TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

クラーナハ展@国立西洋美術館

2017年01月15日 | ♪&アート、とか

最終日前に飛び込んだクラーナハ展、
実はよく知らなかったのだが、日曜美術館で見て興味を持った。
絵画そのものよりも、画家のあり方、みたいなものが気になったのだ。

印象としては、「高い技巧と優れたマーケティング力を持った工房経営者」。
芸術としての絵画ではなく、売れる商品の制作を追い求めたように感じた。
言っておきたいのだけど、それは絵画としての良し悪しとは関係ない。
フェラーリ社が企業であるのと同様、どう届けるかの問題だ。

『ホロフェルネスの首を持つユディト』や『ルクレティア』、
または『マルティン・ルターの肖像』で描かれた眼差しに接すると、
彼らの命や意志が自分の脳の中で立ち上がってくる。
この描写力は、有無を言わせない凄さだ。

一方で顧客のニーズに上手く応えた題材を
効率的に生み出していくその仕組みを見聞きすると、
画家よりもひとつ上のフェイズで制作にあたっていたのではないだろうか。

付随して感じたのは、「工芸品」と「芸術作品」の境界線。
クラーナハの場合は、両方うまい具合兼ね備えている気がする。
絵画としての魅力と同時に、所有する満足も提供する、みたいな。

正直、絵画自体の力に心を奪われる、とはいかなかったが、
クラーナハという人物の絵画を通しての営みにはとても惹かれる。
そういう点では予習というか文脈を知っておくのは大切だなぁ。

ただ、今回音声ガイドの機械を借りたのだけど、
もう少し掘り下げた話が聞きたかった。
後、阿川佐和子氏のコメントは微妙だったなぁ……。
取材に際して事前のリサーチなどされたのだろうか。

東京はこのブログを書いている本日(1月15日)が最終日だけど、
大阪の国立国際美術館では1月28日から。
機会のある方は、是非どうぞ。



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