偉大な両親、一足早くデビューした兄を追い掛け、三浦家の次男もまた芸能界に飛び込んだ。
父親譲りの精かんな顔立ちに、母親をほうふつとさせる切れ長の目は、まさしくスターの遺伝子。順天堂大では4年間ライフセービングに打ち込み、ガッチリとした肉体を作り上げた。柔和な印象の兄とは違い、硬派な輝きを放つ23歳だ。
この春、大学を卒業する直前に父と同じ道に進むことを決めた。「体育会だったので大学1年の時に寮生活をしていたんですが、十五、六人で一つのテレビを見るのが楽しかった。練習終わった後、疲れてるはずなのにみんな必ず集まってきて。その時、テレビって、みんなを引きつけるパワーのあるものだなと思った。すごくすてきな仕事だなと感じたんです」
将来への思いを打ち明けると、両親は自然に受け入れてくれたという。「昔から『やりたいことは、やれば』という感じだったんで。父は必要以上のことは言わないけどしっかり応援してくれている。母は元気にやっているかの心配の方が強い感じですね」。高校では同じ水泳部に所属するなど、小さいころから競い合ってきた兄からは「へえ、そうなんだ」という反応が返ってきた。
映画は出雲のローカル鉄道を舞台に、様々な理由で運転士になった男たちの物語。与えられた役柄は、肩の故障でプロ野球選手への道を断念し、夢をあきらめた青年だ。「それまで全く演技をしたことがなかったので撮影前は台本を読むしかなかった」。主演の中井貴一(48)、錦織良成監督(47)らにアドバイスをもらいながら、7月末から今月上旬まで同地でのロケに参加した。「最初は失敗してるのかどうかも分からないくらい戸惑ったけど、現場で気さくに話していただいて助けられた」
両親の存在が大きいことは重圧にはならないという。「両親のことは尊敬してます。僕には何もないので、逆に注目してもらえるきっかけになれば」。目指すのは「変に目立つのでなく、作品の一部としてしっかり溶け込める俳優」。若さだけではない。役者としての哲学もしっかりと備えている。