地味ログ東洋硬化.うろつき雑記

寒い時も暑い時も、寒い場所も暑い場所も、処かまわず神出鬼没な東洋硬化の表面処理を、ポップに語ります。

インドインドと草木もなびく、かな?

2006年01月29日 16時50分13秒 | 時事ネタ


先週、(財)産業雇用安定センターの当社ご担当がお見えになり、「かけは
し」という専門誌を配布されていきました。
また、時事通信社が主催する内外情勢調査会の「世界週報」も手に入りまし
た。

ちょうど今、パラパラと読んでいたのですが、「かけはし」の巻頭企画が編
集部による『台頭するインドと日本経済 中国に続く新興経済国家の急成長
の背景を探る』でした。また、「世界週報」の方はジャーナリストの増山榮
太郎氏による『世界が持てはやす「経済大国」の暗部 巨象インド見聞録』
が掲載されていました。

このところ、日本経済と関連付けて、インドの現状を把握していこうという
マスコミの記事が多くなってきていると感じるのは僕の思い過ごしだけでは
ないんじゃないかと思いますが、いかがでしょう。

中国に対するアンチテーゼとしてのインド、反日の中国に対して親日のイン
ド、今世紀半ば以降、中国にも欧米にも付属せず経済超大国となるだろうと
予想されるインドなどなど、マスコミの論調はほぼ好意的にインド経済と国
力の伸びについて述べている様に思えます。

「かけはし」の記事についても、これからすさまじく伸びていくインドに対
して、日本はITを通じて関係を緊密化していく方向にあるとの論旨で、
「そんくらいのことは、もう大体わかっとりますばい」とつっこみたくなる
的内容でした。

較べて、「世界週報」の記事はさすがに全国区の増山氏の記事です。観光ツ
アーに参加した感想文ですよ、と卑下しながらの文ではありますが、総じて
浮かれ気味のマスコミ主流の空気からは一歩引いて、インドインドと草木も
なびくというが、現実インフラなんかは酷いもんなんだよ、との内容でした。
IT立国は当座の小金を稼ぐ為の時間稼ぎであるっちゅー部分、そこまで言
い放つか!、とびっくりしました。

増山氏は、もっともっと大きな流れとしては、総人口11億人のうちの7億
人の非近代的農業従事者の生活水準の向上、今なお現存するカースト制度の
克服、そしてあまりにも貧弱にすぎる物流インフラの水準向上、が本来は主
要なテーマだよ、と述べています。

コルカタ(旧名カルカッタ)やムンバイ(旧名ボンベイ)の路上で、欧米か
らの観光客に群がる圧倒的数量の物乞いの群れ、1億人にも達する1日1ド
ル未満で暮らす貧困層の存在、などを目の当たりにすると、インドのシリコ
ンバレーと持てはやされているバンガロールの様子などは、印象が薄いもの
となってしまうのだと思います。

結局のところ、第2次産業を中心とした国全体の物づくり能力を向上させる
ためには、脆弱なインフラを危急整備しなきゃならないし、整備した暁には
それをきちんと機能させ続けることができる社会規範と人心・民力の向上が
絶対要件であるということなんでしょうね。

これはことインドのみに対して言えるのではなく、中国にも、その他中小発
展途上国にも言えることではありますが。

別にインドに行ってきて書いているわけではないんですが、「インド」とい
う国全体が伸びているのではなくて、インド人の中に優れた能力の人が多々
存在し、世界的にその個々の存在感と影響力を増しつつある、というのが実
態なんじゃないのかな、と思い始めました。

歴史的要件から英語を国内通用語にしている(せざるを得ない)こと、
九×九ではなく、九十九×九十九までそらんじられる様に小学校で暗記させ
ている(これ本当なんですか?マスコミ伝説じゃないでしょうね)こと、政
権交代は必ず選挙によって行なわれる民主主義国家であること、などインド
の優れた面がクローズアップされていますが、それなら何故、今まで国民が
貧しいままだったのでしょうか。

インドの2003年現在の1人あたり年間名目GDPは、たったの613ド
ルです。中国は1,226ドルですから、ちょうど半分でしかありません。
厳しい言い方かもしれませんが、国民の大多数に負け癖がついちゃってるん
でこの現状に甘んじているとしか思えません。このGDPをこれから20年
で20倍なんかにできるものなのでしょうか。ゴールドマン・サックスのレ
ポートではそうなる、と書いてありましたが。


ちなみに米国の2003年の1人あたり年間名目GDPは39,526ドル、
長期デフレに苦しんでいた日本は35,882ドルです。
それよりさらに数年前の、ITバブルの頃は、日本の1人あたりGDPは4
0,000ドルを超えていて、世界第3位でした。日本のさらに上には、ルク
センブルグ(久留米市+鳥栖市ぐらいの人口の都市国家。金融立国)と、ス
イス(人口600万人台の愛知県程度の規模)のみで、数千万人規模以上の
いわゆるサミット参加条件をクリアした経済規模の国々の中では、日本が
トップだったはずです。北欧の高福祉国家群よりもっと上だったのです。
なんか、実感はありませんでしたけど...


蛇足に走りましたが、これからインド経済が伸びていく為には、インフラ整
備とそれを支える民力の向上が不可欠であると思います。


「中国を政治的に牽制する意味でのインドの戦略的再評価がわが国で盛んだ
が、インフラ整備に我らがODAを投入することこそ、その近道である」と
増山氏は結んでいます。


ここ数ヶ月の内に、香港在住の旧友S君とムンバイ+パナジ(ゴア)の表面
処理関係の事業者訪問をすることになりそうなので、なるだけニュートラル
な視線を持ちつつ、かの国の国情を見てこようと思っています。


-------------------------------------------------------
● ㈱東洋硬化へのお問い合せは、当社ホームページの「お問い合せ」欄、
    または、TEL:0942-34-1387 へお願い致します。
● シリンダーロッド・シャフト・ピストン・インナーチューブ・ロール等、
    円筒形状機械部品のクロムめっき再生が得意です。
● 窒化クロム・窒化チタンアルミ・酸化クロム・窒化チタンクロム・
    窒化チタン他、各種高硬質被膜をアークイオンプレーティング
    生成します。
● ローター・ファン・クランクシャフト等のバランシング(回転体釣合せ)
● ラジアルクラウン研削を始めとした円筒研削加工や、内面研削・
    平面研削も行います。
--------------------------------------------------------


人気blogランキングです。押してくださると嬉しいです。