tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良名物、奈良茶飯とわらび餅を「柳茶屋」(興福寺五重塔東)で賞味!

2021年11月07日 | グルメガイド
古くから食べられていたという「奈良茶飯」を、興福寺境内の「柳茶屋」(奈良市登大路町4-48)でいただいた。かつては店外で、床几(しょうぎ)に赤い毛氈(もうせん)を敷いて提供されていたが、今は店内の部屋でいただくことに変更されている。

なお「柳茶屋」は2軒あるのでご注意いただきたい。奈良茶飯のついた「松花堂弁当」(税込み3,740円)が提供されるのは、興福寺境内(五重塔の東、本坊の隣)の店である(もう1軒は猿沢池畔の三条通り沿いにある。2軒はご兄弟で経営されている)。柳茶屋の公式HPによると、


風情のある建物だ

奈良茶飯をお手軽に 松花堂弁当
大きな茶会で出される風雅なお弁当。お手軽に伝承の味わいをお楽しみいただけます。
ご予約は不要ですが、料理のご用意に少しお時間を頂いています。




お一人様からご利用頂けます。小さなお子様も歓迎します。/アルコール類(日本酒・ビール)やソフトドリンクのご提供も可能です(お料理とは別料金)。/お食事の前に、わらび餅をお出ししています。/ご予約・お問い合わせはお電話で 0742-22-7560 0742-24-7560 営業時間 11:00~17:00  定休日 月曜日(祝日の場合は営業)


松花堂弁当が出てきた。右上はイカの刺身と生湯葉

奈良茶飯の由来
古都千年の昔、東大寺・興福寺両寺の僧坊にて炊かれました奈良茶飯はその法絶えて、久しく世に行われませんでしたがそれを惜しんでやまぬ私は明治三十五年、古き法を伝え、且つ今人の味覚に適する奈良茶飯を創めました。炊大豆や焼栗をまぜ、葉茶を煮込んだ飯は、古寺僧坊の方に倣ったものであります。



松花堂弁当の蓋の上に、これらが並べられた(=トップ写真に同じ)

横井也有の「鶉衣」に俳席の掟として飯は芭蕉の奈良茶飯を専らとし一汁一菜、魚鳥は有るに任せ、夏は茄子、常に豆腐を用ふとありますが、これこそ数を奢らぬ懐石の本意。これを酌み簡素にて風味忘れぬ料理を採り入れましたのが柳茶屋名物の奈良茶飯懐石であります。配する器とりどりにみな奈良に因んだ私好み。


「秋限定で栗が載っています」、緑色は茶葉。何とも上品な茶飯だ

「旅といへば奈良茶、田楽をおもひ」と書かれましたのは元禄の昔でありますが、昔にしても今も心ある人々の意に適い、普く世にしられました。望外の喜びであります。「奈良茶飯 できるに間あり 藤の花 高浜虚子」「屋根打って 木の実しつもる 奈良茶飯 山口誓子」
柳茶屋流芳庵主誌す



わらび餅。先にこれが出てきたが、食べようか迷っているうちに松花堂が出てきたので後回しに

【解説】奈良茶飯は奈良の東大寺、興福寺の僧らが食べたとされ、古くから伝わる料理です。松尾芭蕉が活躍した時代には、素朴な食べ物の代表であり、俳諧の席でも食されたと記録に残っています。それは横井也有が俳諧の席の掟として、「飯は三石の掟を守るべし。」と記していますが、この三石の掟というのは、芭蕉の言葉として「なら茶三石喰ふて後はじめて俳諧の意味をしるべし」とあるのによります。


飲み物は「シソサイダー」(税込み500円)を注文、「疲れが取れますよ」とのこと

奈良茶は奈良茶飯のことで、俳諧の席での食事に用いられました。三石というのはなんと1合の3000倍。芭蕉は、そのくらい俳諧の経験を積めという意味で言っていたのですね。そして也有が「俳諧の席での食事は奈良茶飯だ」と、最初に記しているのです。そんな奈良茶飯ですが、明治に入り食べられなくなりました。


お皿は、こんな絵が描かれた赤膚焼だ

その事態を憂えた柳茶屋の創業者・安次郎が研鑽を重ねて、当時の人々の舌にも合う料理として復活させたのです。安次郎は俳諧を嗜んでいて、高浜虚子先生や山口誓子先生とも交流があったようで、お二人に奈良茶飯を提供していたようです。柳茶屋で句会を開かれたこともあったようです。古くから多くの俳人に愛された奈良茶飯はこんな歴史のある料理なのです。


こちらは東大寺二月堂横「竜美堂」のわらび餅。こちらも美味!

美味しい奈良茶飯つきの松花堂弁当とわらび餅だった。奈良茶飯はわが家もよく作るし、先日は今庄そばの店(福井県南越前町)でも発見した。正倉院展で活気を取り戻した奈良公園、のんびりとこんな食事を楽しまれては、いかがだろう。
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