tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奈良はかき氷の聖地!/かき氷のルーツを探る

2019年05月10日 | 奈良にこだわる
今日(5/10)は、最高気温が昨日の23℃をはるかに超える夏日の28℃になるそうだ。暑い日にはかき氷。奈良は「かき氷の聖地」と言われている。文献上、初めてかき氷が登場するのは『枕草子』だ。第42段「あてなるもの(上品なもの)」のところに出てくる。「児(ちご)のいちごなど食ひたる」のくだりは、覚えている人も多いのではないだろうか。
※トップ画像は、「和CAFE 布穀薗(ふこくえん)」のかき氷
奈良の観光サイト「ええ古都なら」「おすすめ!ならのかき氷」から拝借

(原文)あてなるもの 薄色(うすいろ)に白襲(しらがさね)の汗衫(かざみ=女児の上着)。雁の子。削(けず)り氷(ひ)に甘葛(あまづら)入れて、新しき鋺(かなまり)に入れたる。水晶の数珠。藤の花。梅の花に雪の降りかかりたる。いみじううつくしき児のいちごなど食ひたる。

(私訳)薄色に白い重ね着をした汗衫姿。カルガモの卵。削った氷に甘葛(ツタの樹液を煮詰めたシロップ)を入れて、新しい金属のお椀によそったもの。水晶の数珠。藤の花。梅の花に雪が降りかかった様子。とても可愛い子供が、イチゴなどを食べているところも。




もう少し詳しく説明する。手元の『日本大百科全書(ニッポニカ)』によると、

かき氷(かきごおり)
氷を細かく削ったもの、およびこれにシロップなど甘味のあるものを加えたものの総称。

歴史 かき氷は古く、『枕草子(まくらのそうし)』に出てくるけずり氷(ひ)がその最初であるといわれている。このけずり氷は、氷を削って甘葛煎(あまずら)をかけたもので、当時、饗宴(きょうえん)の献立に入れたり、貴族の夏の飲料として楽しまれていたようである。

また、1841年(天保12)江戸で、かき氷にきな粉と砂糖をかけて食した記録がある。明治になって、氷が比較的自由に入手できるようになり、しだいにかき氷も普及した。明治初期には、函館五稜郭(はこだてごりょうかく)の天然氷が、蒸気船で東京、横浜へ送られるようになり、1869年(明治2)横浜の馬車道で町田房造がアイスクリームとともにかき氷を販売したのが、かき氷店の始まりといわれている。

種類 かき氷は、氷削り器とよばれる、鉋(かんな)を応用した器具で、氷塊を削ってつくる。氷を削ることで雪状となり、口あたりが柔らかで、シロップなどとなじみやすく、夏季の飲み物として広く親しまれている。

みぞれは、少し粗めに削った氷に無色のシロップをかけたもので、ちょうど自然のみぞれに似ているためこの名がある。みぞれ類にはこのほか、イチゴ、メロン、レモンなどのシロップをかけたものがある。器の底に小豆(あずき)の甘煮を入れて上にみぞれをのせたものを金時といい、シロップの種類により、いちご金時、宇治金時(抹茶)などとよぶ。


かき氷は、漢字では「欠氷」(日本国語大辞典)とも「搔氷」(日本方言大辞典)とも書く。奈良が「かき氷の聖地」と呼ばれるのには、理由がある。奈良市の「氷室神社」(奈良国立博物館向かい)では毎年5月1日に「献氷祭」が行われ、製氷・冷蔵・冷凍業者が全国から集まる。その初回が平城遷都の翌年、711年(和銅4年)に開催されたという。2014年(平成26年)からは「ひむろしらゆき祭(まつり)」がここで開催され、人気を博している(今年は3/23~24に開催された)。

奈良のかき氷は新雪のようにフワフワで、頭にキーンとこない。シロップもスムージーのようにフレッシュで濃厚、そんなかき氷が美味しくないわけはない。

なお「かき氷の日」は7月25日である。日本かき氷協会が制定したそうで、1933年(昭和8年)7月25日に日本最高気温を記録したこの日が、かき氷にふさわしい日であるというのが理由だ。また「夏氷」とも呼ばれるかき氷の「7(な)2(つ)5(ごおり)」という語呂合わせもその理由になっている。

皆さん、今夏もかき氷を食べに、奈良に来てください!

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