職員だけでなく各方面から批判が相次いでいる大阪市のアンケート
大阪市が全職員約3万5000人(消防職員を除く)を対象に実施した政治・組合活動に関するアンケートで、調査の担当者である市特別顧問の野村修也(しゅうや)弁護士(第二東京弁護士会所属)が17日、市役所で記者会見し、回答の集計作業を凍結すると表明した。組合側が不当労働行為に当たるとして大阪府労働委員会に救済を申し立てたことを理由に挙げ、「法定の手続きが開始された以上、推移を見守るのが妥当」と述べた。少なくとも府労働委の判断が出るまで凍結を続ける方針。
アンケートは、組合や職員の政治活動などを問題視する橋下徹市長に、組合問題を担当する野村氏が提案。質問内容は自身で考えたという。橋下市長も了承し、職務命令として職員に記名式の回答を義務付け、今月9~16日に実施。同24日に中間報告をまとめる予定だった。
しかし、勤務時間外の正当な政治活動や、適法な組合活動のことにまで回答を強制しているとして組合を中心に批判が噴出。約2万8000人が加盟する市労働組合連合会が13日、府労働委に救済を申し立てた。弁護士会なども相次いで調査の中止を求め、違憲との指摘も出ていた。
野村氏は、このアンケートが自身と外部スタッフによる第三者調査に当たるとして、質問内容に問題はないと主張した。「無記名では実態解明には至らない」と調査手法の正当性も強調。「調査チームが市から独立していることが外部から確認しにくく、批判の原因の一つになった」と釈明した。専用の用紙や庁内ネットで寄せられた回答は閲覧せず、保管するという。
市役所内で報道陣の取材に応じた橋下市長は「僕は全く問題ないと思っている。踏み込んで調査するのは当たり前だ」と語った。【津久井達、茶谷亮】