情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

NHKが独立行政委員会制度を提案?!…過去完了形

2005-11-06 22:46:46 | メディア(知るための手段のあり方)
 先日,紹介したNHK受信料・政治介入問題を考えるシンポジウムに行ってきました。討論を聞いているうちに,やはりNHKの透明度を高め,市民参加のシステムを設けるしか,道はないのかなぁ,と思った。そもそも,NHKと似たシステムのBBCが政府から一線を画することができるのは,政権交代があるからどちらか一方に偏ることできない,という理由が大きいと思うが,日本では自民党長期政権が続いているため,どうしても権力にすり寄ってしまわざるを得ない。それを防ぐには何がNHKで行われているかが分かる制度にするほかない,と思うのです。

 日本でも,直接郵政省(現総務省)が放送局免許権を握るのではなく独立行政委員会である電波管理委員会が免許権を握っていた時代がわずかだがあった。1950年から52年までのことだった。基本的には,政府から独立した委員会が放送局免許権を担当することで,放送局が時の政権の道具とされることを防ごうとしたのだ。 
 ところが,吉田首相は,サンフランシスコ講和条約締結後,まもなく,電波管理委員会を廃止し,郵政省が直接放送局に口出しすることを可能とした。後に田中角栄はこの権限を使って放送局を系列化し,掌握してしまった。

 この電波管理委員会の廃止こそ,日本で自民党が長期政権を維持することを可能にした最大の要因だと思う。権力監視ができないテレビ局,そのテレビ局を人質に取られた新聞…。

 そんなことを思いながらシンポを聞いていたところ,NHK自身が総務省ではなく,独立した行政委員会の監督下に移すよう運動することはできないかなぁ…と夢想してしまった。いまの状況では考えられない。NHKだけでなく,民放だってそんなことは言い出せない。
 
 と思いながら,帰りの電車で岩波新書「NHK」(松田浩)を呼んでいたところ,何と,NHKが自ら,独立行政委員会構想を提案したことがあったことを知り,驚いた。

 1962年,放送法の全面改正への取り組みがなされるなか,NHKが廃止された電波管理委員会と同じ性格の委員会を提案していたというのだ。しかも,東大の我妻栄(民放),鈴木竹雄(商法),田中二郎(行政法)という一流の学者をメンバーとした研究会で十分に検討した上での提案だったらしい。
 
 この提案では,NHKを「国民基盤にたった国民全体の機関」「受信者を構成員とする一種の“公の社団”」と理論づけ,その自主性と自律性を担保するためにも構成員である受信者は受信料を支払う義務を負うとしていた。

 いまなら考えられない提案であり,考えられないということ自体,1962年当時と比較して,権力監視機能が衰えていることの裏付けだと思う。
  

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1 コメント

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勘違いで二重TBしました (田中県政追撃コラム発行人)
2005-11-07 11:35:21
勘違いで二重TBしました。記事の趣旨から、こちらのTBを残して古いものへのTBは消していただいても結構です。
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