地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

20周年 その3

2006年06月13日 00時51分46秒 | 時事ネタ
ふたたび「世界週報」5/30号の「20周年迎えたペレストロイカの歴史的意味 ロシ
アの将来世代に正当な評価を」に戻ります。



記事中で様々な「ペレストロイカ回顧」の紹介がなされていますので、要旨抜粋しま
す。

「文学新聞」昨年第15号で、アンドレイ・フルソフの言。
「客観的に、ペレストロイカはブレジネフの"停滞"からエリツィンの"停滞"への過渡
期だった」

「プラウダ」昨年3月10日号から。
「ペレストロイカは大国を破滅に導いた"輝かしくない時期"という見方と、ロシアの
伝統的システムは不滅で、いかなる過激な改革にも影響されない故に、ペレストロイ
カの運命は最初から決まっていた」とする見方を挙げた上で、
「これらは歴史的な現実と矛盾しており、明らかに、わが国と全世界の民主的な再生
へのインセンティブを与えたペレストロイカの歴史的な偉業を低く評価したもので
ある」とし、
「政治におけるプルラリズム、自由経済、宗教の自由、複数政党制、民主的選挙、検
閲の廃止---これがペレストロイカであり、それは他にもソビエト国民の生活に多
くの価値と機会をもたらした」
「外交的には、ペレストロイカによりソ連は社会主義諸国の孤立した存在を終わらせ、
ソビエト式ライフスタイルを他の国に押し付ける熱狂的願望を捨てた」と論じました。

プラウダは、さらに付け加えて、アフガニスタンからの撤兵やプラハの春を弾圧する
根拠としたブレジネフ・ドクトリンの否定も、ペレストロイカに裏打ちされた「新思
考外交」と無関係ではあるまい、としています。

さらに、「20年後の今、ペレストロイカの過ちを語るのはたやすい」として、政治
改革における不徹底な点を指摘しながらも、現在のロシアはじめ旧ソ連独立諸国の存
在はペレストロイカあってこそだと、その歴史的な業績を公平かつ肯定的に評価して
います。

昨年3月27日の新時代誌は、「ゴルバチョフの10の業績」と題する論評を掲載し
ました。その業績の具体的中身は、以下の通り。
①グラスノスチ(言論の自由)
②すべての政治犯の釈放(政治弾圧撤廃)
③植民地戦争の終結(アフガニスタン撤兵)
④ワルシャワ条約機構の解体開始(ドイツ再統一、ベルリンの壁崩壊、東欧自由化、
 バルト諸国の独立容認など)
⑤コンセンサスの概念導入
⑥コーペラチブ(協同組合経営、株取引、通貨自由化)
⑦鉄のカーテン幕引き(海外旅行手続き70%緩和)
⑧予備議会制度(人民代議員大会、新しい最高会議)
⑨中国モデル(天安門広場事件のような流血を伴う近代化)の否定
⑩91年末の、実力行使による、権力やソ連邦の維持(内戦の可能性あり)の回避

英国のタイムズは編集部論文で、
「ほとんど無血で帝国の消滅を容認した指導者は史上極めてまれである」と、賛辞を
贈りました。

また、91年12月にゴルバチョフすら知らないところで、ソ連解体を極秘裏に決め
たエリツィンらの逮捕に踏み切らなかったことに、今なお一部に批判があるとのこと
ですが、その事実に対しても、新時代誌は、「それはゴルバチョフの弱さではなく、
責任感故で、さらなる血を見たくなかったためだ」との評が。

こうした論評が、ロシア国内での20年後のペレストロイカ評価の一端と見て差し支
えない様です。

ラジオ放送「モスクワのこだま」は、今年3月にゴルバチョフをゲストに迎えて、
鼎談番組を放送しました。ここで、ペレストロイカとゴルバチョフへの評価について
アンケートを行ないました。その結果、
●ペレストロイカはロシアに良いものをもたらした---70%
              悪いものをもたらした---30%
●ゴルバチョフに好感を持つ---83%
         反感を持つ---16%
という結果であったとのことです。同放送は、聴取者の知的レベルは全体的に高いと
見られています。

一方、一般ロシア国民の見方が厳しいのも事実です。

VTSIOMの最新世論調査によれば、
●ペレストロイカへの肯定的評価---27%
           否定的評価---53%

●ゴルバチョフを個人的に好感する---33%
             嫌悪する---38%
 この中での別設問 
   現在のゴルバチョフに無関心---54%

これら否定的世論に対し、ゴルバチョフ自身は「幸せな改革者などいない」と自ら
を慰めつつ、「10年前に、ペレストロイカは必要だったと答えていた人は42%
だったが、現在では52%になっている」と、述べているとのこと。いやはや、や
はり大政治家は精神的に強いものですね...


(ゴルバチョフとその盟友シェワルナゼは、それまでのソ連政治家とは全く違うタ
イプの人でした。そのシェワルナゼも、グルジアの政権交代で政治の表舞台から去
りました)

世論調査機関「レバダ・センター」のコメンターは、「高等教育を受けた人ほど、
また若い世代の方が年配者より、ペレストロイカに理解があり、それを高く評価す
る傾向が強い」と述べています。



それでは、〆にかかります。

ロシア新聞2月14日号では「ペレストロイカは長い年月がたってみて初めて、十
分な評価が可能となるであろう」
「(18世紀末の)フランス革命の意義をうんぬんするのは早いと周恩来は生前言っ
た。ペレストロイカが始まって、まだほんの20年にしかならないのだ」とゴルバチョ
フは、周恩来を引き合いに出して、将来の世代に正当な評価を委ねる気持ちを語って
います。

まあ、周恩来は周恩来なりに、中国共産党が行なった「大躍進」政策や「文化大革命」
で、たくさんの同胞を殺してしまって(穏便に言うならば死なせてしまって、または
見殺しにしてしまって)おり、同時代的に見て第三者の鑑識眼に耐えうることはでき
ない、と自己判断したので、上の言が、つい出てしまったのかもしれないと思います。

が、しかし、二百年前の事件に対する評価を、時期尚早と断じることができるのは、
やはり、歴史に巨大な足跡を残した大人物であるからこその特権であり、また、特筆
すべき歴史観を持っているからこそ、その言を己のものとして発することができたの
ではないか、とも考えたりします。



ともあれ、ゴルバチョフとペレストロイカの評価確定まで、まだまだ長い年月が必要
とされる、ということだけは間違い無い様です。  




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