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情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

タイトル名変更~News for the people in Japan

2006-08-10 21:20:02 | インターネットとメディア
情報発信源の一つにしたいという思いで始めたHPの名称をNews for the people in Japan(←クリック) に変更しました。従前の名称だと,日本人のニュースという印象で,日本に在住・滞在している外国人を排斥するような感じがするとのご指摘を受けたための変更です。

市民側の掲示板としても使って頂きたいと思っています。催し情報などありましたら,お知らせ下さい。テスト版ではありますが,有益な情報については,流通の一助になりたいと考えています。




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市民メディアの試み「News of Japanese People」~ご意見募集中

2006-08-07 19:41:47 | インターネットとメディア
市民メディアの試みはいろいろなところで行われていますが,私も仲間たちとNews of Japanese People (←クリック)というHPを作成しようと模索してます。テスト版が立ち上がりましたので,ご紹介します。もしよろしければ,ご覧のうえ,どのような内容にすれば,魅力のあるページになるか,どのような内容を盛り込む必要があるか,どんなご意見でも構いませんので,お聞かせ下さい。また,こんなことを考えているのがいるが,どう思うか,という形ででも,この試みをご紹介頂ければ幸いです。


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NHKがデジ墾の議事録をようやく掲載~こんなに的を射た議論をすぐに掲載しないのはなぜ?

2006-08-05 01:37:48 | インターネットとメディア
6月19日に最終報告書(ここ参照←クリック)を発表した「デジタル時代のNHK懇談会」の4月から6月にかけての議事録が,報告から1ヶ月半近く過ぎた今になってようやく,掲載された。政治的圧力からいかに自立するかという興味深く,本質的な議論がされているのに,報告書が発表されてから時間をおいて掲載するのは注目させたくないからか? とも思ってしまう。以下一部引用します。


■■第14回議事録←クリックしてから14回を選んで下さい■■

梶原委員  個々にはそういう執行責任となりますが、経営全体のポリシーの問題であれば、ポリシーに対して誰かが責任を負わないといけないということです。国営放送的な感覚と視聴者がガバナーという感覚とミックスされてしまっている。例えば、受信料というものを、罰則を加えて義務化していくと、体質的にも、性格的にも国営放送的になります。長谷部代行がおっしゃったBBCの発想ですと、視聴者に責任を負うことになると内部的な責任体制になる。そのところが歴史的な経緯もあるのでしょうが、曖昧模糊としているから、一体、経営委員会とはどういう存在なのか。誰から経営を負託されているのか。国からNHKの経営を負託されているのか。視聴者のほうから負託されているのか。その辺が曖昧なものですから、経営委員会をどうするかという前に基本論をはっきりしないといけない。
 国は税金は出したくない、なるべく受信料で賄えといいながら、発言権は留保したいということになります。いよいよ不明確になってしまう。この場では我々の意見というのは、NHKが、どういう方向を目指すべきなのか。国営放送的な方向なのか、BBCのように、お金を出してもらっている視聴者に責任を負うという方向を目指すべきなのか。
 一番大事なところを明確にしないと、枝葉末節だけ弄っても責任体制が不明確になるばかりですから、どういう方向でいくのかはっきりしないと経営委員会をどうするということも考えが出てこないと思います。

辻井座長  そこはどうも合意は取れているように思うのですが、国営、官営というのか、国(官)と公(パブリック)と民というように3つを考えたときに、公でいくべきだということは、だいたい合意が取れているように思っているのですが。

梶原委員  ガバナーというのは誰が。

辻井座長  それは最終的には視聴者ですが。それを国会が承認をするということになっているので、国会というのは国民の代表で、視聴者イコール国民ということで、三段論法でいっているところに無理があるわけです。三段論法ではそうなるのですが、本当は三段論法ではない。時の政権によっていろいろな政治家が出てくることになると、政治との距離が問題になるわけです。

梶原委員  国会が視聴者を代弁しているのは、かなりのフィクションだと思います。むしろ国営放送的な感覚で国会議員の先生方は考えている。

辻井座長  だからどうやって視聴者を代表できる機関を作れるかということで、いい案であれば書きたいということです。

梶原委員  デジタル時代という意味ですが、これはガバナンスにも関係してくると思います。それぞれ受信者の身元、本人確認さえできれば経営について常時意見を聞くことができるわけです。大量処理も十分可能ですから、前から繰り返して言っていますが、視聴者と直結するパイプを経営の責任者が持つということが大事ではないか。フィクションで視聴者を国会議員が代弁していることが諸悪の根源と思います。

辻井座長  それはそうなのですが、それに代わるいいアイデアがあればということで、デジタルという技術を使うというのがあります。それを経営委員会のもとにおいてというのはあります。私もこの10年くらい第三世代の電子投票というのを、任意の端末から投票できる。これはなかなか総務省も定義していない、いろいろな問題があって、政治家も喜ばないのです。
 さっき技術では簡単にできるけどというのはそうではないのです。技術も問題が残っていますが、それ以上に政治家が喜ばないとかいろいろ問題があるのです。アンケート調査くらいならできるだろう。つまり本当の衆議院の選挙、参議院の選挙は無理です。まだだいぶ先になるのです。

■■引用終了■■




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韓国市民メディアに続け~市民側の情報を発信しよう!

2006-07-25 08:23:59 | インターネットとメディア
韓国の市民メディアを積極的に日本に紹介している李泳釆さん(下記書籍の共著者)から,韓国事情と日本の現状に対する提言を伺う機会があった。韓国では,火焔瓶をパソコンに持ちかえて,政権に向かっていった多くの方が市民運動を支えているようだ。比べて日本ではどうか。市民運動はけっして絶えてはおらず,集会もあちこちで開かれているが,これを集会以外で発信しようという意識は全くない…という李さんの指摘は正しい。

対する政権側は,大手メディアを手なずけているだけでは飽きたらず,記者会見をインターネットで流すなど,プロパガンダに余念がない…。

これでは,市民運動に参加しようという若者は増えない。

市民運動を支える人も高齢化しており,ここで情報発信をしなかったら,本当に市民運動が死滅しかねない…。

戦略として,市民メディアを支える組織を設けることが大切だということも李さんから説明があった。しかし,日本の自民党政権のもとでは,そのような組織の制度化は望めそうもない。ボランティアに支えられた組織作りもなかなか困難ではないだろうか。泣き言を言わず,組織化,制度化に向けて行動するしかないが,とりあえずは,デジカメで集会の様子を撮影し,HPでその情報を流すということから,始めてみませんか。


なるほど!これが韓国か―名言・流行語・造語で知る現代史

朝日新聞社

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インターネットの中立性法案否決~しかし,日本でも検討すべき課題

2006-07-03 06:21:41 | インターネットとメディア
良いかげんに行き抜いていくさんTBをいただいた。米国のネットワークの中立を求める法案に関するものだ(ここ参照←クリック。良いかげん…さんの元記事はこちら←クリック)。【やはり否決となったか。"「発信源」や「到達先」にかかわらず、すべてのインターネットトラフィックがまったく同等に扱われるよう義務づける"というネット中立性についての関連法案だ。】


この問題について,良いかげん…さんは,
【高速道路に例えるとわかりやすい。高速道路を使って輸送する輸送会社がいくつかあるとする。仮にA、B、Cとしよう。ここでいう中立性は、AもBもCも平等に高速道路を使って輸送できるとするものだ。ここまでは当たり前すぎるくらい当たり前だが、ここで問題なのが、この高速道路の持ち主は、実はAなのだ。もし一時的にBとCが大量の輸送を始めたらAのトラックが高速道路に入れなくなってしまう。だから問題となる。それに加えて現在のネットでは、まったく業種の違うDが参入してきている始末なのだ。しかも、そのDは高速道路を占拠するほど大量にトラックを高速道路に送り続ける。これ以上例えるとややこしいが、ABCは輸送代をお客さんからもらっている。それに対して、Dはトラックを走る際にトラックに広告をつけて走るから、無料で輸送してあげている。だからなおのこと、大量にトラックの輸送を獲得できる。そうなると中立性どころではなくなるわけだ。】
と説明している。

しかし,実際には,高速道路以外に,道路がないことが問題ではないでしょうか?つまり,本来,公的機関が造るべき一般道を私企業がつくり,通行税を取っているようなものではないかと思うのです。

インターネットの公共性の議論は,日本でも早めにしておかないと,社会のありようが一企業によって握られてしまうことにもなりかねないのではないかと心配しています。


■■以下,元記事の引用開始■■

ワシントン発--米連邦議会の上院小委員会は米国時間6月28日、「ネットの中立性」に関する厳格な規則を定めた通信法の改正案を賛否同数で否決した。eBayやGoogle、Amazon.comなど、中立性の立法化を2006年の最優先事項として政界に働きかけてきたネット企業にとっては、大きな痛手となる。

 今回の改正案は民主党の支持のもと提出されたが、上院商務委員会での議決は11対11の賛否同数で、可決には至らなかった。同案は、「発信源」や「到達先」にかかわらず、すべてのインターネットトラフィックがまったく同等に扱われるよう義務づけるものだ。改正案の可決には過半数の賛成が必要だった。

 ネット企業は包括的な新規制の必要性を議会に訴えてきたが、今回の議決によりその取り組みはさらに困難になるとみられる。特に、下院が6月8日にネットの中立性に関する法案を269対152の大差で否決した後とあってはなおさらだ。

 商務委員会では、共和党所属の委員たちが、通信法の大幅な改正案にネットの中立性に関する規制を盛り込むこと自体に反発を示した。AT&TやVerizonなどのブロードバンドプロバイダはこうした規制は時期尚早で不必要だと主張しており、共和党の委員の見解はこれを反映したかたちだ。同委員会の委員長を務めるTed Stevens議員(アラスカ州選出、共和党)は、「明らかな必要性はまだ認められていないのに、厳しい規制を強要するものだ」だとして、法案に賛成する議員を強く非難した。

 さらに共和党は、こうした規制条項を加えることで、幅広い内容を含み、1996年以来最大規模の変更となる通信法改正案が、最終的に議会を通過しない可能性もあると警告した。John Ensign上院議員(ネバダ州選出の共和党)は「これは間違いなく、可決の妨げになる毒薬だ」と述べた。

 これに対し、民主党は5月に個別の法案として提出したものを修正して通信法改正案に条項として組み込み、結束して支持してきた。同改正案は、ネットワーク事業者が「インターネットトラフィックの伝送、処理を発信源や到達先、あるいは所有者などによって」差別することを禁じるものだ。同案が可決すれば、たとえば、Verizonが契約を結んで高解像度の映像伝送サービスを提供し、そのトラフィックを自社のネットワーク上で優先的に扱うといったことが防止できる。

■■引用終了■■



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警察による削除依頼に応じる?!~総務省・インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会報告

2006-07-02 16:39:04 | インターネットとメディア
新党を欲する人さんから,【今日の朝日新聞記事,ネットでの中傷について、総務省が規制をかけ始めようとしているhttp://www.asahi.com/life/update/0630/014.html配信されて見た瞬間,「ついに 来やがった!」と怒りに吠えた!「恐怖政治のはじまり~検閲KENETSU」だ!と・・・】というTBをいただき,問題とされている「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」の最終報告書案(←クリック)を読んでみた。

…これは…。ひどい…。

まず,同報告書の4~5頁にかけて,

【インターネット上を流通する情報に対するプロバイダや電子掲示板の管理者等による対応については、平成14年5月に施行された「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(平成13年法律第137号。以下「プロバイダ責任制限法」という。)4において、インターネット上の情報の流通により他人の権利が侵害されている場合にプロバイダや電子掲示板の管理者等が行う対応によって生じ得る損害賠償責任の範囲が規定されている。さらに、同法の実務的な運用指針として、プロバイダ責任制限法ガイドライン等検討協議会5において、「名誉毀損・プライバシー関係ガイドライン」、「著作権関係ガイドライン」、「商標権関係ガイドライン」(以下、併せて「関係ガイドライン」という。)がそれぞれ策定され、プロバイダや電子掲示板の管理者等は、関係ガイドライン等を参考にして、流通により他人の権利を侵害する情報(以下「権利侵害情報」という。)への対応を行ってきたところである。】として,


いわゆる名誉毀損・プライバシー侵害については,一定の対応がなされていることを踏まえたうえ,

【ところが、インターネット上には、権利侵害情報以外の違法な情報(わいせつ情報、違法薬物の販売広告情報等の法令に違反する情報。以下「社会的法益等を侵害する違法情報」という。)、違法な情報ではないが公共の安全や秩序に対する危険を生じさせるおそれのある情報(爆発物の製造方法に関する情報、人を自殺に誘引する情報等)や特定の者にとって有害と受け止められる情報(違法ではないアダルト情報等)等が流通しているところ、これらの情報については、プロバイダ責任制限法及び関係ガイドラインが適用されるものではないため、プロバイダや電子掲示板の管理者等が情報について送信防止措置等の対応を行った場合における法的責任や、特定の情報の流通が法令に違反するか否か等の判断に関する指針が存在しない状況である。】として,

いわゆる児童ポルノや自殺サイト対策がとられていないことを指摘し,それゆえ,「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」が開かれることになったと説明している。


ああ,それなのに,それなのに…

いつの間にか,検討の対象が,児童ポルノや自殺サイトから,名誉毀損・プライバシー侵害に移ってしまったようだ。報告書も名誉毀損・プライバシー侵害対策に結構,力が入っている。

朝日新聞の上記記事を読んでも,

【名前を明かさずに参加できるネットの掲示板では、中傷されたりプライバシーを侵害されたりして損害賠償を請求しようとしても、相手が誰か分からない。02年施行のプロバイダー責任制限法では正当な理由があればインターネット接続業者などに開示を請求できるとしているが、請求が受け入れられる例は少ない。 総務省は業界団体にどういう場合に開示すべきかの指針作りを求める。うその医療ミスや異性関係を書き込まれるなど、裁判所に開示を求められた過去の判例をもとに、年内にも指針ができそうだ。】

となっている。発表する際に,役人がその辺りを強調したと思われる(それをそのまま文字にする記者も記者だが…)。


…それは話が違うんでないかい。


そして,そして,重要な問題は…。報告書案の23頁 に,【具体的には、違法情報の例示及び判断基準を提示するとともに、警察等、社会的法益を侵害する違法情報について法令の解釈及び具体的事案における適用に関して専門的知見を有する機関からの送信防止措置依頼に対して、電子掲示板の管理者等が対応手順等を参照できる違法情報への対応ガイドラインを策定し、電子掲示板の管理者等による送信防止措置を支援することが考えられる】とある。

いいですかぁ,「警察」からの送信防止措置依頼に対応するためのガイドラインをつくるんだそうです。これでは,戦前の治安維持法など一連の言論弾圧立法が蘇るようなもんではないかい?!演説中に警察が立ち入り,「弁士中止!」と叫ぶとそれまで,であったのと同じように,「小泉は通常の人よりも知能の程度が低いあほだとしか思えない」「安倍は,従軍慰安婦など問題ではないと言いながら,従軍慰安婦をネタに日本人から多額の献金を脅し取っているとされる統一協会に対し,祝電を送ったように,まったく,御都合政治家だ」などとネットで書くと,「送信中止」とプロバイダーに指示され,ごっそり,削除されてしまう…ということになるかもしれません。


もちろん,インターネット上の名誉毀損・プライバシー侵害については,深刻な事例も少なくはなく,対応手段は必要でしょう。しかし,表現の自由との関係で,あくまでも,司法的手続による必要がある。そうでなければ,まさに「検閲」となる。

事前に,利用者とプロバイダーが契約をしていれば,構わないのではないかという議論もなされているようであるが,全てのプロバイダーが同様の契約を求めてきた場合,その契約に従うほかなく,その契約に基づいて,ガイドラインの名のもとに,警察による事前に限りなく近い事後検閲(マークしている人の投稿はすぐに掲載と同時に削除依頼がでるであろうから…)を認めるのは,憲法違反といってもよいのではないか?


総務省は7月21日までの間,意見を募集している(ここ←クリック)。

政府批判ができなくなるような社会にしたくない人の声を結集させましょう!!




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インターネットの中立性に関する幾つかの注目すべき記事~ITmdeia Newsより

2006-06-19 03:45:56 | インターネットとメディア
◆◆ネット中立性法案、米下院で否決◆◆ネットワークの中立性という賛否両論の概念を米国法として制定することを目指した修正案が、6月8日夜、米下院で退けられた。

 法案は、この点を除けば広く支持されている通信改革法の改正案として出されたもの。AT&TやComcastといったブロードバンドプロバイダーに対して全インターネットトラフィックを無差別的な料金体系で扱うことを義務付ける内容だったが、269対152の反対多数で否決された。

 通信/CTAV会社は帯域幅の消費に応じて2段階のインターネットを作り出すビジネスモデルを提案している。これに対してエド・マーキー議員が提出した今回の改正案は、米国内のブロードバンド接続を事実上すべてコントロールしているこれら通信/CTAVの提案を阻止するものだった。

 投票では共和党議員211人に加えて民主党議員58人が否決に回った。改正案に賛成したのは民主党議員140人と共和党議員11人のみだった。

 この問題は今後上院に送られる。上院では商務委員会議長のテッド・スティーブンズ氏自らが提案した通信改革法案について、3度目の公聴会が13日朝に予定されている。

■■以上,ここ←クリック■■
関連記事:米議会で紛糾する「ネットの中立性」問題


◆◆「Googleは主義を曲げた」――創設者、中国での検閲を語る◆◆
米Googleの創設者の1人サーゲイ・ブリン氏は6月6日、同社は中国政府の検閲要求に応えたことで、自らの主義を曲げたと認めた。そのやり方を変えるかどうか決定する前に、同社は同国でのサービスを機能させるのに苦労しているとも同氏は語った。

 ブリン氏は米国会議事堂近くで報道陣に応え、Googleは中国当局から同国でのサービスを遮断されて初めて、検閲要求に同意したと語った。同社のライバルも同じ要求――ブリン氏はこれを「われわれが不満を持っている一連の規則」と呼んでいる――に応えたが、国際的な批判を浴びていないと同氏は指摘した。

 「われわれは、自らの主義を曲げることになるが、中国の国民により多くの情報を届け、より効果的なサービスを提供し、おそらくはもっと大きな効果をもたらせるだろうと感じた」(同氏)

■■以上,ここ←クリック■■
関連記事:「天安門事件」「法輪功」サイト見つからず――中国版Googleの検閲実態
「Yahoo!は中国警察の密告者」――国境なき記者団が批判


※インターネットの中立性については,日本でも,いまから,立法化に向けて運動をしていかないと取り返しがつかないことになってしまうのではなないでしょうか…。

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ネット記者にも情報源秘匿権利認める(シールド法適用)~米国カリフォルニア高等裁判所

2006-06-19 03:27:32 | インターネットとメディア
民間放送2006年6月13日号によると,【米パソコン大手アップルが開発中の製品に関する機密情報をウエブ上(「アップル・インサイダー」と「パワーペイジ」)に掲載した情報源(ニュース・ソース)を公開するよう求めていた裁判で、今月11日にカリフォルニア州サンタバーバラ郡高等裁判所が情報源の公開を命じる判決を示したことを不服として、被告のオンライン・ジャーナリスト3人が22日、上告した】(ここ←クリック)事件で,上訴されたカリフォルニア州サンタクララ郡高裁が,【5月26日,アップル社側の主張を退け,報道関係者に対して情報源の秘匿を付与した情報源保護法(シールド法)をオンライン記者にも認める逆転判断を示した】という。

【同高裁はオンライン記者もオフライン記者も憲法修正第1条の下で保護される同同等の権利を有していると判断,償還令状発行阻止を求めるサイト側の訴えを容認した判断を下した】。


ちなみに一審では,【アップルは昨年12月、コード名「アステロイド」と呼ばれる開発中の音楽ソフトの仕様を3人に漏らした内部関係者と見られる25人を、氏名不詳のまま提訴した。11日の判決で、ジェイムズ・クラインバーグ判事は、3人が掲載した記事は「盗んできた知的財産」とみなされ、その記事の情報源は公共の利益にかなう情報公開の奨励を目的として作られたカリフォルニア州のシールド法(マスコミの情報源との交信の秘匿特権を定める制定法)の保護対象にならないとし、アップル側の主張が認められた。】という経過だったようです(上記ライブドアニュース)。

日本でも情報源の秘匿が認められる高裁判断が相次いでいますが,米国ではネット記者までその保護が及んでいるようです。最高裁がどういう判断を下すか,日米いずれも注目です。



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メガポータルにはじかれたサイトは市民権を剥奪されたようなもの~オーバーチュアを提訴した神保氏

2006-03-03 22:24:34 | インターネットとメディア
検索連動型広告への恣意的な掲載拒否を理由としてオーバーチュアを訴えた日本ビデオニュースの代表神保氏が,月刊マスコミ市民3月号で,インタビューされている。この中で神保氏は,次のように指摘している。

【免許もいらない自由な言論空間としてのインターネットの登場は,市民社会にとっても大きな意味があると思われていましたが,一握りの検索サイトやポータルサイトの力が圧倒的になり,事実上ポータルが各社のネット事業の生殺与奪を握る状態になってしまえば,その企業の基準の中で私たちは事業を営まざるを得なくなることになります。しかも,そのガリバーたちが,「自分たちは私企業なので好きにやらせてもらいますよ」と言い切っているようでは,これは下手をするとインターネットは既存のメディアよりももっと制約の多い媒体になってしまう可能性が出てきているように思えてなりません】

まったく,その通りで,本件訴訟の重要性は明白だ。しかし,大手メディアはほとんど取り上げようとしない。重要性が分かっていないのか,それとも分かっていても上層部の方針であえて掲載しないのか…。

神保氏は,真の自由競争とはジャングルのルールであり,ほんの一握りの大勝者とほとんど意味がないような有象無象が無数に存在することが避けられないという東大の西垣通氏の言葉を引用したうえ,次のように続ける。

【私は,そろそろ「真の自由とは何か」ということを,きちんと考えた方がよいと思います。自由競争になることによって,勝者が何をやってもより自由があるかのような誤解が横行すると,結局は自由がもっとも不自由の原因になりかねないということです。「そもそも何のための自由だったのか」を今改めて問い直すことが,今後この問題に対応していく上で,不可欠になってくるように思います。それはまた「公共性とは何か」を厳しく問いかけることにもなるのだと思います】

司法府は,現実に発生した自由と自由のぶつかり合いを調整する機能を有する。その司法府が本件で勇気ある判決を下すことを期待したい。


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世界インターネット自由法でブログを検索したらヒットせず~これって不自由の証明?!

2006-01-05 19:43:54 | インターネットとメディア
ネットとパブリックフォーラムについて検索していたら,アメリカで世界インターネット自由法なるものが成立していることが分かった(CNET Japan)。2003年7月,というから,ずいぶん前のことだ。その詳細な内容と運用実態を知りたいと思って検索したが,よさそうなのがない。ブログに絞って検索したら,ヒットせず…。これって,古いから,検索から落ちるんでしょうか?それとも…。

【パリに本拠を置く国際的な報道の自由擁護団体である「国境なき記者団」http://www.rsf.fr/は、二大インターネット・サーチ・エンジンのヤフー(Yahoo!)とグーグル(Google)を、「中国政府によるウェブ・ページへのアクセスの取り締まりに協力している疑いがある」として激しく非難した。
「国境なき記者団」は、「米国のインターネット運営会社ヤフーとグーグルが中国政府の検閲に直接的・間接的に加担するような無責任な方策を取っていることを遺憾に思う」と語った。各国政府によるインターネット検閲に対処することを目的とする「世界インターネット自由法」が、2003年7月米国下院で議決された。「国境なき記者団」は米国に、抑圧的政権下における企業活動においてもこの「世界インターネット自由法」を適用するよう強く求めた。

「国境なき記者団」は、ヤフーが何年にもわたって中国語サーチ・エンジンを検閲しており、検索結果を制御している中国のサーチ・エンジン「百度(バイドゥ)」社(http://www.baidu.com/)の株を最近購入したグーグルも同じ方向に進みつつあると危惧している。去年12月、「国境なき記者団」はヤフーの会長兼社長のテリー・セメル氏に訴えたが、何の応答も得られなかった。

「ヤフーとグーグルが中国市場制覇のために妥協していることは、表現の自由を直接、脅かすものである」(注:声明よりの抜粋)】(ダライ・ラマ氏のページ)


から,検索されないようになっているのか…(冗談ですよ,冗談)

世界インターネット自由法を詳しく紹介したサイトをご存じでしたら,教えて下さい。

Firefoxと記者氏名非公開~政府インターネットTVについて

2006-01-04 19:38:11 | インターネットとメディア
白片吟K氏さんのコメントにあったFirefoxについて,ネットで調べていたところ,政府インターネットテレビに関する記事があった。IEしか使えない…と思ったらFirefoxも使えたとか,いや使えないとか書いてあり,非IEユーザーはまだまだ大変そうだ。ところで,質問する側の記者の所属,氏名が消されていることについて,その記事に少し書き込みがあった。消されている経緯は,読売新聞政治部次長柴田岳氏が新聞研究12月号で次のように説明している。

1)内閣広報室が2005年5月,インターネットテレビを始めたいと官邸記者クラブに申し入れた。

2)記者クラブは,6月,報道取材と政府広報との線引きという根本的な問題を含んでいることなどから,日本新聞協会の編集委員会に是非の判断を仰いだ。

3)編集委員会は,9月,次の5点を留意点として,インターネットテレビを認めるという考え方を示した。
  ①実施にあたっては必ず報道側に了解を求め,その都度,配信内容,配信方法等について適切な対応をとるよう行政側に要請する。
  ②報道目的の会見である異常,報道機関の活動が阻害されるようなことがあってはならない。

  ③行政側が独自の広報開始を契機に,報道機関への広報機会の削減・停止,あるいは報道機関の活動を阻害しないよう要請し,監視する。

  ④記者会見の内容を,行政側に都合のいいように編集することは認められない。報道側と協議し了解を得た編集はこの限りではないが,いかなる場合にあっても,行政側の判断で事実が歪曲されることのないよう監視する。

  ⑤報道側も取材機会をより拡大するよう働きかける。

4)これを受けて,官邸記者クラブは,同月,内閣広報室と協議をしたうえ,前記5項目を基本とした確認をして,インターネットテレビを認めた。

5)この際,【官房長官の記者会見などで質問者が社名や氏名を名乗っている部分は配信の際は削除し,質問内容をテロップにするなど,視聴者が理解しやすい内容にすることになった】。

6)また,首相の「ぶらさがり」取材の動画配信は,ぶらさがりの位置づけなどが曖昧な部分があるため,配信対象からはずした。


上記5は,①質問者が社名や氏名を名乗っている部分は配信の際は削除する,ということと②質問内容をテロップにするなど,視聴者が理解しやすい内容にするという異なった論点を含んでおり,①についてはなぜそうなったかについて柴田氏は触れてはいない。しかし,内閣広報室からそのような要望があったとは思えないため,記者クラブ側(幹事は読売)からの要望だと思われる。

柴田氏は,ぶらさがりなどの取材について,【重要テーマについては,首相番の若手記者に質問をまかせず,ベテラン・中堅記者がぶらさがり取材に参加し,首相がはぐらかしたり,拒否したりした場合は,それを報道するくらいの緊張感が必要だろう。「政府インターネットテレビ」が動画配信をためらうような厳しいやりとりが連日行われるべきなのだ】と指摘している。


立派なご指摘である。ただし,残念ながら,個人的には,少なくとも,テレビで見るぶら下がり取材で,小泉を困らせるような質問を聞いたことがない。

【報道取材と政府広報との線引きという根本的な問題を含んでいる】と言われても,どこに違いがあるのか,と突っ込まれるのが落ちではないか,とも思う。

さらに,所属社と氏名を削ることになった経緯を読んで,「やっぱりね」とがっかりした。

その先に,上記の立派なご指摘があったわけだ。
是非とも読売新聞が先頭に立って実践してほしい。何なら,柴田政治部次長(いわゆる「デスク」,当番で政治面の編集をする役…のはず。東京読売では違っていたら訂正します),あなたが,質問してはどうでしょうか!もちろん,所属社と氏名を削除しないように申し入れた上で!

ネットと公共性と情報流通…検索連動型広告システム訴訟

2005-12-31 14:12:27 | インターネットとメディア
規制っていうと自由を侵害するような感じはあるが,自由を守るための規制もあります。その例としてあげたのが,メディアの集中排除原則。そこでは,表現の自由(多様な言論の確保)を守るために経済的自由(独占化,寡占化による経済的メリット)が制限されている。

生活する限り,自由と自由が衝突する場面がある。そのときに,いずれが優先されるべきか,ということについては,その社会ごとによって,一定の基準が設けられます。

しかし,表現の自由は,いかなる社会においても優先されなければならない。それは,表現の自由が失われたら,その社会において間違ったルールがあったとしてもそれを訂正することすらできなくなるからです(二重の基準論)。

今後,インターネットがメディアの主流となるのは間違いない。検索システムはその入り口であり,その入り口に安価に広告を出せるのであればそのスペースは誰もが利用できるものであるべきでしょう。

ヤフーがトヨタを買収し,検索連動型広告システムにおいて日産の広告掲載を拒否したとしたら,それは許されるべきでしょうか。いまの法制度だと明文では拒否が違法だとはされていません。また,現状だと,ヤフーもしくはグーグルで検索するしかありませんから,グーグルがマツダを買収して,日産の広告を掲載しなくなることも考えられる。そうなると,日産はインターネット上の情報発信が非常に制限されることになる。さらに言えば,検索連動型だけでなく,バナーとかトップページに出てくる広告についても掲載拒否をするかもしれない(法的には明文で規制はされていない)。

しかし,それでは,日産の方がトヨタよりも優れたものを発売しても,その存在を知る機会が減少し,社会全体としては不利益な結果となります。

それが政治的表現となるともっと深刻だ。例えば,憲法改正の国民投票がされようとするとき9条改編に反対するサイトが広告を出そうとしたら拒否され,9条改編に賛成するサイトの広告のみが掲載された場合,投票行為にどえらい影響を与えるだろう。

いま,どうやって,そのような恣意的な不掲載を防ぐことができるかを考える必要がある。

マイクロソフトのようなOS販売業者に対して,有効な規制をかけなかったことでネットスケープコミュニケーターは消滅し,インターネットの世界にアクセスするためにはインターネットエクスプローラーを利用するしか方法がなくなっている。これも表現の自由が侵害された一例ではないでしょうか。

BigBanさんが言うように,表現の自由が為政者の掌を飛び回る孫悟空ではあってはならないのは当然です。しかし,立法的に,例えば,検索連動型広告について寡占企業のシェア率を一定程度以内に制限することや違法性が認められる広告以外は掲載するというルールを定めることが,為政者の掌を大きくすることになるでしょうか?何か具体的な弊害が考えられるでしょうか?

立法によって,優越的な企業の掌を小さくするとともに,為政者の掌をも小さくすることもできるのではないでしょうか。

もちろん,新しい企業が検索システムに参入してくれれば状況は変わるでしょう。しかし,OSの世界でも,結局,新規参入は実現されていません。

だからこそ,いま,インターネットにおける表現の自由を守るための枠組みを利用者の側から働き掛けて実現する必要があると考えるのです。




公衆浴場よりも表現の自由の場の方が公共性は高いのでは?

2005-12-30 18:04:58 | インターネットとメディア
BigBanさんから【「交通事故により受傷した救急患者の治療を拒否しその後患者が死亡した場合において、診療拒否に正当事由がないとして市に不法行為責任が認められた事例」や 「公衆浴場が入場拒否して違法とされた事例」と、インターネット上における検索広告とでは明らかに公共性の度合いが違う。例示された2例はいずれも契約を拒否されることで、生存権や生活権の根本を脅かされる重大な権利侵害が生じるが、本件では広告契約を拒絶されただけであり、権利侵害の重大度が違う。これらを一緒に言及することは乱暴ではないか。】というご指摘をいただいたが,「公衆浴場に入れないこと」と「インターネット上の検索連動型広告システムでの広告掲載を拒否されること」のいずれがより公共性の高い問題なのか?これは,自明ではないでしょうか?(二重の基準論参照)

日本における表現の自由に関する議論は非常に低調であり,このことは他の国の学者の議論や判例と比較すると明白です。奥平教授は「なぜ『表現の自由か』」(東京大学出版会)で,「日本では,これまでに一体,表現の自由の原理論が本格的な争点の的になったことがあるだろうか。私にはなかったように思われる」と指摘しています(9頁)。インターネットというこれまでにない情報流通伝達手段の枠組みを決める際,その意識の低さこそが問題にされるべきなのです。

診療拒否されること,あるいは公衆浴場に入れないことについてどう思いますか?という問いかけをし,それがやはり違法なことだとみんなが考えるようになるのも表現の自由が確保されているからこそ実現されることなのです。表現の自由が確保されていなければ,そのような問題があることすら伝達されなくなる。

BigBanさんが引用するサイトには【gooleやyahooは、検索における「支配者」であり、そのルールは神聖不可侵なのだ。その上で決められた「遊び=検索上位」をするだけ。 】とあるが,表現の自由の優越性を理解していない発言ではないでしょうか?表現の自由は,「支配者」の掌で飛び回る孫悟空であってはならないのです。

奥平教授は上記著作で「公共的なことがらについて人々にメッセージを伝達したいと欲する者がつねにかならずしも,この目的のために必要な場所あるいは空間を自ら所有・管理しているとは限らない。いやむしろ,それにふさわしい場所・空間を自らが所有・管理していないのが,普通一般である。そこで,実際には他人の所有・管理する場所・空間であるが機能上多かれ少なかれ公共的な場所・空間と見なされているところを用いて,伝達行為を行うことが現代社会では事実上比較的に大目に見られている状況がある」と指摘しています。

オーバーチュア(ヤフーの100%子会社)が提供する広告システムは,インターネット上で検索という入り口の部分を寡占的に使用したものであり,そのような場所はグーグルとオーバーチュアしか提供していない。もちろん,寡占体制が崩れる見込みがあれば問題はないが,恐らく,より寡占化が進むだけだろう。したがって,そのような場所をいかに活用するかについては,当然,公共性が考慮されるべきだと思うのです。

方法としては,広告規程に反しないものは全て受け付けるという内容規制か,検索連動型広告を多くの会社に門戸を開かせるという中立規制かしかないのではないでしょうか?

例えば,NTT以外の企業が通信事業に参入する際,NTTの回線が使われた。
であれば,ヤフーの検索システム上の検索連動型広告スペースだって,門戸を開放させるべきではないか?それは新たな立法を伴うかもしれないが,公共性の高さからは必要な枠組みづくりではないだろうか?

そうでなければ,やはり,違法な広告など一部の広告を除いて全て掲載するような法的枠組みを作るか?

インターネット上の表現の自由の枠組みが作られようとしている今,表現の自由の優越性をいかに考慮するかを正面から検討する必要があると思う。

参照:踊る新聞屋さん
【新聞でもしばしば、広告掲載拒否“事件”が起きる<「誤報」広告掲載を拒否 朝日新聞、週刊新潮に抗議>が、神保さんのエントリによれば、<はじかれたキーワードを見てみると、「憲法改正」「靖国参拝」「中国反日デモ」のような政治的にデリケート>なキーワードが標的となっており、自社への批判を含む広告はともかく、この程度の文言で広告掲載が拒否される例というのは、新聞では恐らくないだろう。
 Yahooといえば以前、論談同友会による批判の対抗手段として、同会のwebサイトを検索結果から外したことを思い出す。<論談:孫 正義(ソフトバンク(株))社長の暗部をえぐる>。現在は、yahooで「論談」「論談同友会」と検索すれば、1位で表示されるのだが。】

ネットの無秩序の異常さについて参照記事
【欧州連合(EU)の欧州委員会は22日、米マイクロソフト(MS)のEU競争法(独占禁止法)違反問題で「5週間以内に十分な改善策が示されなければ、1日当たり最大で200万ユーロ(約2億7000万円)の制裁金を科すことを検討する」と発表した。 欧州委によると、MSは基本ソフト「ウィンドウズ」の独占的な地位を利用し、音楽・映像再生ソフト「メディア・プレーヤー」を抱き合わせ販売するなど、公正な競争を阻害している。MSはメディア・プレーヤーを搭載しない基本ソフトの販売も始めたが、値段は従来と変わらず、ほとんど売れていない。】






表現の自由に無頓着な国民性~インターネットはパブリックフォーラムであるべきではないか

2005-12-29 10:56:56 | インターネットとメディア
日本ビデオジャーナルの提訴が突きつけたのは,表現の自由に対する日本人の意識の問題だ。例えば,病院が理由も明らかにしないで診療を拒否した場合,それは,違法となりうる【「第三次救急医療機関である市立病院が交通事故により受傷した救急患者の治療を拒否しその後患者が死亡した場合において、診療拒否に正当事由がないとして市に不法行為責任が認められた事例(神戸地裁平成4年6月30日判決)」判例評論421号(判例時報1479号)】 。公衆浴場が入場拒否して違法とされたことは前にも触れた(ここの5番目の判例)。タクシーが乗車拒否すると,違法とまでは言えないが近代化センターに通報され,注意を受ける。業界としての自主規制に違反するというわけだ。公共性が求められる場では,市場原理が後退することに国民は合意している。

ひるがえって,表現の自由に関する場では,そのような公共性に対する理解があるだろうか?

放送行政を握っている竹中が「なぜ、タイム・ワーナーみたいな大企業が日本にはないのか」と発言することの危険性に声をあげる市民がいかに少ないか…

表現の自由に関する規制を内容面で行うことは,非常に危険だ。政府に批判的な内容は流通させないなどということになりかねないからだ。

そこで,言論の多様性を確保するために,資本の寡占化を防ぐという途を選択しているところが多い。新聞業界内での寡占化を防ぐ法制は,北欧各国,ドイツ,韓国などで整備されている。

テレビを含むメディア全体となるとほとんどの先進国が集中排除規制をかけている。

しかし,日本での集中排除原則はテレビと新聞が系列化しているようにまったく無力なものでしかない。

いま,インターネットの世界は,ほかのメディアに比べると法的には未整備な状態だといえる。

いま,そのインターネットの世界をコントロールするのがグーグルであり,ヤフーである。インターネットがメディアの主流となると,それらの検索サイトに載らない情報は存在しないことと同じこととなる。

未来風景を描いたEPIC2014は,情報の価値が希薄化したインターネット世界が実現したことを受けて,ほかの選択肢があったのではないかという指摘で終わっている。

いまこそインターネットの世界で公共性をいかに確保するかが問われており,それが実現されなかった場合,「多くの人にとって最悪の事態」が来るのはそう遠くない将来なのではないでしょうか?

検索連動型広告運営会社(ヤフーの子会社オーバーチュア)を提訴~恣意的な広告掲載拒否を理由に

2005-12-27 03:59:29 | インターネットとメディア
ヤフーの子会社オーアバーチュアに対し,検索連動型広告の掲載を求めて仮処分を申し立てていた(ここのほか,ここここここなど)日本ビデオニュース社が26日,仮処分を取り下げ,通常訴訟を提起した(産経GripBlog)。仮処分の過程で不掲載理由について,オーバーチュア側が「警察・検察・裁判所などの司法制度や天皇制に対する批判など,思想的にも価値の対立が著しいセンシティブなトピックについて,ジャーナリズムの観点からその不合理性などを批判質得るものが散見された」「私企業による純粋な広告ビジネスであって,公共的な事業ではな」い,と主張したことから,仮処分ではなく,本訴でじっくりと,その主張の正否を見定めてもらうために,提訴したものだ。

本件では,オーバーチュア側は,基本契約は存在せず,一回一回の広告キーワード申請がそれぞれ契約の申込み行為になると主張している。そこで,日本ビデオニュース社は,仮に契約関係がないとしても広告掲載を拒否したことは不法行為になるとする主張を行っている。

公共的な事業において,不当な差別をした場合に慰謝料が認められるケースとしては,小樽の公衆浴場の例が有名だ(ここの5番目の判例,ここ)。

インターネットの公共性は,いまや,公衆浴場の比ではないように思うのは私だけだろうか?

インターネットというルールがまだ確定していない場で,今後,その場を利用して事業を行うもの,しかも,その場のあり方を定めると言ってよい検索業を行うものが完全に資本のルールだけでやっていってよいのか,それともインターネットという空間の公共性からは表現の自由を守るために一定の制限を課すべきなのか?非常に重要な問題が焦点となっている。

検索連動型広告は,オーバーチュアを含む2社の寡占状態であり,このような圧倒的なシェアを握っている会社が契約自由の原則だと称して自由に広告掲載の可否を定める権限を行使すること(例えば,アサヒビールは載せるけど,キリンビールは載せない。あるいは,大手ビールは載せるけど,地ビールは載せない)は,非常に大きな問題をはらんでいるのではないでしょうか。インターネット広告の急激な伸びなどを考慮すると,今後はインターネットで広告してもらえない企業は伸び悩むことが考えられ,まさにインターネット広告業を牛耳る者に企業が首根っこを押さえられることになりかねない…。

ネット利用者が声をあげるべきテーマではないでしょうか?