tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

ヤマト王権と葛城氏 特別展(近つ飛鳥博物館)は、6月29日(日)まで!(2014Topic)

2014年05月21日 | 奈良にこだわる
これはすごい。開館20周年記念特別展として、こんな展示が「大阪府立近つ飛鳥博物館」(大阪府南河内郡河南町東山299)で開かれているのだ。同館のHPによると、

大阪府立近つ飛鳥博物館 平成26年度春季特別展
「ヤマト王権と葛城氏-考古学からみた古代氏族の盛衰-」
≪開催趣旨≫
葛城氏は、百舌鳥・古市古墳群が形成されたころに奈良県西部の葛城地域を拠点とした大豪族であり、大王家と 婚姻関係を結び活躍したとされています。なかでも、4世紀後半から5世紀前半に活躍したとされる葛城襲津彦(かつらぎのそつひこ)は、 朝鮮半島の文献資料にも登場することから実在の人物であろうと推測されます。

彼は、娘の磐媛を仁徳天皇の妃とし、大王家の 外戚として国内外で活躍したとされます。しかし、葛城氏の栄華も長くは続かず、5世紀後半、雄略大王のころより 急速に没落し、葛城の地は蘇我氏、さらには大王家の領域となります。今回の特別展では、葛城地域の古墳とその出土品を中心に大豪族葛城氏の盛衰を考古学資料からあとづけ、ヤマト王権を 支えた古代氏族の実像を探ります。

≪内容≫
会  期 平成26年4月26日(土)~6月29日(日)
会  場 大阪府立近つ飛鳥博物館 特別展示室
開館時間 午前10時~午後5時(入館は4時30分まで)
休 館 日 毎週月曜日(ただし、4月28日・5月5日は開館、5月7日(水)は休館)
観 覧 料 一般600円[480円]、65歳以上・高校・大学生400円[320円] 中学生以下・障がい者手帳をお持ちの方【介助者含む】無料([]内は20名様以上の団体料金)
主な展示遺跡 詳細はこちらから

関連行事として、講演会やシンポジウムも開催される。ぜひ「近つ飛鳥博物館」に足をお運びください!

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ならまちナイトカルチャー(2014春)は、5月末まで!(2014Topic)

2014年05月20日 | お知らせ
この日曜日(5/18)から、「春のならまちナイトカルチャー」が始まっている。奈良の伝統芸能などがお手軽価格で楽しめる恒例のイベントである。奈良の情報ブログ「鹿鳴人のつぶやき」によると、

18日(日)、25日(日)はならまち能・鑑賞
20日(火)、27日(火)は奈良の舞鑑賞
21日(水)はすぐ近くの「元興寺」に場所を移して辻村住職の文化講座
22日(木)、29日(木)は落語鑑賞
23日(金)、30日(金)は雅楽鑑賞
24日(土)は奈良の民話ミュージカル絵巻鑑賞
以上500円。
28日(水)、31日(水)は狂言鑑賞1000円。
開場は19時30分。開演20時。終演21時ということです。
問いあわせは電話0742-27-1820へどうぞとのことです。


会場は「ならまちセンター」(東寺林町38番地、猿沢池から南へ約150メートル)だが、5/21のみ「元興寺」(中院町11番地、猿沢池から南へ約400メートル)なのでご注意を。なお公式HPに詳しい情報が掲載されている。

午後8時~9時という時間帯なので、奈良に宿泊されている方には絶好だし、奈良に住んでいる者も勤め帰りに見に行くことができる。皆さん、ぜひ足をお運びください!

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奈良にうまいものあり!明石家さんまに陳情 観光地奈良の勝ち残り戦略(81)

2014年05月19日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
一昨日(5/17)21:00~23:10、関西テレビ系の全国ネット番組「第1次さんま内閣~首相!全国からこんな陳情が来てますスペシャル~」(土曜プレミアム)がオンエアされた。全国から6チームが出場、それぞれが抱える悩みを「さんま内閣」に陳情し、それが認められれば補助金(賞金)が出る、という仕組みである。

私は平野奈津さん(スムージー専門店「DRINK DRANK」経営者、「三条通橋本商親会・奈良未来クラブ」リーダー)、お笑いコンビ「ロッチ」の2人とタッグを組み、「奈良にはおいしいものがたくさんあるのに、『奈良にうまいものなし』といわれて困っている」と陳情した。

途中からは増井義久さん(大和焼きそうめん)、三家(さんが)弘和さん(らーめん棒)、長崎大助さん(大和牛ホルモンの天ぷら)が、それぞれお料理を携えて登場。審査員(閣僚)に試食してもらった。これらはすべて、過去3回の「ならB級グルメ決定戦」でグランプリに輝いた逸品である。奈良市の仲川元庸市長も、VTRに出演され、現状をアピールした。

今回の出演依頼は、4月半ばになって突然舞い込んできた。当初は県下の自治体に出演を依頼したようだが断られ、最終的に私にお鉢が回ってきたようだ。依頼書の日付が「2月22日」となっていたので、2ヵ月近くもたらい回しが続いたことになり、これはちょっと情けない。



ディレクターとメールなどで出番の構成を打ち合わせた後、4月21日(月)にディレクターが奈良入り。平野さんの「DRINK DRANK」に集合し、そのあとは東向商店街の「月日亭」で茶粥や大和野菜などのランチを食べたり、「旬彩ひより」や「粟 ならまち店」で地場野菜の話をヒアリングしたり(「旬彩ひより」では美味しいわらび餅をいただいた)。夕方にはやすらぎの道の「やたがらす」で「大和焼きそうめん」をいただいた。ディレクターは「これはうまい!」。これで「大和焼きそうめん」をはじめとする「ならB級グルメ決定戦」の歴代グランプリ料理の出場が決定したようである。

4月28日(月)には撮影クルーと「ロッチ」の2人組が奈良入りし、仲川市長へのインタビューや街の声を拾う。私は夕方に「やたがらす」で合流し、「大和焼きそうめん」が「B-1グランプリ」出場を狙っていることなどを話す(しかし結局このシーンは使われなかった)。ここでロッチの中岡創一さん(橿原市出身)から「貴社に中岡って社員がいませんか?」「J部にいますが、ご親戚ですか?」「従兄弟です」「へぇ~!」。世間は狭い。

本番は5月7日(水)だった。早朝から東京での収録なので、前日(ゴールデンウィークの最終日)から上京、新幹線は超満員だった。指定された赤坂のビジネスホテル(陽光ホテル)に宿泊。翌朝は6:30にロビー集合、バスで関西テレビ・レモンスタジオ(世田谷区砧の「東京メディアシティ」内)へ。朝食は、バスの中でお弁当をいただいた。



背広は1度しか手を通していないオーダーもの。シャツとネクタイは、この日に備えて新調した。控え室では、出演者同士、自己紹介が始まった(「ばばば」の宮城県チームの発案)。隣の席には宇佐市から来られた吉武裕子さん(大分「USA☆宇佐からあげ合衆国」大統領)がいて「奈良市と宇佐市は、八幡宮つながりですね」(東大寺建立のおり宇佐八幡宮から守護神を勧請、それが手向山八幡宮として残る)との話題で盛り上がる。

8:00からリハーサル、10:45からは応援団(奈良は「ロッチ」)を迎えてのリハーサル。つまり2回の予行演習だ。そのあと13:00から食事休憩。移動のおり、廊下で担当ディレクターからこんな助言が。「tetsudaさん、もっとしゃべってください。さんまさんから『やかましい、ちょっと黙って!』と言われるくらいアピールしてください。そうして初めて、熱意が伝わりますから」。なるほど、これは良い助言だった。確かに私は「4人で出るから、私の発言は1/4だな」と考えて遠慮していた。しかしそれでは奈良チームの熱意が伝わらないというのなら、もっとしゃべろう。

わずか30分の短いランチタイム、私は平野さん相手にしゃべり続けた。「奈良県民は謙遜しすぎ」「もっと誇りと自信と、厚かましさを持たなければいけない」「飛鳥時代から奈良時代まで都があったところ。そんなところに美味しいものがない訳がない」「美味しいものは美味しいと、ハッキリ言わなければ伝わらない」などと、自分の言いたいことを口に出し、それを頭にたたき込んだ。いわば、イメージトレーニングである。



本番は13:30にスタート。観客席にもお客さんが入っていた(ほとんどが若い女性)。拍手などの練習をしている。このあと、初めてタレントが登場。メインは明石家さんま(首相)、審査員(閣僚)は稲垣吾郎、萬田久子、鈴木福、杉山愛、千原ジュニア(小池百合子は途中から出場)。審査員全員が「承認」すれば、その陳情は認められ、当該チームに補助金(賞金)10万円が出る。

全員が揃ったところにさんまが登場。冒頭からハイテンションで、楽屋話などでタレントを盛り上げる。さんまは、どうも声がかすれている。以前「60歳になったら引退する」と公言していたが、今年の誕生日で59歳だ。身の振り方を考えているのだろうか。

最初に登場したのは羽生市(埼玉県)のチーム。市の職員がゆるキャラを連れて登場。「金メダリストの羽生結弦選手を市のキャラクターにしたい」とアピール。しかし、この様子はオンエアされなかった。オンエアの翌日が市長選挙の日で、ゆるキャラの是非が争点になっていたので、公職選挙法上「これはマズイ」となったのだろう。着席しているシーンにも、ボカシが入っていた。

2番目(オンエアではトップ登場)が奈良チームだった。現地取材したVTRや試食を入れて40分以上の時間をかけて収録した(オンエアは20分)。試食では「料理が冷めている」「汁を吸ってふやけている」などの意見もあったが、それらはカットされていた。私が奈良のうまいものを紹介するところで「柿の葉寿司、茶粥、わらび餅」というつもりが「柿の葉寿司と葛餅」と言ってしまった。葛餅も美味しいので問題ないが、茶粥を落としたのは失敗だった。あとで萬田久子がフォローしてくれて、助かった。

審査員が「承認」か「却下」のボタンを押すシーンでは緊張したが、全員「承認」で、ホッと胸を撫でおろした。はるばる奈良から駆けつけて良かったと思った。リハーサルでは「このおカネは、奈良のうまいものの普及に使わせていただきます」と公言していたが、本番では申し上げる機会がなくて残念だった。

審査員講評のところで、大阪出身の萬田久子が「茶粥のような美味しいものがあるのに、奈良県民はPR下手」、杉山愛が「(うまいものがないと言う)県民のメンタルを変えなければ」の発言は、グサッと心に突き刺さった。私が普段言っていることなのだが、こんな短時間で2人に指摘されるとは。杉山愛の発言に、さんまが「それは時間かかるなぁ~」と突っ込んでいたが、時間がかかっても「奈良にうまいものあり」を唱え続けたいと、私は心に決めた。オンエア後、私のFacebookにはたくさんのコメントをいただいた。


Yくん テレビみましたよ~ tetsudaさん、ちょっと緊張してたんちゃうかな(笑)
Sさん 見ましたー。奈良だけで、けっこう長い尺でしたね!かなりの効果あったのでは。
Iくん 嫁さん共々 正座して見ました! 緊張感漂ってましたよ~
Kさん さんまちゃんに大奮闘されてましたね!紹介されたのがB級グルメだったの残念でしたね
Yさん 面白く拝見しました。ただ、女性のコメントで「8時には閉まっている」は、悪気がなくても多くの飲食店にとってはイメージ的にNGかも。私はよく午前様で多くのお店で楽しませて頂いています。実は、若手オーナーを中心に、遅くまで頑張っています。応援お願いします!!

M本さん (奈良県はスイカのタネの全国シェア8割以上という番組での紹介に関し)「大和スイカ」、日本のスイカの代名詞でした、最盛期には九州などからスイカ栽培の技術を学びに農業高校生が農家に泊まって学んでいた時代(1960年後半)も有りましたが、時代の流れで今では生産量が激減して「大和スイカ」の名も聞かれなくなり、スイカの種作りが主流になっています。同様に、大和平野に電照栽培のイチゴハウスが数多く有った時代も有りました。

M原さん 楽しく見ました!食に対する奈良のイメージを少しは払拭出来たのでは。個人的には茶粥も話題にでたのがうれしかったです。
Kさん 写真の葛餅が関東風なんですが
Iさん 大阪出身の萬田久子さんから「茶粥の紹介が抜けている」との指摘がありましたね。オーソドックスな料理では番組にならないのでB級グルメが扱われたのでしょうが、奈良ファンの兵庫県民としては、茶粥・柿の葉寿司・普通に調理した三輪素麺で勝負して欲しいと思います。


本番ではとても緊張し、掌が汗だくだった。やはり見ていて分かるのだ。家内からは「マイクの音量が小さいのでは。もっと大きな声でゆっくりしゃべらないと…」と指摘された。タレントの皆さん、ものすごく大きな声なので、その声に音量を合わせているのだろう。

Iさんの「茶粥・柿の葉寿司・普通に調理した三輪素麺で勝負して欲しいと思います」というご指摘はまさにその通りで、そのためディレクターに茶粥や柿の葉寿司を食べてもらったのだが、おそらく「よく知られている料理なので、インパクトがない」と判断されたのだろう。私も番組でコメントしたとおり「地味なので、若い人にアピールできない」のである。

今回の番組で「奈良県には美味しいものがたくさんある。県民はもっと誇りを持ってPRしないといけないし、これをもっと前面に出して観光客誘致を図らないといけない」ということが骨身に染みてよく分かった。さぁ、これからも「食べ物の美味しい奈良県へ、いらっしゃい!」を訴え続けるぞ~!

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東京で味わう奈良のうまいもの(奈良を応援するシェフ&レストランガイド)

2014年05月18日 | 奈良にこだわる
昨日(5/17)オンエアの「第1次さんま内閣」(関西テレビ)は無事終了した。「『奈良にうまいものなし』と言われて困っています」と陳情したわが奈良県チームは、めでたく補助金(10万円)をゲットした。このおカネは「奈良のうまいもの」普及のため、大切に使わせていただくつもりである。皆さんご声援、有難うございました。

さて、こんなグルメガイドをご存じだろうか。題して『東京で味わう奈良のうまいもの~奈良を応援するシェフ&レストランガイド~』(県農林部マーケティング課)。奈良の美味しい食材を使った料理を提供する東京圏の18ヵ店が紹介されている。冊子の刊行を紹介したニュースリリース(3/26付)によると、

奈良を応援するシェフ&レストランガイド「東京で味わう奈良のうまいもの」が完成!

東京など首都圏で活躍されている奈良県出身のシェフ、オーナーをはじめ、大和野菜等の県産農産物を積極的に利用するなど、奈良を応援している飲食店を紹介する冊子(B6版)が、首都圏の飲食店18店舗の協力により完成しました。

飲食店の紹介記事と店舗マップに加えて、知事と東京のシェフ二人による巻頭対談、奈良のうまいもの図鑑など、もりだくさんな内容となっています。農林部では、首都圏での大和野菜等県産農産物の販路開拓・拡大に取り組んでおりますが、この冊子の完成を機に、奈良を応援している飲食店と連携を図り、今後一層積極的にPRしていきます。



本冊子は3,500 部作成し、県東京事務所や奈良まほろば館で配布するほか、東京の奈良県人会の会員、県の事業にご協力いただいている東京の関係者等に配布し、ご活用いただく予定です。

農林部マーケティング課 販売流通係 嶋田、松本 電話 0742-27-5427(内線3821)


冊子は3,500 部しか制作されていないので、奈良での入手は難しい。なので、こちらのPDF版をご利用いただきたい。早晩「nara e books」(奈良の電子書籍サイト)にもアップロードされることだろう。

高級店が多いが、気軽に楽しめるランチメニューも載っている。これで私も、東京出張の楽しみが増えた。皆さん、上京のおりには、ぜひ東京で「奈良のうまいもの」を味わってください!

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天理市七廻峠・婆羅門杉と受取り地蔵石仏(産経新聞「なら再発見」第76回)

2014年05月17日 | なら再発見(産経新聞)
紹介が遅れてしまった。産経新聞奈良版・三重版ほかに好評連載中の「なら再発見」、5/10付の見出しは「天理市の七廻峠(ななまわりとうげ) 婆羅門杉(ばらもんすぎ)と受取り地蔵石仏」、執筆されたのは、NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」会員の藤村清彦氏である。こんな杉の老木があることや、地蔵石仏があることは、この記事で初めて知った。では、全文を紹介する。
※トップ写真は、天を突く山門のようにそびえている七廻峠の婆羅門杉=天理市

「巨樹というと老木で痛々しいというイメージがあるが、七廻(ななまわり)峠の婆羅門(ばらもん)杉は違う。心に迫ってくる」と友人に聞き、現地に出かけてみた。
 七廻(または七曲)峠は大和高原の天理市福住(ふくすみ)町から、盆地部のJR帯解駅(奈良市)方面に至る道の天理市側にある。名阪国道の開通で通行人が途絶え、廃道同然になっていたが、天理市の有志が草刈りなどの整備活動を進め、近年に復活した。
 天理市側からは、ヤマトカントリークラブの西から、穏やかな登り道が峠に続いている。奈良市側からは前谷(まいたに)町行きのバスに乗り、中畑町下車。名阪国道の下を抜けて東へ急坂を進む。
      ※   ※   ※
 めざす大杉は峠の東側、下之坊(しものぼう)と呼ばれる普光山(ふこうざん)永照寺(えいしょうじ)にある。参道石段の両側に、天を突く山門のようにそびえている。とりわけ向かって右側の杉は木肌(きはだ)が紅(くれない)色で、巻き上がるような枝ぶりは不動明王の背炎(はいえん)を思わせる迫力がある。



 感嘆していると、地元・福住町の浦辻(うらつじ)亨(とおる)さんが「寺は地元の23軒でお守りしています。昔は祈祷(きとう)寺だったそうですが、今は本堂裏の不動明王が眼病に霊験あらたかなので、お参りに来られます」と教えてくれた。
 さらに「聖武天皇勅願寺なので瓦も菊の紋。東大寺にもない聖武天皇の位牌堂があります。昔は弁天池の向こうに神社もありました。最近はアライグマが本堂の屋根裏に入り込むので困っています。これまでに4匹も捕獲しました」と説明してくれた。
 関東からインターネットのウェブサイト「日本の巨樹・巨木」を見て、この寺を訪ねる人も多いそうだ。
「奈良県の杉では、ここと玉置神社、室生龍穴(むろうりゅうけつ)神社、高井千本杉、伊豆神社が選ばれているそうですが、地元では何の指定も受けていません。平成25年に地蔵堂を二百数十万円かけて改築するとき、根を伐りました。拡がった根が本堂の床束(ゆかつか)を持ち上げていて、床が凸凹でした」
      ※   ※   ※
 境内に次のような案内があった。
「婆羅門杉。推定樹齢800年、幹回り約6・8メートル。この山門の大きな二本の杉は、当寺ご本尊、十一面観音像が聖武天皇と婆羅門僧正の合作と伝えられる寺伝にちなみ、婆羅門杉と呼ばれている」
 婆羅門僧上とは天平8(736)年に来日し、大仏開眼の導師を務め、聖武天皇、行基(ぎょうき)、良弁(ろうべん)と並んで東大寺四聖と称えられた菩提僊那(ぼだいせんな)のことだろうか。
 七廻峠で見落とせないのは、鎌倉時代の建長5(1253)年の銘が残る「受取り地蔵石仏」だ。


鎌倉時代の銘が残る「受取り地蔵石仏」

 頭と側面を大きな板石で囲まれた堂々たる石仏。その前に四角い石が2つあり、これは棺(ひつぎ)台だそうだ。地蔵仏は死者の魂を受け取り、浄土へ送ってくれる。
 地蔵仏は南側の共同墓地(埋め墓)の方を向いている。墓地には檜(のき)の色の残る卒塔婆(そとば)が見える。大和高原は「埋め墓」と、石の墓石のある「参り墓」の両墓制なのだ。この地蔵仏は、これまでどれほどたくさんの死者を浄土へ送り、峠を越える旅人を見送ったのだろう。
 峠を越えて西側に出れば、奈良盆地だ。東西に走る名阪国道は、このあたりで大きく北に折れて、すぐに南に曲がる。鋭い傾斜をかわすための道路建設の苦労がしのばれる。
 大和高原には多くの石仏の優品が、地元民の素朴な信仰の対象として残されている。美しい景観に心が洗われる。(NPO法人奈良まほろばソムリエの会 藤村清彦)


 ホームページ「日本の巨樹・巨木」には、婆羅門杉のことが迫力のある写真とともに紹介されている。

名阪国道の福住インターを降り、北へ3kmほど進むと別所の集落に達する。北へは狭い峠越えの道へと変わるので車の数も少なく、長閑な山村といった風情だ。ここの集落から西の山を望むと大きなスギの梢が見えるが、これが婆羅門杉である。その名称に心底惹かれ、かねてから訪問したい巨樹であったが、2008年の初夏に実現した。

それは想像通りの迫力に満ちあふれた文句なしのスギであった。一見廃寺のようであったが、寺に並び立つ民家からはテレビの音が聞こえてくるのでひと声掛けると、中から老婆が出てきて婆羅門杉の由来などを聞かせてくれた。向かって右側のスギが一回り大きく、その樹形はまるで台湾にある紅檜と瓜二つ。樹皮の色もまるで紅檜である。もしかして…と思い、葉を見るがやはりそれはスギであった。

中央を通る石段は、スギの成長にともない盛り上がるものあり、傾くものありといった感じで、味わい深いものとなっている。これだけのスギでありながら無指定なのは何か解せないものがある。天理市にはひと言申し上げたい気持ちになったのは正直なところである。関西地方の隠れたスギの名木と言っても良いだろう。


婆羅門杉に受取り地蔵石仏、大和にはまだまだ隠れた名木・名仏があるのだ。いちどお参りしなければ…。藤村さん、貴重な情報を有難うございました!

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