国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

ただのお客じゃありません!

2009年07月30日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
この人のアルバムを見ると黙って手が伸びてしまう。
それが名演であろうと駄演であろうと関係ない。
惚れた弱みというものもあるが、
期待を裏切らない演奏がそこにあるからだ。

そんな僕のお気に入りのトランペッター、
ウディ・ショウのアルバムから今日の1枚。
『ウディ・ショウ・ウィズ・トーン・ヤンシャ・カルテット』である。

最近ウディ・ショウが、70,80年代のジャズ変革期に
結構重要な役割を果たしてことが語られるようになってきた。
先日の「いーぐる」の講演でも
「ステッピン・ストーン」が取り上げられ、
一聴何でもないジャズのように聞こえるが、
そこには創意と工夫が施されていることを村井氏が述べていた。

今日のアルバムは1985年に
オランダのトーン・ヤンシャのカルテットに客員として呼ばれ、
吹き込んだものである。
トーン・ヤンシャという人については全然分からないが、
サックスにフルートと管楽器を使い、
また全曲提供していることから有能であるのだろう。
その上、彼の演奏も一級品なのだ。

ヨーロッパの録音ということもあり、
どことなく気品に満ちた雰囲気が全体にあり、その中に緊迫感がある。
本場のジャズメンを迎え、
自然と空気がピリッと引き締まってくるのが目に浮かんでくる。
だが、ショウは、むしろリラックスをした様子で演奏をしている。
柔らかく、それに軽やかにメロディーをなぞるショウは、
ヤンシャのカルテット共に自分の新しい響きを求めて高々と飛翔していく。

ここでエリック・ドルフィーとの共通点を感じてしまう。
ドルフィーもヨーロッパで何度も吹き込みをしている。
ショウは昔にドルフィーと共演をしたこともあるのだ。
ショウも閉塞していくジャズに新たな光を求めてヨーロッパへ…
な~んてこともあったかもしれない。