浜砂伴海の《歌 Deli》ウタデリ。
茨城県筑西市は下館にやって参りました。
『荒為』さんというお料理屋さん。素晴らしいお店。
古き良き日本の建物。あちらこちらに施された演出に、ため息が出る。
庭、お座敷、家具、調度品、照明、床、天井、ああ。。。
そして、コンサート会場となったのは、こちらの「蔵」
百年以上の時を経て、そこに整然と、毅然と、存在している。
靴を脱ぐ。底冷えがする。
荷物を持って、その二階に上ろうとした時、
一段一段が大きくて、急な階段。艶やかな木の肌。手触り。
薄暗い中、上方に見えるかすかな灯り。
「ああ、私はここを知っている」
幼い頃に見た夢。大人になってもずっと反芻して来た。
よじのぼるように階段を上がる。黒光りする木肌。
そして畳の上で、上の方に有る小さな窓?からの光を眺めていた。
夢の中で私は、着物を着ていた。
私は天井の大きな梁に向かって、
わたくし、浜砂伴海と申します。本日こちらで歌を歌わせていただきます。
すこし、賑やかにしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
蔵に棲む方々?神様?に、ご挨拶。何故だか、自然に。
今日のイベントは、この歴史有るお店で、
美味しいお食事と、お花と、シャンソン。
主催は、華道家の嵐文秀さま。
彼女のお弟子さんの作品も至る所に飾ってあった。
冬の陽射し柔らかなお座敷で、美しいお花を愛でながらのお食事。
そのあと、蔵で聴くシャンソン。
私も皆さんと同じお食事を頂く。
美味しい。ああ、日本酒飲みたい。。けど我慢。
ピアノのカラオケでの演奏。
時間がかかったが、開演ぎりぎりで、音が馴染む。よし。
手が冷たい。緊張。期待。今日は素面だ。
「人」を書いては飲み込む。父に話しかける。
そして開演。
前半30分のつもりが、45分くらいたっていた。
喋りすぎたか。でも皆さん、いい笑顔。
お客様に良いエネルギーを頂きながら、歌い進めてゆく。
あっというまの、一部、二部。
アンコールも終わり、文秀さまが、荒為の女将さまを紹介。
女将さまの第一声。
「蔵が喜んでます」
鳥肌が立った。
ああ。やっぱり。ご挨拶して良かった。
蔵の天井の大きな梁。温かい気配を感じた。
ステージに生けられたお花は、ポインセチアだそう。
感謝感激。文秀さま手作りのプログラム。