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情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

ブロガーの表現の自由を支持~米州最高裁判所

2005-10-25 23:55:33 | インターネットとメディア
「民間放送」10月23日号によると、【米デラウェア州最高裁判所は10月5日、インターネットのブログに書き込まれた匿名の非難により名誉を毀損されたとして、市議会議員がブロガーの身元開示をプロバイダーに請求していた訴訟で、身元開示を命じた下級審の判断を覆し、匿名による表現の自由を支持する逆転判断を示した】という。米国の州最高裁が、ネット上での匿名の主張と名誉毀損との関連性をめぐって判断を示したのは初めてらしい。「民間放送」は、憲法で保障されている表現の自由を尊重したもので、匿名によるネットの書き込みで身元開示を命じるには、名誉毀損を立証する明白な証拠が必要との判例として、他の訴訟にも影響するとみられる、That standard, the court said, "will more appropriately protect against the chilling effect on anonymous First Amendment Internet speech that can arise when plaintiffs bring trivial defamation lawsuits primarily to harass or unmask their critics."としている。
民間放送がニューヨークタイムズなどを参照したところ、この訴訟は2004年11月にデラウェア州スミルナ市の市議会議員Cahill夫妻がブロガー4人を相手にして、地元紙デラウェア・ステート・ニューズ発行人運営のブログに掲載された同議員を中傷する書き込みにより名誉を毀損されたとして身元開示を請求して起こしていたもので、ブロガー4人は匿名性保全を申し立てていたらしい。
ブロガーらは、2004年9月、同議員だとすぐに分かる名前を使って「人格破綻者」「性格に欠陥」(an obvious mental deterioration)などと避難し、さらにGahillと表記して同性愛者だとも指摘していた。一審のデラウェア州地裁は今年6月、名誉毀損に準ずると判断して、ブロガーらの匿名性保全申請を退け、プロバイダーのコムキャストに身元開示を命じた。これに対してブロガーの一人が上訴していた。
2審に当たるデラウェア州最高裁は、政治的主張では匿名による反対意見表明も容認されている点を引き合いに出し、違法性を主張するには明らかに名誉毀損に該当することを示す厳格な証拠が必要であり、それを提示できない場合には、ネット上での匿名による主張の身元開示を命じるべきではないと判断を示し、地裁に差し戻した。

メディアチャンネルによると、州最高裁は、インターネットによって名誉を毀損された者は、すぐに同じブログやサイトに反論することができ、名誉毀損の記事を読んだ読者に誤りであることを主張することができるという点を考慮したこともあるようだ。The court said, "The Internet provides a means of communication where a person wronged by statements of an anonymous poster can respond instantly, can respond to the alleged defamatory statements on the same site or blog, and thus, can, almost contemporaneously, respond to the same audience that initially read the allegedly defamatory statements."

海外ブログも自民党圧勝による改憲、「アクセス権」導入に注目している

2005-10-04 03:34:27 | インターネットとメディア
英文を引用したりしたこともあって、http://www.japanmediareview.com/japan/blog/Events/799/という海外のブログで紹介された。「アクセス権」は、産経新聞が共産党から反論スペースを求められた際に拒否し、判例上もそのような権利はないと認められた。それにもかかわらず、このような権利が俎上に上がっていることの重大性を看過すべきではない。ちなみに引用されたのは以下のとおり。

Though it sounds much like the concept of open government, what the LDP is after is restricting the freedom of the press, claims the anonymous (but oft-quoted) lawyer and former newspaper reporter who pens a blog titled (loosely) “What We Can Do to Promote the Free Circulation of Information.”

"Behind the deliberating over this right to know, is the political motivation to establish a new right of access. What this is, in effect, is a right of reply that gives anyone who is criticized in the newspapers or on television (politicians have themselves in mind) the right to rebut the criticism in the same space.”

参考:「知る権利」の皮をかぶった「アクセス(反論)権」

インターネット上の表現の自由を確保するには…

2005-09-14 07:55:21 | インターネットとメディア
【インターネット上で政治家の会見などのニュース番組を配信している「日本ビデオニュース」(東京都品川区)は13日、ネット広告代理店「オーバーチュア」(港区)にネット広告の掲載を拒否されたとして、広告掲載を求める仮処分を東京地裁に申し立てたと明らかにした。】その理由は、今年3月、日本ビデオニュースがヤフーなどの検索サイトにニュース社のサイトの広告文を掲載する契約をオーバーチュアと結んだにもかかわらず、「靖国参拝」「反日デモ」などの言葉を含む広告文の掲載拒否が増え、ついに、「特定の政治団体・個人を中傷する内容が見られ、ガイドラインにより判断した」という理由でサイト全体の広告掲載を拒否したということだと報じられている(毎日新聞)。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050913-00000141-mai-soci
ネット上の記事ではほかにあまり出ていないようですね…

韓国にデジタル・デモクラシーが育った理由

2005-08-22 06:36:53 | インターネットとメディア
韓国では、民主勢力をネット上の言論が支えたと言われている。日本のネットでは反権力・権力監視という視点での言論はまだまだ少ない。どちらかというと、権力を擁護する側の言論が幅を利かせているという感じだ。なぜ、韓国で、デジタル・デモクラシーが育ったのか、この本を読んでみた…。
韓国のデジタル・デモクラシー

集英社

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非常に重要なことが書いてあった。50頁から64頁にかけて、韓国の民主的言論がいかに誕生したかが説明してある。その中で、放送メディアにおいて、労働組合が百数十人が逮捕されるというような事態を乗り越えて、放送の民主化を実現したという記述がある。80年代後半から90年代後半の10数年をかけて実現されたという。こうして、内部の民主化を経た放送局が民主主義を守ろうという姿勢を見せたこと、これが大きいようなのだ。

現に、2004年の大統領弾劾事件において、民主的大統領を支える民衆の様子を伝える放送局に対し、保守陣営から激烈な抗議が寄せられたが、これに対し、MBCは「いまだに放送を掌握して世論を操作できるとする、危険千万な考えを本当に持っているのか」と批判し、メディア関連の組合や市民団体も「弾劾政局の責任を放送局に転嫁する行動を即刻中止せよ」と声明を出した(168~170頁)。これらがインターネット言論と相まって、民主化の後退を押し止めたのである。

ひるがって、われわれは、自民党が朝日新聞の取材を拒否したことに対して、何と無力であることだろうか…。