かつて「インターネット新聞 JanJan」というサイトがあり、私はよく原稿を送っていて、編集部長賞などを結構いただいた。そこで人気記事ランキングが出たことがあり、私の書いたもののうちでは、数々の力の入った記事を凌駕して、人気No.1は「緑茶はマイブレンドで」という短い文章であった。
私は緑茶が好きだが、ポケットマネーで100g1,000円を超える高価なお茶は、なかなか買えない。だから、高価な煎茶に安価なお茶(荒茶など)を混ぜて、できるだけ美味しく長く楽しめるようにしている、というつましい「生活の知恵」の話だった。この手は、わりと応用が利く。
現実に、紅茶やウィスキーには「ブレンダー」という専門家がいて、ニーズに合わせてベストなブレンドを作るということなので、ブレンド技術はいろんなところで実用化されているのだろう。考えてみれば、私も緑茶に限らず、いろんなブレンド物を(たいていは家内に内緒で)作っている。ここで、その一端を紹介する。
1.醤油のブレンド
私は醤油にこだわる。奈良県下の醤油であれば、片上醤油(御所市)、大門醤油(桜井市)、ナカコ将油(五條市)、黒川醤油(宇陀市)、宮滝醤油(吉野町)、向出醤油醸造元(奈良市)などの良質な濃口醤油を使っている(県外なら湯浅醤油)。しかし、やはり質の良い醤油は値が張る(大量生産のメーカーものは、極端に安い)。高価な醤油にメーカーものを混ぜても、高価な醤油の力で、醤油全体が美味しく味わえる。これはベースの醤油にもよるが、高7:安3くらいの比率が限界だろうか。重宝するのがメーカーものの薄口醤油で、高価な濃口醤油は、特に夏場などは変質しやすく、ねっとりと黒くなる。黒くなっても、薄口醤油で割ると、ちょうど良い濃さに調節できるのだ。いちどお試しいただきたい。
2.焼酎の水割り
マイブレンドの傑作が、焼酎の水割りである。九州では、焼酎をあらかじめ好きな割合の水で割って寝かせておき、必要なときにそれを燗したり、冷やしたりして飲むという話を聞いた。「これは良いかも知れない」と、早速、大きなペットボトルに何本も水割りを作り(私の場合のベストは、焼酎4:水6)、1か月程度寝かせておく。これで、グンと味の良い水割りができる。水の分子とアルコールの分子がうまく混ざり合って、マイルドな口当たりになる、とい理屈のようである。極端な話、ひと晩置くだけでも、味は少し改善する。
ペットボトルの代わりに陶製の徳利などに入れると、もっと味がマイルドになる。これを知ってから、焼酎はブランドにこだわらず、一番安い麦焼酎(クセがない)を買うことにしている。それまでよく買っていた炭酸も不要になり、夏にはそのまま冷やし、冬には熱燗にしている。気分に応じて梅干しなども入れる(小さく切ったダシ昆布を入れて熱燗にしても、美味しい)。注意すべきは水で、やはり水道水ではなく、家庭で浄化した水とか、ミネラルウォーターとか、なんとか還元水を使わなければならない。もちろん寝かす期間は、長いほど良い。
3.いつも満タンの濁り酒
あっさり旨口の日本酒が好きだが、時々、こってり甘口の濁り酒を飲みたくなる。しかし上等の濁り酒(四合瓶で1,500円くらい)を買っても、すぐになくなってしまう。そこで「ブレンド濁り酒」づくりのお薦めである。まず四合瓶の濁り酒の上澄み部分を、半分(全体の1/4)ほど飲む。そこに安い酒(「鬼ころし」など)を足すのである。冷蔵庫に入れて1日経てばあーら不思議、満タンの美味しい濁り酒ができでいる。また飲む、また足す。これを繰り返せば、いつも満タンの濁り酒を冷蔵庫にストックできるのである。気まぐれで、時々市販の「甘酒」などを足すが、これもまた味が変わって美味しい。
ブレンドという手は、いろんなところで応用できる。たまにいただく高級七味唐辛子は、100円ショップの一味唐辛子と混ぜると長く楽しめる。湿ってしまった粉山椒を混ぜても良い。また、初めて買ったふりかけの味が気に入らなければ、定番のふりかけと混ぜれば美味しく食べられる…。
株式の世界では「ナンピンの買い」という手法がある。持っている株式の価格が下がったとき、さらに同じ銘柄を買い増して、平均の取得価格を下げる、という手法である。醤油のブレンドなどは、高価な醤油に安い醤油を足して「平均の取得価格を下げる」ということなので、まさに「ナンピンの醤油買い」である。ぜひ皆さんも、お試しください。今日は、実にタメになる話を書いてしまった!
私は緑茶が好きだが、ポケットマネーで100g1,000円を超える高価なお茶は、なかなか買えない。だから、高価な煎茶に安価なお茶(荒茶など)を混ぜて、できるだけ美味しく長く楽しめるようにしている、というつましい「生活の知恵」の話だった。この手は、わりと応用が利く。
現実に、紅茶やウィスキーには「ブレンダー」という専門家がいて、ニーズに合わせてベストなブレンドを作るということなので、ブレンド技術はいろんなところで実用化されているのだろう。考えてみれば、私も緑茶に限らず、いろんなブレンド物を(たいていは家内に内緒で)作っている。ここで、その一端を紹介する。
1.醤油のブレンド
私は醤油にこだわる。奈良県下の醤油であれば、片上醤油(御所市)、大門醤油(桜井市)、ナカコ将油(五條市)、黒川醤油(宇陀市)、宮滝醤油(吉野町)、向出醤油醸造元(奈良市)などの良質な濃口醤油を使っている(県外なら湯浅醤油)。しかし、やはり質の良い醤油は値が張る(大量生産のメーカーものは、極端に安い)。高価な醤油にメーカーものを混ぜても、高価な醤油の力で、醤油全体が美味しく味わえる。これはベースの醤油にもよるが、高7:安3くらいの比率が限界だろうか。重宝するのがメーカーものの薄口醤油で、高価な濃口醤油は、特に夏場などは変質しやすく、ねっとりと黒くなる。黒くなっても、薄口醤油で割ると、ちょうど良い濃さに調節できるのだ。いちどお試しいただきたい。
2.焼酎の水割り
マイブレンドの傑作が、焼酎の水割りである。九州では、焼酎をあらかじめ好きな割合の水で割って寝かせておき、必要なときにそれを燗したり、冷やしたりして飲むという話を聞いた。「これは良いかも知れない」と、早速、大きなペットボトルに何本も水割りを作り(私の場合のベストは、焼酎4:水6)、1か月程度寝かせておく。これで、グンと味の良い水割りができる。水の分子とアルコールの分子がうまく混ざり合って、マイルドな口当たりになる、とい理屈のようである。極端な話、ひと晩置くだけでも、味は少し改善する。
ペットボトルの代わりに陶製の徳利などに入れると、もっと味がマイルドになる。これを知ってから、焼酎はブランドにこだわらず、一番安い麦焼酎(クセがない)を買うことにしている。それまでよく買っていた炭酸も不要になり、夏にはそのまま冷やし、冬には熱燗にしている。気分に応じて梅干しなども入れる(小さく切ったダシ昆布を入れて熱燗にしても、美味しい)。注意すべきは水で、やはり水道水ではなく、家庭で浄化した水とか、ミネラルウォーターとか、なんとか還元水を使わなければならない。もちろん寝かす期間は、長いほど良い。
3.いつも満タンの濁り酒
あっさり旨口の日本酒が好きだが、時々、こってり甘口の濁り酒を飲みたくなる。しかし上等の濁り酒(四合瓶で1,500円くらい)を買っても、すぐになくなってしまう。そこで「ブレンド濁り酒」づくりのお薦めである。まず四合瓶の濁り酒の上澄み部分を、半分(全体の1/4)ほど飲む。そこに安い酒(「鬼ころし」など)を足すのである。冷蔵庫に入れて1日経てばあーら不思議、満タンの美味しい濁り酒ができでいる。また飲む、また足す。これを繰り返せば、いつも満タンの濁り酒を冷蔵庫にストックできるのである。気まぐれで、時々市販の「甘酒」などを足すが、これもまた味が変わって美味しい。
ブレンドという手は、いろんなところで応用できる。たまにいただく高級七味唐辛子は、100円ショップの一味唐辛子と混ぜると長く楽しめる。湿ってしまった粉山椒を混ぜても良い。また、初めて買ったふりかけの味が気に入らなければ、定番のふりかけと混ぜれば美味しく食べられる…。
株式の世界では「ナンピンの買い」という手法がある。持っている株式の価格が下がったとき、さらに同じ銘柄を買い増して、平均の取得価格を下げる、という手法である。醤油のブレンドなどは、高価な醤油に安い醤油を足して「平均の取得価格を下げる」ということなので、まさに「ナンピンの醤油買い」である。ぜひ皆さんも、お試しください。今日は、実にタメになる話を書いてしまった!