特捜最前線日記

特捜最前線について語ります。
ネタバレを含んでいますので、ご注意ください。

第376話 警官汚職地図!

2008年01月22日 00時33分12秒 | Weblog
脚本 藤井邦夫、監督 松尾昭典

風俗街への手入れが空振りに終わる事態が続く。警察からの情報漏れが噂されるなか、検察庁に所轄署の刑事と風俗業者の癒着を密告する手紙が送られてくる。事態を知った神代は「警察に自浄作用があることを示さねば、一握りの不良警官のために、全警官の名誉が損なわれる」と捜査を買って出る。
神代の指示を受けた桜井は、早速、風俗店の店長を逮捕して所轄署に連行。「私の目的は奴らを摘発することではなく、奴らに情報を売っている薄汚い警官を摘発することだ」と宣言する桜井に、所轄署の刑事たちは不快感を露にする。その夜、桜井を尾行してきた所轄署の若手刑事が、班長に汚職の疑いがあることを告げる。証拠をつかむべく捜査を続ける桜井に、班長が接近。汚職刑事の名を明かす班長だが、自分に対する疑惑には言葉を濁した。所轄署の防犯課長からは「捜査を辞めろ」と恫喝される桜井だが、クビをかけてでも捜査を貫くことを宣言する。
班長を尾行する最中、桜井は引ったくりを目撃し、班長とともに追跡。引ったくり犯にもいたわりを見せる班長の姿を見て、桜井に迷いが生じる。そんな桜井に、班長はかつての相棒のことを語る。ヤクザをかばって殉職したその相棒は、どこか桜井に似ていたという。班長宅を張り込む桜井のもとに、神代自らが現れ、かつて世話になった先輩刑事を逮捕した経験を語る。「誰かが手錠を掛けなければならないとすれば、一番世話になった私がやるべきだと思った。そうした苦さから、私たちは逃げちゃいけない」
翌朝、班長は妻に「警官として最後の仕事をする」と言い残して姿を消した。妻から「夫は、殉職した相棒の娘さんのことで悩んでいた」と聞いた桜井は、相棒の娘を訪ねる。動揺する娘だが、班長の悩みについては口をつぐんだ。
その後、橘らの捜査で、汚職刑事が防犯課長ら数名だと判明。班長に金が渡った事実はなかった。安堵する一方で、班長の身を案じる桜井。そこに班長から桜井宛に電話が入る。呼び出された先に急行した桜井が見たものは、自らの手に手錠を掛け、拳銃自殺を遂げた班長と、証拠として残されたテープだった。
班長の遺体を前に、相棒の娘が真相を語る。相棒は病気の妻のため、風俗店のオーナーから借金をしていた。殉職後、オーナーは娘に返済を迫り、困り果てた娘は班長に相談。その借金を帳消しにするために、班長は一度だけオーナーに手入れの情報を流していたのだ。
班長が残したテープには、防犯課長に汚職の事実を追及した際の会話が録音されていた。班長の想いを汲んで、テープを所轄署に託す桜井。防犯課長以下の汚職警官は所轄署によって逮捕されるが、情報を流した事実から、班長もまた警察官としての立場と名誉を失った。だが、桜井は確信していた。命を賭して警察の自浄作用を促した班長こそ、真の警察官であることを。

汚職警官の摘発という苦い仕事に挑む桜井と、死んだ友のために一度だけ犯した過ちを自らの死で償う刑事との、哀しい交流を描いた一本です。重たい話なのに、なぜか印象に残らないのは何故だろうか?と考えてみたところ、二つの理由が浮かびました。
一つは、サブキャラを豊富に配しすぎたのが裏目に出て、それぞれ描写不足に終わったことです。自分を育ててくれた班長を尊敬しながらも、汚職を許すことができず苦悩する若手刑事。叩き上げの刑事を長年にわたり支え続けた班長の妻。班長同様に人情派であったと思われる相棒と、その遺児たち。それぞれ巧妙な人物配置だとは思うのですが、いずれも消化不良に終わっているように思われて残念です。
もう一つは、自ら死を選ぶほかなかった班長の苦悩と葛藤が、理屈では分かるものの、描写として全然足りていないこと。さらに何故、今なのか?何故もっと早くに(死を選ぶかどうかは別にして)告発しなかったのか?がはっきりしないこと。これも理屈では、桜井のクビを賭した覚悟に触発されたのだろうと分かるのですが、もう少しドラマの中で描いて欲しかった。桜井に似ていたという相棒(とその遺族)の話題に絞って展開してもらった方が、もっと良い話になったのではないでしょうか?
などと偉そうに評してみましたが、ここしばらくの低迷振りからは抜け出したような印象。とくにラストで神代が語る「失った信頼を取り戻すためには、全国の警官一人ひとりが、今後の行動で示していくほかない」という言葉は、全ての警官、そして公務員どもに聞かせてやりたいものです。

3 コメント

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ご返答色々ありがとうございます (ですとら)
2008-03-06 01:33:12
袋小路様、私のコメントへの返答ありがとうございます。
私としても投稿のし甲斐があります。
それとコメントさせていただくことで、自分が見た回がわかるというのもあるのですが…

引き続いて、今度はたまっているビデオでちょっとだけ最近に近いところを見てみました。

テーマ的には重く、グッとくる話になりそうだと期待していましたが、確かに思っていた以上にグッとは来ませんでしたね。
ご指摘のとおり、もう少し物語でターゲットを絞ってもらえばいつもの特捜のノリになったかも知れませんね。
おそらく2時間枠であれば、多少のダラダラ感が出るかもしれませんが、しっかり描けたかもしれませんね。
とは言え、この回は久々に特捜らしい回で見てよかったですね。ただ、たまたまでしょうが、最近連続して見ている回の脚本が全て藤井邦夫さんというのも不思議です(苦笑)
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こちらこそ (袋小路)
2008-03-07 00:59:49
ですとらさん、いつもありがとうございます。こちらこそ、まめにコメントいただいていることが励みになっています。
たまっているビデオの視聴は大変だと思いますが、見方を変えれば贅沢なこと。まさに嬉しい悲鳴でしょうか?
ご自分のペースで、焦らず、じっくりとご堪能ください。もちろん、藤井氏脚本以外のエピソードも。
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慕情 (桂龍一朗)
2016-01-14 17:34:52
明けましておめでとうございます、桂龍一朗と言います。フリーの映像作家をしています。私も特捜最前線が大好きです。
 中でも慕情と橘さんが主役の回が好きです。もし、出来たら面影、慕情、償いを投稿してほしいです。
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