巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
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この世界の色遣い

2017-04-17 18:03:48 | 
君とともに見た景色は
幾千の鮮やかな色が彩る世界
僕がまだ一人の頃のこの世は
あらゆる色を失った無色透明
記憶の中の光景とは真逆な今
きっと僕は今幸せなんだろう

穏やかに過ぎゆく時
嫋やかに流れゆく日々
君は後継者にすべてを委ね
どこへ飛び立っていくのだろう

組織は常に最適配置
僕がいなくても世界は廻る
君がいない世界は考えられないけど
すべて僕のせいにすればいいさ

追憶の彼方にある美しい季節
葉桜の日、新しい緑の芽吹き
丁度あの頃に僕は君と出会い
取り巻く周囲一面が色付いた

僕はすべてを委ねるのではなく
君に寄り添うと決めたんだ
それが僕の覚悟、責任の取り方
君が独り立ちするその日まで
この世界の黒から君を守り抜く

南から暖かな微風が吹いてきた
君の柔らかな髪がふわりと揺れる
あの青空から舞い降りた天使
君はモノクロなこの世の人々に
等しく色を配り続ける宿命

僕は君の旅立ちを知らないから
当たり前の光景だと思ってしまう
君が彩るこの世界は永遠ではない
僕の周囲は既に色付いているから

君はこの世界を忙しく飛び回る
そんなにも色のない日常が
あちこちに通常として存在している
色のない畑に三色の栄養を撒こう

僕は君が姿を消す雰囲気を感じる
葉桜はもうすべて新緑に変わった
君はもはやここにいる理由がない
去り際を見極めようとするのは当然

モノクロームだったこの世界に
君が残したこの幾千、幾万の色を
守り抜くのが僕の使命
僕は君が産まれる前の
色のない世界を思い出す
あの頃には決して戻さない

君を悲しませないように
この世に生まれたことを
決して後悔させないように
君の色遣いが報われるように
君がいつまでも永遠に
この世を彩り続けるように

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