ファイト一発!税理士イワサの社長応援ブログ

税理士の岩佐孝彦が社長に“元気”と“勇気”をお届けするブログです。

税金を意識した決算書を見る目

2006年04月22日 | お金の話
昨日、大阪産業創造館で決算書セミナーの講師を務めた。

154名の参加で、生きた決算書の読み方に対する関心の高さがうかがえた。


経営者にとって痛みを伴うコスト。 それは、税金である。

そして、税金は会社の決算書の数字がベースとなって決まる。

つまり、経営者にとっての痛みの大きさは決算申告書で決まるわけだ。

ただ税金を計算するうえで、経営者がよく勘違いされているのは、決算書(損益計算書)
の最終利益(税引き前当期純利益)にそのまま税率が掛けられて、税額が決まるという
ことである。


しかし、厳密に言えば、決算書の最終利益に別途調整がなされて、税額が決まる。

例えば、決算書上では「経費」でも、税金を計算するうえでは「経費に認めないもの」を
決算書上の利益に加算したりするのだ。

代表例が「接待交際費」である。

接待交際費は、年間400万円以内であれば、そのうち10%は税金計算上の経費で
認められない。また、年間400万円を越える部分は100%税金計算上の経費に
ならない。

例えば、年間480万円の接待交際費を使っても、税金計算上の経費で認められる
のは、360万円だけ。残り120万円は経費で認められないのだ。


そして、これからさらに決算書上の最終利益に税金計算上、経費として認められない
ものが加わった。

それが、「役員報酬の給与所得控除の損金不算入」である。

従来は、適正額であれば、役員報酬は100%会社の経費になっていた。

役員報酬は、経営者にとって“魂のごちそう”。

多くの会社で、在庫を除けば、最もウエイトの高い経費になっている。

また、役員報酬には経営者にとって非常に政策的な意味を持つ。

つまり、役員報酬を多めにとって、会社で大きな黒字を出さない。

私が提唱している「ほどほど黒字経営」を実践して、節税を図る最大の手段である。

しかし、18年度の税制改正で18年4月1日以後開始事業年度より「社長への
爆弾」が投下された。

今まで100%経費になっていた役員報酬。

これが、70~80%しか経費で認めらなくなるのだ。


従って、決算書上の利益と税金計算する上での所得とは、今まで以上に大きな乖離が
生じることになる。

私は年に2回は、税金を意識した決算書の見方を身につけてほしいと常日頃から
説いている。

年2回とは、中間期と9ヶ月経過時点だ。

これからは決算書を経営成績を把握するために見ることに加えて、税金を意識した見方
を養う必要性がますます高くなるであろう。


さて、次回の大阪産業創造館での私の決算書セミナーは、5月19日。
すでにキャンセル待ちの状況であるが、参加予定の方には期待して頂きたい。

お金が残る経営の真髄に迫る決算書の見方は、次回の「貸借対照表編」でさらに深堀
していきます。お楽しみに!


最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
有難うございました (決算書セミナーの受講者です)
2006-04-25 16:54:05
岩佐先生、先日のセミナー、とても良かったです、為になりました、有難うございます。

今まで、「決算書」は巷のテキストでしか勉強できず、あまり理解できませんでした。

しかし今回やっと、”生きた決算書とは?”に近づく事が出来ました。

早速、まぐまぐも、手配しましたし、次回のセミナーが待ち遠しいです。今後とも宜しくお願い致します。

返信する
有難うございました2 (決算書セミナーの受講者です)
2006-04-25 17:21:41
すみません、質問があります。もし、岩佐先生に時間が有れば、教えて頂けますか。

先日のテキストの10ページ「会社の経営余裕額」

1行目の損益分岐点売上高ですが、これが分かりません。

サンプル商事の計算書でいくと、

73.071.147 / (1 - 変動費率)x 100

この変動費率は 7.572.525 / 80.643.662 = 9% ですか?

すると損益分岐点売上高は、80.297.963 ???

バカな受講者ですみません、先生の時間の在る時にでも宜しくお願いします。



返信する
Unknown (セミナーご参加ありがとうございました。)
2006-04-27 18:59:33
ご質問の件、テキスト10ページの解説します。



皆さんと確認した、サンプル商事の固定費「×印」の合計額は、73,071,147円です。



損益分岐点売上高を求める場合、一般的に

計算式の分母(1-変動費率)の代わりに

粗利率を使用する場合が多くあります。



従って、

固定費/粗利率×100をサンプル商事に

当てはめると、



73,071,147÷28.6%=255,493,520

が損益分岐点売上になります。



ちなみに、経営余裕額は

売上高-損益分岐点売上高 ですので、



サンプル商事の場合、

306,101,991-255,493,520

=50,608,471

になります。



セミナー当日は時間の関係でこのページが

詳しく解説できず、申し訳ありませんでした。



またのセミナーご参加お待ちしております。



返信する