鼻痛
頭痛ならぬ、鼻痛。
なんてのが有るかどうかは知らぬが、とにかくまだ、痛いのだ。鼻が。
正確に言うと、鼻の付け根?ちょうど、眼鏡が乗っかる部分の辺り。
しこたま打ち付けたのは、先月のあたま。
鼻をかんだり、汗を拭ったり、ちょっとした仕草の途中、「イテテッ」となるのだ。
あなたの言いたいことはわかる。
「どーせ酔っぱらってたんでしょう?」
でも違うんだな。飲んだのはその後なんだな。
銀座の裏通りの地味な蕎麦屋。お蕎麦は美味しいし(でも安くはないわな)、
遅くまでやってるし。 が、この遅くまでって言うのがミソで。
あとでわかったのだが、早い時間いったん閉めて、
またミッドナイトの午前0時に開けるのだそうだ。
で、地下に有るその店、だから要するにその時「シャッター」が降りてたんだよ。
つうか、開ききってなかったっつうか。
で、私は黒い帽子を目深に被っていて、目も悪くて、通りも看板も暗くて、
でも下覗くと灯りがついてて、まさか、シャッターが降りてるなんて思ってないから、
身を屈めるなんてこともせず、思い切り階段を下りようとして、
「がつんっ!!!」とやったわけだ。
あまりに痛くて目に火花。
大騒ぎしてたら、お店の人謝りもしないで、黙って氷とおしぼり持って来た。
無口な、あまり愛想の無い人だと思ってはいたが、この日以来まったく行く気失せる。
「お前の不注意だろう」と言われればそれまでだが、
うーむ。あれはないだろ。
人って、痛い時は理屈無しに「よしよし」ってされたいじゃない。
私だったらそんな人が目の前にいたら、
「よしよし、ごめんね、痛かったね、痛いの痛いの飛んで行け~」
ぐらい言うわよ。
でもそれは期待出来ないとわかると、私は健気に痛みと孤独に戦い、
忘れるために、純米酒飲みまくってしまった。
実際、忘れた。痛み以外も。。。
あれから、ほぼひと月たつのに、まだ余韻が。
鼻が曲がってやしないか、毎日確かめたけど、それは大丈夫そう。
でもこの低い鼻が、もしや、さらに低くなってるのではないか、心配で。
見るといつも通り低い鼻。けど、前と同じかどうかなんて判断出来ない。
うーむ。
私は階段の下りにめっぽう弱い。転がり落ちたことも何度かある。
遠近感。それが急に情けないことになるのだ。
自分と物の距離感がつかめなくなる。
うわぁー、やだ。
脳みそ疲れてる? いや、そんなには使ってないのだが。
あーやだやだやだ。