情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

画期的判決を守るために教育基本法を守ろう!~判決全文掲載+日弁連の意見書紹介

2006-09-22 23:09:10 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
昨日の画期的判決に対し,一部からは,教育基本法が悪い,「改正」すべし…などという声があがっているようだ。それこそ,とんでもない考え方だ。今回の判決は,画期的ではあるが,恐らく,法学部生がこの問題について判決を書けと言われた場合,同じような趣旨の判決になるはずだ。つまり,憲法を素直に解釈すると国歌斉唱時に起立を強制されることなどありえない。というわけで,すばらしい判決の全文をまもなくこちら(←クリック)にアップします。反論する人は,せめて,判決を読んでからにしてくださいね。当事者の主張はとばして,まずは,前提事実と争点に対する判断をお読み下さい。

なお,日弁連が教育基本法改正案への反対意見書(←クリック)を発表しているので,一部を引用する。


■■引用開始■■

個人の基本的自由を認め、その人格の独立を国政上尊重すべきことを求める憲法の下において、国家による教育内容への介入はできるだけ抑制的であるべきであり、子どもが自由かつ独立の人格として成長することを妨げるような教育への国家的介入、例えば誤った知識や一方的な観念を子どもに植え付けるような内容の教育を施すことを強制することは許されない。この憲法上の要請を担保するものとして規定されたのが現行教育基本法の10条である。
同条は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」(第1項)、「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」(第2項)と定め、教育に中立性・不偏不党性を求めるとともに、教育現場における自主性・自律性を尊重すべきことを表明し、もって、国家による教育内容への介入はできるだけ抑制的でなければならないとする憲法上の要請を担保するものとなっている。
しかし、これと対比されるべき政府案16条は、現行法10条1項の「教育は、不当な支配に服することなく」との文言は残存させながらも、同項の「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」との表現については「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであ(る)」へと改変し、さらに、同条2項の「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」との定めは削除している。
その結果、政府案においては、政党政治の下で多数決原則によってなされる国政上の意思決定に教育を全面的に委ねることになりかねず、本来人間の内面的価値に関する文化的営みとして、党派的な政治的観念や利害によって支配されるべきではない教育の在り方を損なうことが強く懸念されるとともに、教育行政の名で必要な諸条件の整備確立を超えて国家権力が教育内容に介入することも可能となり、これを抑制するための歯止めも失われることになる。
しかも、政府案の17条は、政府と地方公共団体が教育振興基本計画を定めることを規定しているが、これにより「教育目標」の、達成計画、達成度評価、効果的達成を促す予算配分などを通して、教育に対する更なる国家的介入を招きかねない。
立憲主義的性格を有する教育基本法においては、教育現場の自主性・自律性を尊重し、教育における自由な領域を確保することの重要性はいうまでもない。教育への国家的介入を抑制し教育現場の自主性・自律性を尊重する要となる教育基本法10条の意味を失わせる政府案は、立憲主義的観点から重大な問題がある。


■■引用終了■■


児童・生徒に起立を強制しろって人はさすがに少ないと思うんですよ。だっておばぁちゃんが日本軍人に殺されたっていう経験を持っているかもしれないんですから…。

児童・生徒に起立を強制できないのであれば,教員に起立を強制できるはずがない。教員に起立を強制することは間接的に児童・生徒に起立を強制することになるのは間違いないからです。

そんなに難しい話ではないように思うんですが…





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「暴力行為に断固抗議」加藤紘一議員放火事件に対し,第二東京弁護士会が会長声明

2006-09-22 22:32:33 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
第二東京弁護士会が,山形県弁護士会,福岡県弁護士会についで,本日,加藤議員への暴力行為に抗議する声明をだした。タイトルは,「自由な言論や報道を封じ込める暴力に断固抗議する会長声明」。以下,引用します。

■■引用開始■■

 去る8月15日、山形県鶴岡市にある加藤紘一衆議院議員の実家と事務所が放火により全焼するという事件が発生し、9月19日、右翼団体の構成員であった被疑者が現住建造物放火罪と住居侵入罪で山形地裁に起訴された。現時点では未だ解明されていない点が残されているが、報道によれば、被疑者は、加藤議員が小泉首相の靖国神社参拝について反対意見を表明していたことに強い不満を抱いており、これが放火に至る動機の一つであると考えられる。
 靖国神社への首相参拝を巡っては、たとえば、昨年1月に参拝に反対する発言をした財界関係者の自宅に火炎瓶が置かれ、実弾も郵送される事件が発生し、また、本年7月にも、昭和天皇が靖国神社のA級戦犯合祀に不快感を示す発言をしていたとされるメモをスクープした新聞社に対して火炎瓶が投げられるなどの事件が発生している。また、そのほかにも、本年1月に、暴力団幹部の記事を書いたフリーライターの長男が暴力団関係者に刺される事件が起きたことも記憶に新しいところである。

 これらの事件に共通するのは、いずれも、自己の意見に反対する言論を、暴力によって封じ込めようとする点である。
 言論の自由は、憲法が保障するもっとも重要な基本的人権のひとつであり、民主主義社会を支える不可欠の基盤をなすものである。
 私たちは、民主主義社会を根底から否定するこのような暴力行為に断固として抗議する。

 言論を封殺するための暴力行為は、目に見えない形で言論の自由を萎縮させる効果をもたらす。社会や政治に対する批判的な発言や報道をすることが、自己に何らかの不利益をもたらすのではないかという漠然たる不安が言論の自由を萎縮させていないか、常に監視し、自問自答する必要がある。私たちは、市民の知る権利を実現すべきマス・メディアが、かかる暴力行為にひるむことなく、自由に意見を表明できる社会を確立・発展させるために一層の努力を尽くすよう、期待する。

 同時に、私たち弁護士会も、憲法上の権利を守り、発展させることをその使命とする法律家団体として、いかなる意見も自由に表明できる民主主義社会の大切さを広く訴えるとともに、自由な言論や報道を萎縮させるあらゆる暴力行為を許さない社会を創るため、市民とともに全力を尽くす決意であることを表明する。
2006年(平成18年)9月22日
 第二東京弁護士会
会長 飯 田  隆


■■引用終了■■

なお,先日,福岡県弁護士会のページが変だという指摘をしましたが,私の勘違いだったようです。ちゃんとここ(←クリック)にありました。スクロールすれば…。



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