tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良大和路の魅力を世界に知らしめた功労者、入江泰吉(産経新聞「なら再発見」第25回)

2013年04月20日 | なら再発見(産経新聞)
産経新聞奈良版・三重版ほかに好評連載中の「なら再発見」、今回(4/20付)のタイトルは「東大寺戒壇堂と入江泰吉旧邸 広目天像 大和路撮影の出発点」。筆者は、NPO法人奈良まほろばソムリエの会の石田一雄さんである。以下、全文を紹介する。

 奈良市の東大寺大仏殿から、人気の少ない道を西へ下ると戒壇堂(かいだんどう)がある。天平時代の塑像(そぞう)「四天王立像(してんのうりゅうぞう)」(国宝)が安置されている。激しい動きを表現しているが、静かで気迫に満ちた厳かな表情で必見だ。
 戒壇堂から自然石の階段を下りると、そこは東大寺旧境内の水門(すいもん)町だ。土塀や生け垣の奥に木造家屋が軒を連ね、古き良き奈良のたたずまいが残る。
      *   *   *
 写真家、入江泰吉(明治38―平成4年)の旧邸もある。入江が昭和24年から亡くなるまで過ごした家だ。平屋建ての木造家屋で、門には自筆表札がかかっている。
 「大和路」を生涯のテーマにし、半世紀にわたって叙情豊かな写真を撮り続けた。奈良の魅力、素晴らしさを全国に知らしめた功労者だ。
 全作品約8万点を寄贈された奈良市は、新薬師寺に近い同市高畑町に平成4年、入江泰吉記念奈良市写真美術館を開館した。
 建築家、黒川紀章氏が設計した美術館は、周辺の田園風景になじんだ外観で、入江作品の常設展示のほか、年に数回の企画展も開催。館内の記念室には、入江の銅像や愛用カメラが収められている。



 奈良市出身の入江は大阪で写真家となったが、昭和20年の大阪大空襲で自宅と店舗を焼失し、失意のうちに帰郷した。
 虚脱状態の中、立ち寄った古本屋で手に取った亀井勝一郎の「大和古寺風物誌」に感銘を受け、古寺遍歴を始めた。
 たまたま訪れた東大寺三月堂の四天王像が、戦災をおそれて疎開した先から戻って運び込まれるのを目撃。奈良の仏像がアメリカに没収されるという噂を聞いて、その前にすべての仏像を写し残そうと仏像撮影を決心したとされる。
 撮影機材をかき集め、最初に撮った仏像が戒壇堂の四天王像のうち広目天(こうもくてん)像で、大和路撮影の出発点となった。
 眉間にしわを寄せ鋭く遠くを見つめる広目天のまなざしに、ハッとさせられた人は多いはずだ。入江の残した最後の言葉も「東大寺戒壇院の仏さん、あれを…」だったそうだ。
      *   *   *
 入江旧邸は、平成16年に亡くなったミツヱ夫人から奈良市に寄贈され整備中で、平成26年度にも一般公開の計画だ。



 奈良に生まれ大和路の風物を写真という遺産で残してくれた恩人、入江泰吉。最後の言葉に残した戒壇堂を望むこの旧邸を、実際に見学できれば、より一層、入江を身近に感じられるだろう。(NPO法人奈良まほろばソムリエの会 石田一雄)


「奈良大和路」という言葉も、入江の発明である。「奈良」だけでは奈良市だけと勘違いされる。「大和路」だけでは、イメージが湧きにくい。「奈良大和路」とすることで、奈良県全域がイメージされるのである。

文中にある入江泰吉記念奈良市写真美術館では、さまざまな企画展が開かれていて、ちょうど今は「写真集でたどる入江泰吉の軌跡―前期(昭和20~45年まで)―」が開催中である。東大寺に近い旧邸が公開されれば、観光スポットとして、立ち寄る人も多いことだろう。ぜひ、ご期待いただきたい。

石田さん、良い記事を有難うございました!

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NPO法人奈良まほろばソムリエの会 の活動

2013年04月19日 | 奈良検定
一般財団法人南都経済研究所が発行する「ナント経済月報」2013年4月号の「観光地奈良におけるリピーター獲得の方策を考える」という特集のなかで、NPO法人 奈良まほろばソムリエの会の活動が紹介された。執筆されたのは、主席研究員の丸尾尚史さんである。「奈良県内で観光振興を積極的に実践し、成功を収めている」団体として、当会とNPO法人なら燈花会の会が紹介された。こんな歴史のある団体と並べて紹介していただき、光栄至極である。当会の部分を抜粋すると、
※写真はすべて、JTBバスツアーの下見会(3/20 室生寺で撮影)

■特定非営利活動法人奈良まほろばソムリエの会
平成19年から実施されているご当地検定「奈良まほろばソムリエ検定」の最上級「ソムリエ」合格者が平成23年4月、奈良商工会議所の公認を得て「奈良まほろばソムリエ友の会」(任意団体)を立ち上げた。その団体が平成25年2月、「奈良の文化・観光の振興」をめざし、「特定非営利活動法人 奈良まほろばソムリエの会」として再スタート。

同法人では、メンバーがガイド役となって奈良県内の史跡を案内するウォーキングツアー「まほろばソムリエと巡る大和路」を実施し、好評を博している。本ツアーは郡山・斑鳩、山の辺の道、葛城など9コースがある。
【ツアーの特徴】
①2人以上なら期間中のいつでも、希望するコースをガイドしてもらえる。
②時間帯や説明の難易度、歩くスピードなど、参加者のニーズに沿った「カスタマイズ」が可能である
③通常のガイドツアーのエリアは原則として市町村単位で実施されており、対象地域ごとに申込み先の窓口も異なる。それに対し本ツアーは複数の市町村にまたがるコースも設定されており、広域エリアのツアーが楽しめる。また対象地域だけでなく全県エリアの歴史や地理に詳しいガイドが案内するので、広くて深い知識が身につく。
 
同法人は、ツアーガイドを通じて奈良ファン層の拡大やリピーターの獲得に貢献するなど、奈良の観光振興に大きな役割を担っており、「コースが多く、観光客のニーズに合わせた対応ができるので、何度来られても満足していただける案内ができる」と再訪を促している。

現在、奈良交通とタイアップし、犬養節で万葉集を朗詠しながら万葉の故地を巡る「奈良まほろばソムリエと 歌って巡ろう!大和路・万葉の旅」というバスツアーを実施している(今後2年間で12コース・24回実施予定)。また同法人が企画した「記紀がテーマの1泊ツアーを連続開催し、宿泊客を継続的に県内に誘致する」というビジネスプランは、「第2回なら・ソーシャルビジネスコンテスト」で大賞を受賞。同会では今後、第3種旅行業の登録をして「着地型ツアー」を企画・実施することも視野に入れている。

【組織の概要】
特定非営利活動法人 奈良まほろばソムリエの会 理事長 小北 博孝
事務所 奈良市中新屋町23番地 中江ビル302号
電話 090-3485-2411




短い文章のなかで、簡潔明瞭に当会の活動を紹介していただいた。当初は「奈良まほろばソムリエ」資格取得者の親睦団体だったが、NPO法人化に伴い、ソムリエに合格していなくても、「奈良を愛する者」であり、かつ3,000円の年会費を納める人であれば、誰でも入会できることになった。なので、「これから奈良検定にチャレンジしたい」とか「今度ソムリエを受験する」、「奈良のことを深く勉強したい」という方から入会のお申し込みをいただいている。(入会のお申し込みは、こちらから)。

なお、丸尾さんの「観光地奈良におけるリピーター獲得の方策を考える」という特集は、漠然と「リピーターを呼ぼう」と叫ぶのではなく、「人はなぜリピーターになるのか」というところに踏み込んだレポートになっている。単純に「修学旅行にくれば、また来たくなる」と唱えている自治体関係者には、ぜひお読みいただきたい特集である。いずれ、当ブログでも詳しく紹介させていただく予定である。

丸尾さん、ご紹介有難うございました。皆さん、ぜひ「NPO法人 奈良まほろばソムリエの会」にご入会いただき、一緒に奈良を学び、もっと奈良を盛り上げましょう!
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ゴールデンウィークは、奈良市内・1日フリー乗車券のご利用を!(2013Topic)

2013年04月18日 | お知らせ
ゴールデンウィーク期間中、奈良市内の主要道路はいつも渋滞に悩まされる。マイカーを抑制して公共交通機関の利用を促すため、奈良交通は県とタイアップして4月27日(土)から、500円の1日フリー乗車券を発売する。乗車券購入日には、平城京歴史館などの入場料が割引される特典もある。今朝(4/18)の産経新聞奈良版「GW渋滞解消 特効薬登場?」によると、
※トップ写真は興福寺境内(4/17撮影)

ゴールデンウイーク(GW)期間中の奈良市内の渋滞を解消するため、県などは27日から、バス利用を促す500円(中学生以上)の1日フリー乗車券の販売を始める。乗車券は奈良らしい木簡型。1日何回も使えるほか、市内の主要施設の入場料も割引される。県は「たくさん巡っていただき、渋滞も緩和できれば」と話している。

春のGWと秋の正倉院展の期間中は毎年、奈良市内は深刻な渋滞になる。奈良公園から平城宮跡にかけての大宮通りでは、渋滞が多発。奈良公園周辺の駐車場は、午前9時に満車になることもある。渋滞を緩和し、公共交通機関の利用を促すため、県などは、駅や主要な観光地を巡るバスが利用できる1日フリー乗車券を販売する。

利用できるのは、近鉄奈良駅やJR奈良駅を経由し、奈良公園と平城宮跡の2ルートを巡る「ぐるっとバス」と、「平城京天平祭」が開催される5月3~5日、平城宮跡を拠点に近鉄大和西大寺駅と唐招提寺、薬師寺の2ルートを巡る「奈良観光周遊バス」。

このほか、市内中心部の主要観光地や駅などを通り、奈良交通が「フリー区間」と設定している路線でも利用できる。乗車券の購入日は、県立美術館や平城京歴史館など市内23カ所で入場料が割引される。利用期間はGWを含む27日~5月12日と、音楽祭の「ムジークフェストなら」が市内で開催される6月14日~30日。乗車券は、小学生以下は250円。6千枚の限定販売。JRと近鉄の奈良駅前の奈良交通案内所のほか、一部期間中は県庁前などでも販売する


春のゴールデンウィークと秋の正倉院展の期間中、特に近鉄奈良駅から奈良公園にかけては、極端に渋滞し、「歩いた方がずっと早い」という状況になる。それが今回の「1日フリー乗車券」でどれだけ緩和されるか、1つの実験としても興味深い。皆さんも、ぜひご利用ください!
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奈良の達人と行く ! 奈良まほろばツアー by 読売ファミリー(2013Topic)

2013年04月17日 | お知らせ
5月16日(木)、タウン紙「読売ファミリー」の主催による「奈良の達人と行く 奈良まほろばツアー」(日帰りバスツアー)が開催される。NPO法人 奈良まほろばソムリエの会と同紙のタイアップツアーである。テーマは「宇陀・桜井の美仏・名仏めぐり」。同紙のHPによると、
※トップ画像は安産寺のパンフレット表紙

奈良の達人と行く~奈良まほろばツアー~
昼食は室生寺門前の老舗・橋本屋

奈良観光の達人で、ご当地検定の最上級資格を持つ「奈良まほろばソムリエの会」のメンバーの案内で、古都の名刹・名仏を訪ねます。美仏として名高い安産寺(宇陀市)の「子安地蔵菩薩」(重文)、室生寺(同市)で特別開帳中の「灌頂堂 真言八祖像特別開扉」、JR東海のキャンペーンで話題を集めた聖林寺(桜井市)の「十一面観音像」(国宝)、国宝指定の答申があったばかりの安倍文殊院(同市)の「木造騎獅文殊菩薩(快慶作)及脇侍像」などを拝観。昼食は、明治4年創業の老舗旅館で、写真家・土門拳の定宿としても有名な「橋本屋」の山菜料理。



ガイドの1人、雑賀耕三郎さん(3/20撮影)

開催日 5/16(木)近鉄大和八木駅(南口のローソン前)に10時集合。17時頃同駅解散
参加費 9800円
定 員 40人(最少催行人数30人)
申し込み 読売ファミリー旅行事業部「奈良まほろばツアー」
0570(550)436
(9時~17時30分、日・祝日除く。自動音声が流れた後、オペレーターが応対します。PHS、IP電話の場合は06・6316・0856へ)


もう1人のガイドは、田原敏明さん(3/17撮影)

「読売ファミリー」紙は、関西エリアで170万部発行されるタウン紙で、読売新聞などに挟み込まれる。そんなタウン紙に広告が載ったので、すでに残席はわずかであるが、今でも申し込みができる。このツアーの特徴は、

1.知る人ぞ知る、かくれ美仏で重要文化財の安産寺「子安地蔵菩薩」(宇陀市室生三本松2784中村)を拝観できる(通常拝観は毎月9日のみ)
2.現在、期間限定で特別開扉されている室生寺の「灌頂堂 真言八祖像」を拝観できる
3.アクセスが難しい聖林寺の近くにバスを駐め、美仏「十一面観音像」(国宝)を拝観できる
4.国宝指定に沸く安倍文殊院の「木造騎獅文殊菩薩(快慶作)及脇侍像」を拝観できる(住職のお話も聞く予定)。安倍首相が寄進した灯籠も見られる。



橋本屋さんの山菜料理。ここにご飯とデザートがつく。特に「山芋とろろ」と「とろろ汁」が絶品!

5.ランチは老舗・橋本屋旅館で、室生川や太鼓橋を眺めながら地元食材を使った豪華な山菜料理が楽しめる
6.オープンしたばかりで、直売所としては全国最大級の「まほろばキッチン」(橿原市)に立ち寄る予定なので、ここで新鮮な産直品が買える
7.「NPO法人奈良まほろばソムリエの会」のカリスマガイド2人が、現地とバス車中で、カラー写真などをふんだんに使いながら楽しくガイドする



プレオープン時の「まほろばキッチン」(4/13撮影)

ということになろうか。大和八木駅発着なので、大阪・京都から便利だし、県内からの参加もラクラクだ。私も4/13(土)の下見ツアーに参加した。安産寺のお地蔵さまは、息を呑むような美しさだった。聖林寺本堂から眺める大和盆地の風景もいいし、「これってイオンモール?」と一瞬勘違いしそうな「まほろばキッチン」では、新鮮な青果と美味しい加工品がてんこ盛りである。ガイド2人の準備も、万端である。

皆さん、ぜひ「 奈良まほろばツアー」美仏・名仏編にお申し込みください!
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奈良まほろばソムリエと歌って巡ろう!大和路・万葉の旅 by 奈良交通(2013Topic)

2013年04月16日 | お知らせ
 万葉の旅〈上〉大和 (平凡社ライブラリー)
 犬養孝
 平凡社

いよいよ今週末(4/20)から、奈良交通の大和路再発見バスツアー「奈良まほろばソムリエと歌って巡ろう!大和路・万葉の旅 」シリーズがスタートする。2年間・全12コース(24回)で、奈良県下の万葉集ゆかりの地をくまなく巡るという大型企画である。

万葉学者の故犬養孝氏(大阪大学名誉教授、甲南女子大学名誉教授)は、頻繁に「万葉旅行」(万葉集ゆかりの地を巡るツアー)を実施された。万葉集は、それが詠まれた地へ赴き、そこで歌を朗唱することによってはじめて歌の魅力が分かる、というお考えに基づく。万葉歌を朗唱する「犬養節(いぬかいぶし)」は独特の節回しで、多くの万葉ファンに親しまれた。

しかし驚いたことに、最近の若いモンも中年モンも、「犬養節」を知らない。NHKの「日めくり万葉集」のおかげで、壇ふみのナレーションと葉加瀬太郎のテーマ曲は知っていても、犬養孝も犬養節も、知らないのである。「これはいけない。これでは犬養節という『文化』が廃れてしまう」との思いで企画したのがこのツアーである。幸い犬養氏は『万葉の旅』(平凡社ライブラリー 全3巻)という絶好の手引き書を残しておられる。この上巻が「大和編」で、おかげさまでここから12コースを組み立てることができた。


この4月~6月の間には、以下の2コース(4回)のツアーが開催される(パンフレットは、こちら)。

○4月20日(土)、4月29日(月・祝)
采女の袖吹き返す 明日香風(明日香コース)@6,000円
万葉集の定番、明日香村中南部を中心に、ゆかりの地を訪ねます。甘樫丘(あまかしのおか)から大和盆地を見渡しながら、古代人の気持ちになって朗々と万葉歌を歌い上げましょう。

○6月8日(土)、15日(土)
籠(こ)もよみ籠もち ふくしもよ みぶくし持ち…([初瀬・桜井コース) @5,300円
万葉集の巻頭に、泊瀬朝倉(はつせのあさくら)宮に皇居のあった雄略天皇の作といわれる求婚の歌が登場します。このコースでは、万葉びとの心情で初瀬・桜井をたどります。


いずれのコースにも、NPO法人 奈良まほろばソムリエの会のベテランガイドがつく(各回2人)。バス車中などで犬養節を練習し、現地では皆さんとご一緒に万葉歌を朗唱しましょう、という楽しいツアーで、いわば犬養氏の「万葉旅行」を平成の世に復活させたようなつくりになっている。これに備えてソムリエの会では、3ヵ月にわたる勉強会を開催し、『万葉の旅(上)』をおさらいした。また、犬養氏が朗唱されたCDを購入し、犬養節の節回しを勉強した。

4月のコースは開催が目前に迫っているが、まだ若干の空席がある(私は4月29日のコースに同乗する予定。ただしガイドではない)。明日香コースでは奥明日香 さららの地元食材を使ったランチがついてくる。このお店は、私も当ブログで紹介したことがある。

明日香といえば、万葉集の定番中の定番である。ぜひ皆さん、「奈良まほろばソムリエと歌って巡ろう!大和路・万葉の旅 」にご参加ください!
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