
先日、観光統計に関する話を聞く機会があった。和歌山県で開かれた「第1回観光経済国際シンポジウム」(10/15 主催=国交省・世界観光機関)に出席された方からのまた聞きである。
私たちは観光産業という言葉をよく口にするが、「観光産業」は正式な産業分類ではない。通常、産業は宿泊業、飲食業などの「供給サイド」でカウントされる。一方観光は「需要サイド」で定義される活動であり、それは宿泊、小売り、レストランなど複数の産業によって構成される「楽しみ」の活動であるからだ。
だから今まで、観光に関する供給も消費も、ちゃんとカウントされてこなかった。GDPに占める観光の貢献度合いなども、実はよく分からなかった。
そこで今《観光立国の実現には、世界共通基準に基づく観光統計の整備および分析が不可欠と考えられ、「観光立国推進基本計画」においても観光統計の整備は必要な施策として盛り込まれた》(10/27付 週刊観光経済新聞)
《世界観光機関(UNWTO)は、観光サテライト勘定(TSA)という統計手法の導入が必要としている。TSAは、国民経済計算体系(SNA)の中では把握することが困難であった観光活動を、SNAに準拠しつつ抽出するもので、観光関連の消費、付加価値、雇用等が把握でき、国民経済における観光産業の貢献度を客観的に測定できるもの。現在、世界80カ国で導入されている》(同)
http://www.kankoukeizai-shinbun.co.jp/backnumber/07/10_27/kanko_gyosei.html
確かにこれは必要なことだ。観光政策の立案にしろ、マーケティングにしろ、ベースとなる統計数値(金額)が出ていないことには、戦略の立てようがないからだ。
そこで、はたと気がついた。観光という「楽しみの活動」を金額ベースでカウントするのは良いとしても、そこから抜け落ちてしまうものがあるのではないか。とりわけ「奈良観光」では、金額でカウントされないものが余りにも多い。
奈良公園も平城宮跡も、タダで入れる(金額ではカウントされない)。だからお弁当と水筒さえあれば、一日中遊べる。東大寺も興福寺も、境内にはタダで入れる(特定の施設のみ有料。塀で囲っている京都のお寺とは、そこが違う)。おん祭りもお水取り(おたいまつ)も燈花会も、タダで見物できる。奈良市だけでなく、吉野山も馬見丘陵公園も橿原神宮もタダだ(冒頭の写真は奈良公園=11月下旬の撮影)。
タダで提供しているこれらのサービスを「奈良の社会的効用」(「効用」は「費用」の逆の意味)と名づけ、金額換算すれば、膨大なものになるだろう(例えば奈良公園の入場料を長居植物園並みの200円、東大寺の拝観料を金閣寺並みの800円として計算する など)。
奈良には日帰り客ばかり来るので、おカネを落としてくれない(ゴミだけ落とす)などと嘆いているのではなく、この膨大な「社会的効用」を全国にアピールすれば、他府県の人は「ああ、奈良は良いことをしてくれているのだな」と気づいてくれるはずだ。県民も、地元が社会に与えている「効用」を知ることで、地元の良さを見直し、地元を大切にする気持ちが高まってくるだろう。
それはまた、「景観」や「風情」など、これまでおカネにカウントされてこなかった奈良の「観光価値」を計る1つの尺度になるかも知れない。県下の大学やシンクタンクあたりが、この作業にひと肌脱いでもらえないものだろうか。
※参考:観光地奈良の勝ち残り戦略(7)RYOKANへの期待
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/2016747b78500e54b96fd4e6d8cf92f6
※まもなく「奈良市景観計画」に対する意見募集の締め切りが来る(12/28締切)。ぜひ、ご意見を市へお送りいただきたい。
http://www.city.nara.nara.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1195430446960&SiteID=0&ParentGenre=1194926856160
これに関しては、以下のブログ記事末尾の南都さんのコメントが参考になる。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/7c6c09b3e6732e329d8471198a6dace4
私たちは観光産業という言葉をよく口にするが、「観光産業」は正式な産業分類ではない。通常、産業は宿泊業、飲食業などの「供給サイド」でカウントされる。一方観光は「需要サイド」で定義される活動であり、それは宿泊、小売り、レストランなど複数の産業によって構成される「楽しみ」の活動であるからだ。
だから今まで、観光に関する供給も消費も、ちゃんとカウントされてこなかった。GDPに占める観光の貢献度合いなども、実はよく分からなかった。
そこで今《観光立国の実現には、世界共通基準に基づく観光統計の整備および分析が不可欠と考えられ、「観光立国推進基本計画」においても観光統計の整備は必要な施策として盛り込まれた》(10/27付 週刊観光経済新聞)
《世界観光機関(UNWTO)は、観光サテライト勘定(TSA)という統計手法の導入が必要としている。TSAは、国民経済計算体系(SNA)の中では把握することが困難であった観光活動を、SNAに準拠しつつ抽出するもので、観光関連の消費、付加価値、雇用等が把握でき、国民経済における観光産業の貢献度を客観的に測定できるもの。現在、世界80カ国で導入されている》(同)
http://www.kankoukeizai-shinbun.co.jp/backnumber/07/10_27/kanko_gyosei.html
確かにこれは必要なことだ。観光政策の立案にしろ、マーケティングにしろ、ベースとなる統計数値(金額)が出ていないことには、戦略の立てようがないからだ。
そこで、はたと気がついた。観光という「楽しみの活動」を金額ベースでカウントするのは良いとしても、そこから抜け落ちてしまうものがあるのではないか。とりわけ「奈良観光」では、金額でカウントされないものが余りにも多い。
奈良公園も平城宮跡も、タダで入れる(金額ではカウントされない)。だからお弁当と水筒さえあれば、一日中遊べる。東大寺も興福寺も、境内にはタダで入れる(特定の施設のみ有料。塀で囲っている京都のお寺とは、そこが違う)。おん祭りもお水取り(おたいまつ)も燈花会も、タダで見物できる。奈良市だけでなく、吉野山も馬見丘陵公園も橿原神宮もタダだ(冒頭の写真は奈良公園=11月下旬の撮影)。
タダで提供しているこれらのサービスを「奈良の社会的効用」(「効用」は「費用」の逆の意味)と名づけ、金額換算すれば、膨大なものになるだろう(例えば奈良公園の入場料を長居植物園並みの200円、東大寺の拝観料を金閣寺並みの800円として計算する など)。
奈良には日帰り客ばかり来るので、おカネを落としてくれない(ゴミだけ落とす)などと嘆いているのではなく、この膨大な「社会的効用」を全国にアピールすれば、他府県の人は「ああ、奈良は良いことをしてくれているのだな」と気づいてくれるはずだ。県民も、地元が社会に与えている「効用」を知ることで、地元の良さを見直し、地元を大切にする気持ちが高まってくるだろう。
それはまた、「景観」や「風情」など、これまでおカネにカウントされてこなかった奈良の「観光価値」を計る1つの尺度になるかも知れない。県下の大学やシンクタンクあたりが、この作業にひと肌脱いでもらえないものだろうか。
※参考:観光地奈良の勝ち残り戦略(7)RYOKANへの期待
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/2016747b78500e54b96fd4e6d8cf92f6
※まもなく「奈良市景観計画」に対する意見募集の締め切りが来る(12/28締切)。ぜひ、ご意見を市へお送りいただきたい。
http://www.city.nara.nara.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1195430446960&SiteID=0&ParentGenre=1194926856160
これに関しては、以下のブログ記事末尾の南都さんのコメントが参考になる。
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/7c6c09b3e6732e329d8471198a6dace4
1級の練習問題にチャレンジしました、やっとのことで。あまり2級の練習問題と難易度に差はなかったように思います。キトラ・高松塚古墳特集はお手上げでした。80問はサイコロ頼み。20+(80×4分の1)≒51点でした。追加された「奈良にまつわるエトセトラ」を参考にさせていただきます。
tetsudaさんのおっしゃるとおりだと思います。大阪や京都ではないからこその「奈良」、どこかの何かと比較して一喜一憂することは、自らの良い部分を喪失せしめる行為のような気がします。
「奈良は日本の故郷」といったような概念がすっかり染み込んでいるようですが、ご承知のとおり、奈良ほど半島と大陸の文化が良質な状態で残っている場所は他にありません。言ってしまえば、奈良の「観光遺産」なんて、辿ればほとんど海の向こうへ行き着いてしまう。だから、その特徴を生かす上でも、東アジアの平和に寄与するような姿勢、たとえば東アジア安全保障会議を奈良で開けるようにする、とかいいんじゃないかと。東京の人間より、奈良の人間の方が親近感を持たれそう。ユネスコの機能があってもいい。そうやって、奈良の政治的・文化的ステータスを一気に上げて行くことも、奈良の魅力を高めることに繋がるだろうと思います。
僕が思うには、奈良は観光地としては優秀だと思いますが、買い物をする所ではないです。魅力のある店も少ないような気もします。
駅前の商店街も質をあげて、凝縮させれば良くなるとは思いますが…
> 28日に締め切りとは、時間がないですね。でも提言してみます。
電子メールで簡単に送れますので、ぜひ。私も送付しました。
> 夜が早くて評判が悪い奈良市の商店街ですが、逆の発想でプラスに
「夜の静かな奈良」というのは、コンセプトとして十分成立すると思います。
> 奈良の政治的・文化的ステータスを一気に上げて行くことも、
> 奈良の魅力を高めることに繋がるだろうと思います。
地球温暖化防止で、アメリカのキリスト教団体などが声明を発表していました。奈良のお坊さんたちも、このような普遍的なテーマで団結することは可能だと思います。
> 観光地としては優秀だと思いますが、買い物をする所ではないです。
> 駅前の商店街も質をあげて、凝縮させれば良くなるとは思いますが…
高校生の方がこのブログを見て下さっているとは、有り難いことです。確かに奈良(特に旧市街地)は、買物をするには物足りないところがあります。ただ、あまり何もかもを求めず、「これが奈良だ」という姿勢を示せば、それがかえって希少価値を生み出すのではないか、と思います。ただし、「洗練」が必要でしょうけど。
私は、自分のも店用も近所の商店街でほとんど使ったことが有りません。昼食位はすませますが・・・。
何故か?必要な物は購入していますし、商店街で有る物は段取りしますが、大半は必要な物がほとんど無いんです。商店街の廃れる原因の一つに、何とは申しませんが、特定4業種の店が幅を効かせるとダメに成る、と云う法則が全国的に有る様です。無論これらの店がダメなのではなく、商店街は八百屋、魚屋、肉屋、乾物、等々色々な種別の店が揃ってこそ人が集まります。もの足りない、と云う指摘は、買って戴きたいのは当然ですが、ウインドショッピングもおもしろくない、と云うのも一理ありそうです。
また品揃えの問題も有ります。昨日「奈良らしい手土産って何!?」と聞かれて、返答に苦慮致しました。「奈良漬けなどではなく、大仏さんの置物の一寸良いの」と云う所望だったのですが、かつて手作りの土人形が有りました。それも小売価格500円でした。残念乍らもうこの製造元は解散してしまい、奈良の大切な物が一つ無くなってしまいました。で、結果何処にでも有る「おみやげ」に成ってしまい「奈良らしい」が一つ一つ消えています。しかし、この「奈良らしい」がなかなか売れないのも事実なのです。極端な言い方をすれば、売る方が「よくこんなの買うなぁ」と思う様な物が売れていきますが、これが名産品の現実です。商品を売るのは、難しいですよ。なかなか一筋縄ではいきません。
私の手元に、この商品が何種か残っているので、この29日のオフミの際に披露させて戴きましょう。それでまた辛口コメント御願い致します。
> 自分のも店用も近所の商店街でほとんど使ったことが有りません。
それが正直なところなのでしょうね。私はわりと買う方で、古本屋さんや和菓子屋さん、食べ物屋さんなど、よく利用します。
お土産物だと、最近は「朱鳥(あけみどり)」さんが気に入っています。JAアンテナショップや登大路の商工観光館も、おススメです。
> 手元に、この商品が何種か残っているので、この29日のオフミの際に
> 披露させて戴きましょう。それでまた辛口コメント御願い致します。
ご厄介をおかけしますが、予定通りでお願いいたします。侃々諤々の結果報告は、またブログで…。
奈良公園も橿原神宮も春日の森も吉野山も明日香村もあまりに普通の暮らしに溶け込んでしまっているんですね。
京都は、観光として見せる顔と住民として暮らしに溶け込む時に見せる顔が違うので暮らしにくいといわれますが、奈良はそういうところ少ないかもしれません。
いろいろな部分で京都との違いを逆に利用するようにすれば、奈良の売り出し方が見えてくるかもしれませんね。
奈良の観光に関して、県民の皆様が真剣に意見をぶつけ合い、本音で主張しあっておられるこのサイト
で多くを学ばせてもらいました。
そして、生駒山を隔てた 大阪での観光の議論の違いも学ばせていただきました。
観光統計を専攻している関係で、いろんな数値を拝見します。 NO7の観光戦略のブログに書き込まれていた
(奈良が稼働率最下位、宿泊者数最下位)は事実です
しかし、それ観光地奈良の価値をはかることができるのでしょうか。
奈良は日本人の原点であり、すべての始まりの地です、別に観光客に大勢きてもらわなくてもいいのではないでしょうか。
県民が古都として誇りをもっていればそれで十分だと思います。
国のビジットジャパンキャンペーンは明らかにアジアからの観光客誘致をめざしており、私(インターンシップでお世話になった)大阪府の観光協会でも、異常ともいえるほどアジア・中国プロモーションを繰り返しておられます。
その大阪協会では休みを返上して、月に2回、3回も同じ方が韓国 中国 台湾へとプロモーションに行かれています。
数年前まで、観光とは縁のなかった大阪が、今アジアの観光都市になってきているのは、こうした大阪観光協会の皆様の努力の成果だと思います。
最後に一つだけ、お願いがあります。内外へのプロモーションの際に 「奈良は奈良だけを売ってきました」ような機がします。しかし、奈良だけにくる観光客はいません、と断言できます。
大阪の観光協会では、奈良や京都のPRをしてついでに大阪に来てください、大阪はミナミの買物と大阪城見学だけで結構です・・・こんな観光プロモーションをやっています。その結果が大阪への観光客の顕著増加となって表れてきていると思います。
どうか、奈良県のために平城遷都や奈良の歴史資源だけをうるのではなく、大阪や京都も一緒にうることで
結果として奈良へのお客さまを増やせることができる。それが私の4年間の観光大学での結論です
いかがでしょうか
一奈良市民としては同感です。渋滞・混雑・・・etc.
“ミーハーは●●へお行きやす”という心が自分の中に少しあります。本当の良さをじっくり味わう人だけに来て欲しい、修旅には向かないとか。しかしいわゆる観光産業に従事している方の生活があります。また仏教芸術や歴史の本質的な理解は出来なくても何かを来寧をきっかけにして感じたり、楽しい思い出作りになればとももちろん思います。
「奈良は奈良だけを・・・」 → 大阪の観光協会がそういうスタンスとは知りませんでした。各行政がバラバラでやっているのかと。エコの観点からしても鉄道利用がもっと増えるべきで、「スルッとKANSAI」協議会のゾーンPRに期待するところ大です。
貴方のような方が観光行政で力を発揮してくれればいいなと思います。
尻切れトンボですが、皆さん、いいお年を。