情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

メディアは党と人民の『のどと舌』(中国指針)~欧米は非難,日本は?

2006-09-25 07:10:14 | メディア(知るための手段のあり方)
ここのところ,中国で,報道規制が相次いでいる。2008年の北京オリンピックを前に天安門事件のようなことを起こさせないという方針なのかも知れないが,報道規制を行うことで市民の発言を抑え込もうとする姿勢は厳しく批判されなければならない。はっきり言って,オリンピックをボイコットするという圧力くらいかけてもいいくらいの異常な事態だと思う。しかし,日本政府も,こういうときに,きちんと,声を挙げないと,国際的にますます精神的自由後進国のレッテルを貼られますよ!

1つめの報道規制は,【中国政府の宣伝機構であり中国最大の通信社である新華社は、9月10日にReutersやBloombergやDow Jonesら中国外の国際的な通信社に対し、中国内への報道は新華社のチェックを通さなければいけないという新条例「外国通訊社在中国境内発布新聞信息管理辧法(直訳:外国通信社の中国国内におけるニュース発布情報管理方法)」を発布した。この条例はニュース情報の中国本土の顧客への販売だけでなく、銀行や金融サービスへの情報提供も含まれる。】というもの(CNET Networks Japan←クリック)。

【条例では中国内で発布する内容を規定しており、中国統一を破壊する内容、中国の宗教政策や邪教迷信を広める内容、民族の団結を壊す内容、猥褻な内容、中華民族の風俗習慣を侵害し感情を傷つける内容、虚偽の内容を散布し中国経済を混乱させる内容、社会道徳や中国の文化伝統に危害を与える内容、その他法律や条令で禁止されている内容に関して禁止するとしている。この規定に背いた場合、配信資格取り消しの処置を受ける。】というものらしく,

【欧州委員会はこの条例発布を受け、大いなる憂慮を表明した。欧州委員会のスポークスマンのJohannes Laitenberger氏はベルギーの首都ブリュッセルにおいて「このような規制性のある措置に強く反対を表明する」とコメントした。】という。


もう一つの規制は,【中国共産党と中国政府は今月十三日、第十一次五カ年計画(二○○六-二○一○年)期間中の文化方面の重点指導項目について指針を示す「国家文化発展計画綱要」を公布。「新聞事業」として一章を設け、メディアに対する指導方針を規定した上で、メディアの役割を「世論を正確に導くことを第一に置き、積極的かつ健全に向上する主流世論を固め、発展させること」と強調した。 一方で「メディアは党と人民の『のどと舌』としての性質を確保しなければならない」と指摘。メディア側に、党や政府の意に沿う形での報道姿勢を露骨に求めた。また、インターネットでのニュース発信の管理を強める必要性も盛り込んだ。】というもの(道新←クリック)

この背景には【大衆紙など新興メディアは、国内で続発する水質汚染や炭鉱事故などに絡む地方政府の不正などを積極的に報道。中国指導部はこれに一定の評価を与えながらも、このままメディアの“独走”を許せば体制への不満を抱える貧困層などに火を付ける事態も懸念されることから、実はブレーキをかけたいのが本音だ。】という事情があり,

【重大事故に備えるため法制化が進められている「突発事件対応法」の草案にも、報道機関が許可なしで事故を報道した場合に罰則を科すメディア規制の項目が盛り込まれる方向となっている】らしい。

近隣国家としては,市民の間での自由な情報流通が阻害されることは,安全保障の観点から危険な兆候なのだから,政府として,きっちり対応して欲しいところだ。

もちろん,その際には,【日本としては、中国の言論統制の実態を直視し、異なる価値観を持つ異質な国と対しているのだという認識を常に新たにする必要があろう】(産経)などという見方ではなく,現政府の政策が誤っているという観点からの批判をするべきである。異質な国扱いをすることでは何ら問題解決にはならないでしょう。





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