情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

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毎日新聞臺記者が総務省が新聞を射程に収めたと「新聞研究」で危惧~ネット規制反対のパブコメを!その10

2007-07-20 03:59:24 | メディア(知るための手段のあり方)
 「表現の自由」分野で鋭い論評で知られる毎日新聞・臺記者が、新聞研究7月号で、「『新聞』を射程に収めた総務省」のタイトルで、総務省があるある問題などを足がかりにテレビ局への介入姿勢を強めていることを批判した上、そもそも、総務大臣が直接放送行政に携わることの問題点を指摘しつつ、「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長:堀部政男 一橋大学名誉教授)の「中間取りまとめ」について批判しているので、ご紹介します。中間とりまとめへのパブコメは7月20日本日午後5時までです。まだ出していない方は、ぜひ、臺記者のコメントを参考にしてください。もう出した方も追加したいことがあるなと思ったら、ぜひ、追加して下さい。

 臺記者は、総務省によるテレビ局への介入が強まる一方であることを指摘した上、あるある問題をきっかけとして提案された放送法改正案で、放送事業者が「虚偽の説明により事実でない事項を事実であると誤解される放送」を行い、それが「国民経済又は国民生活に悪影響を及ぼす恐れ」があるときは、総務大臣が再発防止計画の提出を求め、総務大臣の意見を付して公表するという新たな行政処分を設けようとしていることを紹介。【総務大臣が事実かどうか最終的に判断することができる仕組みが危険なことは言うまでもない】と鋭く指摘している。

 危険な例として、毎日新聞の西山記者が沖縄基地返還にからんで、日本が米国へ400万ドルを秘密裡に支払う約束をスクープしたが、有罪となった沖縄密約事件を取り上げている。すなわち、米国の公文書などの公開及び当時の外務省アメリカ局長の告白で、密約があったことは客観的に明らかになっているが、日本政府はいまだに、密約はないという立場を貫いていることを指摘しているのだ。
 
 そのとおり!沖縄密約があったと放送すると、総務大臣に「事実と違うことを放送して日本の外交政策に悪影響を与えようとした」という理由で行政処分されるかもしれないのだ…。

 まさに、政府に対する正当な批判さえ、できなくなる…。


 次に、臺記者は、行政機関のトップ(総務大臣)が放送内容の正確性を判断して、何らかの措置を講じることができる国は世界的には例外であることを指摘している。【影響力の大きい放送を政府が悪用しないよう一定の距離を持った独立行政機関が所管している】。

 さらに、国会図書館が作成した資料「諸外国の放送分野の規制監督機関」(07年6月5日付)によると、【欧米・アジア13カ国の中で日本のように国家機関が関与するのは北朝鮮やロシア、中国、ベトナムなど社会主義陣営ばかりで、米英独仏は独立性の高い第三者機関が行っていた。EU(欧州連合)加盟国ではスペインのみだった】というのだ。

 いいですか。日本の表現の自由は、北朝鮮、ロシア、中国並みだということです。市民として、この状態を見逃すのはとっても恥ずかしいことです。

 
 そして、臺記者は、総務省が、放送法や電波法の解釈を拡大してまでも、行政指導を強めていることを指摘する。例えば、放送法3条の2を理由とする行政指導は、2003年度、2004年度は各1件であったが、2006年度は6件に急増し、2007年度には、4月末で3件にもなっているというのだ。

 
 そのうえで、臺記者は、通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長:堀部政男 一橋大学名誉教授)の「中間取りまとめ」についても触れている。

【取りまとめは、ホームページに対する「共通ルール」の策定を提言。共通ルールは、違法・有害コンテンツに対する配慮規定として規定し、関係者全員への遵守を求めるという。さらに、18歳未満への有害図書販売を制限した各都道府県の青少年健全育成条例を念頭に置いた規制の検討も必要があるとした。新聞社がネットで行う記事配信も視野にあるという。こうした規定が、放送法3条の2や3条の3のように総務大臣が行う行政指導の根拠として濫用される恐れは大きい】としたうえ、【放送法改正案とともに、公権力の介入の足がかりとされないのか懸念される】と結んでいる。

 
 なお、これら指摘に対し、「情報通信法、コンテンツ規制強化は誤解」と総務省担当者が勉強会で説明したそうだ(ここ参照)。

 しかし、例えば、【――「有害情報」もきちんと定義しないと、「そのときの政権にとって問題」というものまで入りかねない。客観性をどう保つのか】という質問に対し、

【有害情報の定義は、今回の報告書に書き込めていない。最終とりまとめまでに考えていきたい。「(違法ではないが)一部の人にとってハームフル(有害)なもの」といった単純な定義ではない。乱暴な定義にするつもりはない】と回答するのみで、いかに、政権から独立した判断とするか、などという発想は全くないことが分かる。

午後5時までもう12時間ほどですが、ぜひ、パブコメを! 

その1その2その3その4その5その6その7その8その9もご参照下さい。)







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1 コメント

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Unknown (m-maki)
2007-07-20 20:29:28
はじめまして。本日、ギリギリで、パブリックコメント送りました。ご報告まで、ということで、書き込ませていただきました。おかげさまです。ありがとうございます!
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