情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

ブッシュ側近不起訴~追いつめられるネタだっただけに残念

2006-06-21 22:32:02 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
米中央情報局(CIA)の工作員の氏名漏洩問題に絡み、取材源の公表を拒否し、法廷侮辱罪に問われた米ニューヨーク・タイムズ紙のジュディス・ミラー記者(57)が6日、米バージニア州の施設に収監されるなどした一連の事件で(ここ参照「←クリック),フィッツジェラルド特別検察官が工作員の氏名がメディアに漏れたことについて,機密情報漏洩の疑いで,ブッシュ大統領の懐刀であるカール・ローブ上級顧問を調査するなどしていたが(ここ参照←クリック),結局,【米ブッシュ政権内で大統領が最も信頼を置くローブ大統領次席補佐官が、中央情報局(CIA)工作員実名漏えい事件で起訴されない見通しとなった。14日付の米紙ワシントン・ポストによると、3年近くかかった特別検察官の捜査は、ローブ氏不起訴で終了する見通し。副大統領首席補佐官だったリビー被告は起訴されたものの、「政権ぐるみではないか」と指摘された漏えいそのものの立件はなされておらず、全容が解明されないままの幕引きとなる。】もようだ(ここ←)。

この問題は,【ブッシュ政権のイラク戦争を批判していた元ガボン米大使ジョセフ・ウィルソン氏の夫人の素性が、マスコミに公表されたのがきっかけ。2003年7月14日、保守のコラムニスト、ロバート・ノバク氏は、ホワイトハウスの複数の政府当局者の情報を基に、夫人の実名を挙げ、CIAの秘密工作員だと暴露した。この情報漏洩は、政府批判を行なっていたウィルソン氏への報復との見方も出ている。】というもの(前記ベリタ)。

macska dot orgさんは,【当時のブッシュ政権はイラクが大量破壊兵器を所有しているという名目でイラク侵攻の準備を進めており、ニジェールからの核物質輸入説はそうした主張を裏付ける数少ない論拠の1つだった。ところがこの外交官は、それが偽造であったことを誰にも分かるような形で明らかにしてしまったのだ。その直後、ホワイトハウス内部から情報提供を受けた保守系コラムニストによって彼の妻がCIAの所属であることを実名込みで暴露されたのは、政権側からの彼に対する報復であり、これ以上しゃべればもっと何か起きるぞという脅しであったという見込みが高い。】と説明している。


◆疑惑が解明されなかったことは本当に残念だ。


上記時事通信は,【ローブ氏の不起訴は共和党に追い風だ。選挙参謀として能力を発揮する同氏は大統領の側近中の側近。2004年の大統領選挙でブッシュ再選の中心的役割を果たした。事件の重しが取れれば政治的活動は自由度を増し、共和党不利といわれる中間選挙に向けて態勢立て直しに全力を挙げるとみられる。】と伝えている。


◆ブッシュの息の根を止めることができたネタだけに本当に残念!

ところで,ブッシュ政権幹部がCIAの工作員の情報を漏らしたという皮肉的状況は,従軍慰安婦問題について「あれは単なるビジネスだ」などと主張する安倍次期首相候補が,従軍慰安婦をネタに信者を脅して献金を募っている統一協会の関連団体の合同結婚式に祝電を送るという皮肉的状況といい勝負だなぁ…。




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橋本勝の政治漫画再生計画-第25回-

2006-06-21 15:56:02 | 橋本勝の政治漫画再生計画
ブーツ・オン・ザ・グラウンド(日本列島)


【橋本さんのコメント】
ブッシュ,小泉のコンビによる大いなる成果ともいうべき米軍再編が着々と進む。特に神奈川の座間に,米軍統合作戦司令部が移駐されることに顕著なように,日本がアメリカの世界戦略の重要拠点となり,米軍に取り込まれた自衛隊が,共に戦うなんてことになりかねない。米軍の軍靴がのしかかるグラウンド(日本列島)の運命やいかに。



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このニュースは統一協会への祝電よりも…「自衛隊の海外派遣、恒久法制定に安倍氏前向き」

2006-06-21 00:42:18 | 有事法制関連
朝日新聞によると,【安倍官房長官は20日の記者会見で、イラク南部サマワに派遣している陸上自衛隊の撤収に関連し、特別措置法なしで自衛隊の海外派遣を可能にする恒久法の制定に前向きな姿勢を示した。自衛隊のイラク派遣などをきっかけに、政府・与党内には、自衛隊の海外での多国籍軍参加を念頭に、恒久法制定を求める声があり、次期政権の課題の一つになりそうだ。】とのこと。

同紙は,さらに,【安倍氏は恒久法の制定について「(自民)党ですでに協議検討が行われている。機動的な対応、国際貢献も可能になってくる」と説明。政府関係者も「次期政権は取り組まざるを得ない。具体化はイラクから空自がすべて撤収してからだ」との見通しを示した。】と伝えている。



このような発言をする安倍を絶対に首相にしてはならない!

首相にしたら,信任されたと言って,次からは実戦に参加することになるだろう…。

この発言をインターネット上だけでなく,もっと多くの人に伝えましょう!

殺人者にも被害者にもなりたくはない!





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デジタル時代のNHK懇談会報告~政治から自立するために放送法改正を!

2006-06-21 00:17:55 | メディア(知るための手段のあり方)
デジタル時代のNHK懇談会の報告が6月19日,発表された。その内容は,ここ(←クリック)で確認することができるが,少なくとも,政治的圧力からいかに自立するかという観点ではしっかりした問題意識が盛り込まれているものとなっている。

20頁からの「おわりに-公共放送の自主自律のために、放送法は根本的に再検討されるべきである」をゆっくり味わって欲しい。

特に,21頁あたりに次のような指摘がされている。

【NHKの仕組みや事業内容、予算の成立の要件等については、放送法をはじめとする諸法令に定められている。経営委員会の委員が衆参両議院の同意に基づいて、内閣総理大臣によって任命されること、各年度の予算についても、国会承認を必要とすること等は、その端的な例である。NHKの公共性は、内閣や国会が関与するこうした仕組みによって担保される、というわけである。
 だが、ほんとうにそうなのだろうか。むしろこの制度こそが、NHKが、政府や政党や政治家の意向や動向に必要以上に気を配り、肝心の視聴者を軽視する傾向を生みだしてはいないだろうか、と私たちは危倶している。】


この問題意識は正しい。民主的コントロールという名目で政治権力によって監視されているのが,現在のNHKの姿である。


【議院内閣制のもとでは、議会は,有権者の選挙によって選ばれた議員によって構成され、内閣は議会の信任によって成立している。有権者のさまざまな期待は個々の政党や政治家に託され、立法につながり、行政によって税金を財源に実行される仕組みだが、果たしてこの一連の過程で、公共放送NHKの視聴者はどこに位置するのだろうか。
 視聴者は有権者と同義なのか。有権者の代表たる衆参両議院の議員は、同時に、税金とは別に受信料を支払っている視聴者を代表できるということか。あるいは、NHKは予算等の説明を国会ですれば、視聴者へのアカウンタビリティー(説明責任)を果たしたことになるというのだろうか。】


視聴者に対する責任と国会に対する責任とを混同してはならないはずだ…。


【おそらく、そうではない。NHKに限らずマスメディアは、立法行政・司法の三権から十分な距離をとって存立し、広範な視聴者や読者とのあいだに(直接的)な信頼関係を築くことで、その存在の根拠と正統性を獲得するものである。このことは近代という時代が言論・報道・表現の自由を基盤に成り立って以降、どの社会においても繰り返し問われてきたテーマであり、そのたびに確認されたのは、メディアが視聴者や読者と直接に向き合うことの重要性であった。】


メディアの存在価値は,権力の監視に尽きるわけです。


【私たちは、一連の不祥事の背後に、この重要性を忘れさせる制度的問題があったのではないか、という疑念を捨てきれない。相次いだ金銭的不祥事や、政治的中立性を問われたりする行為は、一見別々に見えるが、いずれも視聴者の軽視という同根から発している。これらは、NHKが視聴者に対してではなく政府や政治家の意向や動向に過敏に配慮せざるを得ない放送制度と、それを根拠づける放送法が生じさせたのではないか、少なくともその遠因を形成してはいないだろうか。】


そのとおり。なぜ,NHKの予算について,国会の前に,自民党の総務会などに会長が出席して質問されなければならないのか。そのようなことを許す制度であっていいのか?


【このように語りながら、私たちが感じているのは「時の流れ」、つまりは時代が確実にひとめぐりした、という思いである。現在の放送法制の骨格は、民意を国会に集中させるという戦後民主主義の高揚のなかで、先人たちが知恵を絞り、もっともふさわしい制度として形作ったはずである。それからテレビ放送が始まり、高度経済成長があり、民放が続々と登場し、NHKの放送波も増え、ハイテクや情報化や国際化の広がりと深まりにつれて経済も政治も社会も多様化し、複雑化してきた。3 0余回という放送法改正の軌跡は、それぞれの範囲になされた工夫と努力を示しているだろう。】


ここは美化している。日本の戦後の民主化は,放送法の改悪によって,つぶされてしまった。占領下では,直接郵政省(現総務省)が放送局免許権を握るのではなく政府から独立した独立行政委員会である電波管理委員会が免許権を握ることで,放送局が時の政権の道具とされることを防ごうとしたが,吉田首相は,サンフランシスコ講和条約締結後,まもなく,電波管理委員会を廃止し,郵政省が直接放送局に口出しすることを可能とした。そして,後に田中角栄はこの権限を使って放送局を系列化し,掌握してしまったのである。この点について,事実と対峙する必要がある。報告書は次のように続ける。


【そのなかで、マスメディアはときには「第4の権力」と呼ばれるほどに巨大化し、強い影響力を持つようになった。視聴者や読者がテレビや新聞雑誌に向ける目はかつてなく厳しくなり、それはとくに受信料で成り立つ公共放送NHKに注がれるようになった。こうした時代の変化、人々の意識の変容は、いま重く蓄積され、5 6年前に原型が制定された放送法によってその基本構造がほぼ固定されたままの放送制度とのあいだに大きなズレを生じさせているのではないだろうか。】


ここはやはり事実から目をそらせている。戦後は,自民党に対する予算の事前説明などを仰々しく行うことはなかったが,長期政権となるにつれ,説明の規模が大きくなり,ついには,会長までも出席するようになってしまった…。

【放送法は、この重大な問題の解決に向けて、根本から両検討されるべきである。公共放送NHKが視聴者に直接にアカウンタビリティーを果たし、広く合意を形成し、信頼関係を醸成できる仕組みが構築されるよう、その基本構造にまでさかのば-って見直されるべき時期にきている。】


見直すべきだという結論には大いに賛成する。


【これが容易でないことは、私たちも理解している。国会に代わって、誰が、どのような機関が、公共放送NHKの事業内容や予算等を審議・承認し、監督するのか。そのための機関をあらたに設置するのか、あるいは現在の経営委員会の役割を定義しなおして第三者機関に改組し、その任に当たらせるのか。そもそもそのような機関の人選をどうするのか。その人たちが広範な視聴者の意向や期待を反映していると、どうすれば保障できるのか…。】


そのヒントは,戦後間もなくの電波管理委員会にあるはずだ。

【どれも難問ばかりだが、だからといって放置しておくわけにはいかない。これらに向き合うことは、この国の民主主義のあり方を問うことと同義であり、その努力なしに主張される改革が十分な正統性を持つことはないだろう。マスメディアが高度に発達した国々はどこも、この同じ課題に直面し、それぞれのやり方でメディアと、とりわけ影響力の大きい公共放送と政府や政治家との距離をとろうと試行錯誤をかさねている。
 その努力の核心をなすのは、公共放送は視聴者のものであり、視聴者のためにあり、視聴者のみに責任を負うという信念である。その信念が貫き通されるなら、たとえどんな困難にぶつかろうとも、そのときは視聴者が公共放送を励まし、支えてくれるだろう。信念はそうした視聴者に対する信頼感にも基づいている。それはまた、私たちがたどり着いた結論でもあった。】

励ましたいと思う。そのためには,NHK内部でも自立する法的枠組みを真面目に検討して欲しい。

…というか,我々の側が,放送法を改正し,NHKの自立を実現すべく,積極的に,声を挙げなければならないと思う。メディアのあり方は,政治のあり方に密接に関連するのだから…。


参照記事:「NHKが独立行政委員会制度を提案?!…過去完了形」←クリック
「言論の多様性を確保する方法」←クリック



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