみ、便のかさを増すとともに便の運搬速度を速め、お通じをスムーズにする主役。腸内細菌にとって良い環境を提供するが、エサにはならない。
●食物繊維と同じ働きを持つ成分
(3)難消化性でんぷん
 玄米、全粒穀類のシリアル、未熟なバナナなどに含まれるほか、冷やご飯、冷えたフライドポテトなど調理済み食品で増える“老化でんぷん”タイプもある。水溶性食物繊維と似た働きを持つが、便のかさ増しなどにも寄与する。

 ここからは、食物繊維の持つ3大効果を詳しく説明しよう。

【効果1】お通じ改善
便のかさを増し運搬速度を短縮 腸内環境も改善、即効で快便に
 食物繊維のお通じを改善する効果は本物だ。国内外で多くの研究成果が発表されている。


図3 6万人あまりの女性(36~61歳)の排便状況と食物繊維摂取量との関連を調査。排便が週2回未満を便秘と定義し、その範疇に入る3327人を分析した。結果、食物繊維摂取量が最も多い群は、最も少ない群に比べ、便秘の有症比率が0.64となり、36%低かった

 例えば、女性3327人の食事を調べた米国の研究。食事からの食物繊維摂取量が最も多い群は最も少ない群に比べ、便秘になる割合が36%低いと報告されている(図3)。そもそも便量や排便回数は、何を食べたかによってすぐに変わる。特に食べた翌日のお通じに顕著に反映されるという。健康な男女36人に、1食(40グラム)当たり食物繊維6.4グラムを含むシリアルを朝食としてとってもらった実験では、対照食摂取時に比べ便量が約39%増加。シリアルの量を増やすとそれに応じ便量も増えたという。

 便量が増えると運搬速度が速まり排便回数が増える。この効果は前述の通り、不溶性食物繊維の働きによるところが大きいが、水溶性食物繊維も便中に排せつされる腸内細菌量を増やしたり、短鎖脂肪酸の産生を介し腸内浸透圧を上げるなどして排便促進に寄与する。腸内環境が改善されると便臭がなくなるのも女性にとってうれしい効用だ。

【効果2】抗肥満・生活習慣病予防
食べすぎや食後の血糖値上昇を抑制、生活習慣病にかかりにくくする
 今最も注目されているのが、肥満をはじめとする生活習慣病の予防効果だ。食物繊維を多くとると太らない、体脂肪がつきにくいといった研究報告は多い。


図4 食事に含まれる食物繊維、全粒穀類の多さなどから割り出した「炭水化物の質指数」(CQI)と肥満との関係を調べた研究。8741人を平均7.9年間追跡。BMI25以上の肥満になるリスクは、食物繊維や全粒穀類の摂取量が最も高い(=CQIが最も高い、Q5)群と次に高い群(Q4)で有意に低かった

 女性252人を20カ月追跡し、食物繊維摂取量と体重との関係を調べた研究では、食物繊維摂取量を1グラム増やすごとに体重が0.25キログラム減ったという。食物繊維の多い良質な食事をとる人は肥満リスクが低いという報告もある(図4)。

 抗肥満効果のメカニズムとして考えられているルートは3つ(図5)。1つは食物繊維が多い食事は、よくかんで食べる必要があり満腹感が得やすいことだ。実際、女性21人に麦ご飯を朝食にとってもらった青江教授の研究で、満腹感の持続により昼食や夕食の摂取カロリーが減ることが確かめられている。

 2つ目は、余分な糖を脂肪に変えるインスリンの分泌が抑えられること。これは、「食物繊維が食物中の糖の吸収速度を遅くするから」と青江教授。 もう1つ、腸内細菌を介した経路として、短鎖脂肪酸が産生されることで肝臓の糖放出が抑えられ、その結果、インスリンの効きが良くなり分泌量が抑えられる側面もあるという。 食物繊維が血中脂質を低下させることは古くから知られているが、新たに脂肪を筋肉細胞に取り込み燃焼を促進する働きがあることも江頭教授らの動物実験で判明している。


図5 食物繊維の多い食事だと摂取カロリーが抑えられる。糖や脂肪の吸収を抑制する。さらにインスリン分泌の低下を介して脂肪蓄積を防ぐとともに脂肪の燃焼を促すと考えられている。

【効果3】総死亡率を下げる
動脈硬化による心臓病、脳卒中など死に直結する病気のリスクを低下


図6 食物繊維の摂取量と脳卒中発症との関係を3年以上追跡した、米国、北欧、オーストラリア、日本など8カ国の疫学研究を分析。結果、食物繊維摂取量が多いほど脳卒中リスクは低下。1日7グラムの増加で効果が出始め、25グラムまで着実に下がっていくことがわかった。

 食物繊維が死亡率の低下に働くことも最新の研究で明らかになっている。これまでに行われた20の疫学研究を解析した2014年末発表の研究では、食物繊維摂取量が最も多い群は最も少ない群と比べ、16%死亡率が下がるとレポートしている。食物繊維と果物の摂取が心血管疾患による死亡率を下げるという研究や、シリアルや果物の食物繊維が冠動脈疾患リスクを下げるという報告、脳卒中リスクが低下すると報告した研究もある(図6)。

 青江教授によると、食物繊維は慢性炎症の指標であるCRPを下げる。その結果、動脈硬化が抑えられ、心臓病や脳卒中のリスク低下につながるようだ。大腸がんリスク低下も明らかになってきた。25の疫学研究を総合的に分析した研究で、1日10グラムの摂取で大腸がん発生リスクが10%低下することが判明。特にシリアルと全粒穀類からの食物繊維摂取がリスク低下と関連したという。

■食物繊維が認知機能を向上させる?
 食物繊維が脳機能に良い影響を与える可能性を示す新たな研究成果が発表された。子供(7~9歳)65人に、目標を達成するために行動や思考を調整する実行機能の1つである「抑制」を必要とする課題を行ってもらった結果、食物繊維摂取量と成績の良さが相関したという。また、高齢者を13年間追跡した研究で、認知機能の低下と水溶性食物繊維摂取量の低下に関連があったとも報告されている。現代人にとって食物繊維は脳のプロテクターでもあるかもしれない。   』