特殊清掃「戦う男たち」コメント公開

戦友の意見交換の場として公開しています。

残された時間 ~中編~(公開コメント版)

2021-01-30 09:19:58 | 遺品整理
依頼者は、「余命二カ月を宣告された」とのこと。
そして、また、「できたら、ブログを書いている人に来てほしい」とのこと。
“ブログを書いている人”って・・・つまり、私のこと・・・
ただの仕事ではないことは依頼者と話すまでもなく明らかで、しかも“ご指名”ときた。
私は、慣れない依頼に、狼狽に似た戸惑いを覚えた。

が、まったく、自分らしい・・・
少しすると、今度は、いつもの悪い性質が頭をもたげてきた。
妙に気分が高揚、酒に酔ったときのように気持ちが大きくなってきた。
そこには、“誰かに頼りにされている”といった男気や、“誰かの役に立てるかも”といった喜びはなく、あったのは、“思い上がり”と“下衆の高ぶり”だけ。
「人の不幸は蜜の味」とまでは言わないけど、情けないことに、依頼者を思いやる優しい気持ちは小さく、珍事が起こったごとく、好奇心旺盛な野次馬が駆け回るばかりだった。

訊くまでもなく、女性はブログの読者。
しかも、“通りすがり”ではなく、多分、愛読者。
ということは、女性なりの“特掃隊長像”を持っているはず。
自分でいうのもなんだけど、「特掃隊長」って、欠点や短所を脇に置いてカッコつけるクセがある。
女性がイメージしているキャラクターと実際が大きく異なっていたら申し訳ないような気がして、野次馬は野次馬なりに、妙なプレッシャーがかかってきた。


残された時間 ~前編~(公開コメント版)

2021-01-26 09:37:41 | 遺品整理
もう時間がない・・・
今夏に予定されている東京オリンピック、コロナ禍のせいで盛り上がりに欠けている・・・国民の関心が著しく薄れているのは明らか。
街には、開催を諦める空気が充満、再延期や中止を求める声も多くなっている。
いや・・・もっと言うと、もう、どうでもいい・・・今では、人々の関心はコロナと経済に集中し、オリンピックなんて何処吹く風。
それは、日本だけにとどまらず、世界中に広がりつつある。

もう半年しかないという段階でも、コロナ禍は一向に治まる気配はなく、悪化の一途をたどっている。
世界に目を向ければ、欧米の状況は、我が国よりも更に悪い。
国によっては、突貫工事のごとくワクチンが乱打されているけど、仮に、これがうまくいったとしても、全体的な効果がでるには一年も二年もかかるらしい。
こんな状況で、どうやってオリンピックが開催できるというのか・・・
出場予定の選手や関係者には気の毒なことではあるけど、どこからどう見ても無理。

“お偉いさん”達に、庶民にはわからない大人の事情があるのはわかる。
それぞれに立場(利権?)があり、表立って、開催に否定的な発言ができないのもわかる。
しかし、決断力や指導力、頼もしさや潔さがなさすぎる。
“国の祭”より、“国民の命”“国民の生活”の方が大切なのは、わかりきったこと。
はたして、こんな状況で無理矢理に開催したオリンピックが、楽しいものになるだろうか、喜ばしいものになるだろうか、弱っている人達が勇気づけられたり、困っている人達が癒されたりするだろうか・・・はなはだ疑問である。

いつみても虚ろな目をしている総理の言葉は、他人が書いた学芸会のセリフのようで、力強さや熱もなく、魂や志も感じず、信念やビジョンもみえない。


野良犬(公開コメント版)

2021-01-13 08:48:14 | その他
月日がたつのは、はやい・・・
可愛がっていたチビ犬がいなくなって、もう六年半余が経つ。
スマホの待受画面は、ずっとチビ犬にしていたけど、一年前に機種変更したとき画像はど
こかへいってしまい、それからは、待受画面は味気ない既製画像になっている。

外を歩いていると、たまにチビ犬と同じ犬種(シーズー)を見かけることがある。
もともと犬好きの私だから、どんな犬も可愛く思えるのだけど、とりわけシーズーには格別に目を惹かれる。
他人がつれているよその犬なのに、ジーッと見つめてニヤニヤしてしまう。
どこの誰とも知れないオッサンがニヤニヤしていると、すごく怪しいけど・・・
飼主が話しかけやすそうな感じの人(だいたい中高年女性)だと、見ず知らずの人でも声をかけ、犬に触らせてもらう。

もう二十年近く前の話・・・
住んでいたマンションに近接する駅前スーパーの前に一頭のレトリバーがいた。
首輪をしていたものの、リードは着けておらず。
リードにつながれていないことを不審に思わなくもなかったけど、「買い物をしている飼主を待ってるんだろう・・・」と思い、多くの人と同じく、私も、そのまま素通りした。
しかし、それから、何時間か後。
再びスーパーの前を通ると、その犬は まだそこにいた。
さすがに妙に思った私は、犬に近寄り、頭や身体を撫でながら首輪を確認。
同時に、鑑札を探し、それを見つけた。
犬はおとなしく、やや怯えたように、やや遠慮がちに、下がり気味の尻尾をゆっくり振った。


春がくるまで(公開コメント版)

2021-01-08 09:04:59 | その他
「冬らしい」と言えば、冬らしい。
秋があまりに長く、あまりに暑かったせいか、寒さが 一層 身体に堪える。
特に、朝は色んな意味でツラい!
しかし、それで寝坊なんかしたりしたらアウト!
冗談抜きで、下手したら、そのまま会社を休み、そのまま二度と社会復帰できない事態に陥る可能性もある。
だから、そこは、あえて荒療治。
重い心と重い身体を引きずり起こして、まだ薄暗い極寒の早朝にウォーキングに出たりしている。
そして、「春になれば、きれいに咲くんだよな・・・」と、桜並木をぼんやりと見上げては、憂鬱な一日を始めている。


年末の特番だったか、TVで超常現象・怪奇現象を扱った番組をやっていた。
少し興味はあったけど、苦手なモノがでてきたら困るから、結局、その番組は数分しか観なかった。
「苦手なモノ」とは、いわゆる、“心霊写真”“心霊スポット”、幽霊関係のネタ。
私は、この類が超苦手!


重圧(公開コメント版)

2021-01-03 16:54:34 | 自殺腐乱死体
2021謹賀新年。
日本海側は大雪で難儀しているようだけど、この三が日、こちらは気持ちのいい快晴に恵まれた。
一見は穏やかな正月、元旦は、早朝から日課のウォーキングに出かけ、明るくなれない心に初陽の光を当てながら黙々と歩いた。
自分の心に纏わりつく暗い過去を振り払うように、自分の心が欲しがっている明るい未来を探すように。

特に忙しかったわけでもないが、例年通り、大晦日が仕事納めで、元旦が仕事始め。
また、これも、ほとんど毎年のことだけど、
「また、一年、労苦に汗し、苦悩を携えて生きていかなければならないのか・・・」
と、動悸にも似た浅い溜息が、幾重にも口を突いてでてきた。
とはいえ、大晦日と元旦の夜は、TVを相手に、いつにない御馳走に舌鼓を打った。
気分は浮かないながらも、「せっかくの正月だから」と、酒も、いつもより多めに飲み、それなりに穏やかに、それなりに平和に年を越すことができた(0:00になる前に寝てしまったけど)。

しかし、今年の正月は、「おめでとう」とばかりは言っていられない。
承知の通り、コロナ第三波が猛威をふるっているからだ。
その禍は、春の緊急事態宣言時をはるかに超越していて、もはや制御不能の状態。