睡眠中に足がつり、痛みで目をさましたという経験はないでしょうか。
中高年の方には、睡眠中に足がつる症状がよくみられます。
痛みは数分で治まることもありますが、それでも目がさめてしまうので、くり返すようになると睡眠障害を引き起こします。
睡眠中に足がつる症状は、運動をしている方にも、運動をしていない方にも起こります。
そのため背景には、加齢にともなう足の筋肉量の減少や、動脈硬化による血行不良などがあると考えられています。
足の筋肉は伸縮することで、ポンプのように血液を循環させる働きをしています。
しかし、定期的な運動をしていないと、筋肉量は20歳代を100とした場合、30歳代、40歳代…と進むにつれ、目安として約10%ずつ低下します(60歳代以上では約60%)。
足の筋肉量が減少すると、下半身の血液の流れが低下し、ミネラルやビタミンなどの栄養分の補給もうまくいかなくなります。
その結果、運動をしていなくても、日常活動(仕事、家事、外出など)による筋肉疲労が蓄積しやすくなるのです。
また、中高年になると、加齢や高血圧、高血糖などが原因で動脈硬化を起こしているケースも少なくありません。
足の血管に動脈硬化がみられると、血流量が低下し、悪化すると閉塞性動脈硬化症を起こすこともありますが、この病気も足がつる原因の1つです(ミニコラム参照)。
こうしたマイナス条件(筋肉量の減少、筋肉疲労の蓄積、動脈硬化など)をベースに、
さらに睡眠時には発汗によるミネラルの消費、冷えによる血流の低下などが重なり、足がつるリスクが高くなります。
急に足がつったとき、一般的にはふくらはぎなどのつった箇所の筋肉をゆっくり伸ばすことで、痛みが少しずつ解消されます。
ところが睡眠中に足がつると、眠気もあってあわてて筋肉を伸ばそうとしがちです。
すると筋繊維の断裂が生じ、翌日まで違和感が残ることがあります。
ひどい場合には肉離れを起こすので、筋肉を伸ばすときはゆっくり静かにやりましょう。