情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

「イギリスではテロを防いだ」と安倍が共謀罪成立へ意欲満々~本当に共謀罪が役立ったのか…

2006-09-04 23:04:06 | 共謀罪
読売新聞によると,【安倍官房長官は3日、盛岡市内での自民党東北ブロック大会で、秋の臨時国会への対応に関して、教育基本法改正案に加えて、「共謀罪」創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案と、防衛庁の省昇格関連法案の成立を目指す考えを表明した。】という。

具体的には,【安倍氏は「(臨時国会で)大切なのは教育基本法の改正だ。防衛庁の省昇格(法案)も、テロを防止するための刑法の改正(組織犯罪処罰法改正案)もある」と述べた。】うえ,【2000年に国連総会で採択された国際組織犯罪防止条約を批准するための国内法整備である組織犯罪処罰法改正案に関して「イギリスではテロを未然に防いだ。条約を結んでいる以上、国内法を整備する責任は果たしていくべきだ」と語った。】らしい。

安倍さん,あんたは,立法者として,共謀罪を成立させる必要があると明言し,その根拠をイギリスの「航空機爆破事件」の摘発を挙げた。では,その摘発のために,共謀罪の存在がいかに役立ったのか?日本ではそれに代わる法律があるのかないのか?これらの疑問にきちんと説明する義務があるよ。その説明をしないと,あんたが言ってることは,ただの床屋談義,井戸端会議の延長に過ぎない。雰囲気だけで人権侵害の恐れが大きい法律を成立させられては困るんだよ!

メディアもこの発言とそれに関する突っ込みをきちんと伝えてほしい。無責任な発言を繰り返した小泉の再現を防ぐためにも,最初が肝心ではないか。

肝心と言えば,与党の共謀罪成立への動きが始まったのなら,私達阻止する側も再び,連携して態勢を整えないと…。頑張りましょう!





※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。

格差社会ではない不平等社会なのだ~中野麻美弁護士

2006-09-04 06:17:28 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
中野麻美弁護士の市民憲法講座での講演が奥平康弘教授らが共同代表を務める「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の会報誌「私と憲法」63号に掲載されている。労働現場における男女間の不平等を中心にした話だったようだが,格差という言葉に対する疑問を述べた部分が印象深かったので引用します。

■■引用開始■■

最近,「平等」「不平等」という言葉を使わなくなっていることに私は大きな危機感を抱いています。「格差」というように,きれい事にして,何か他人事のように受け入れることができるのが,「格差」という言葉だと思うんです。「不平等」という言葉を使ったらどうですか。

ある人が格差という言葉を英語に翻訳しようと思った時に,ハタと思いとどまった,と言うんですね。「格差」に対応する英語はない,やっぱり「不平等」なんだ,と。なぜ日本の社会は「格差」という言葉を使わないのか,と。それはこの所得格差が意味している本質的な部分,日本がいかに差別を許容し,不平等を許容してきた社会であるのかを気づかせない一つのイデオロギー操作なのではないか,と思うのです。「格差社会」という呼び名そのものが,事態の深刻さから人々の目をそむけさせている一つのイデオロギー操作になっているということは,ひとつ申し上げておきたいと思います。

これが憲法14条で法の下の平等を保障し,憲法25条で,誰にも健康で文化的な最低限の生活を営む権利があるとうたいあげ,人権保障と,1人ひとりが軽重なく国の主人公であって,誰もが平等に政治に参加する権利があるという,民主主義社会を標榜している日本国憲法の下で起きている出来事なんです。

■■引用終了■■

確かに,格差社会と不平等社会ではインパクトが違う。メディア各社は,今後,不平等社会という言葉を使ってはいかがでしょうか?

それにしても,整理解雇をリストラ,不定期バイトをフリーター,無職をニートと言い換えるなど,労使関係でこのようなイデオロギー操作が目立つような気がする。逆にいうと,政府は,労使関係が大幅な投票行動の変化につながる可能性があるとみて,危機感を抱いているのではないでしょうか?






※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。