近鉄特急から見た平城遷都1300年祭平城宮跡会場(2010/06/20 YouTube)
昨年11/7、当ブログで「近鉄の移設について、アンケートを実施中」という話を紹介した。その後、朝日新聞(10.11.23付)で「平城宮跡横切る近鉄線、移設の賛否に生の声を 県が調査」と大きく報道されたので、ご存じの方も多いことだろう。《平城宮跡を東西に横切る近鉄奈良線の移設をめぐって、県が初めて、県民や県外の観光客らを対象にアンケートを実施している。移設は長年の検討課題だが、ハードルは高いまま。県は県民らの生の声を参考材料にしたい考えだ》という趣旨である。
このほど、その結果がまとまったようだ。奈良新聞(2/19付)から抜粋して紹介する。見出しは《近鉄奈良線 「車窓から宮跡」好評 移設をめぐる県アンケート 木簡保全に関心》。《アンケート結果は、昨年の11月に県がホームページで行った調査で118件、10月31日~11月4日に1300年祭・平城宮跡会場と、近鉄奈良駅で行った聞き取りの1070件の1188件を集計。内訳は県内392件、県外786件で不明は10件だった》。
《近鉄線移設に際し「優先的に配慮すべき事項(複数回答)」で、計2600回答のトップは木簡などの文化財保全(646件)、2位は宮跡と周辺の良好な景観形成(440件)で、3位は「移設先の地域の生活環境」(359件)だった》。
《近鉄線が平城宮跡を通過して南北分断されている状況についてどう思うか(複数回答)、で最も多かったのは「車窓から宮跡が見えて奈良らしさが感じられる」が512件(県内219件、県外293件)。「宮跡内に近鉄線が存在するのはふさわしくない」206件(県内55件、県外151件)や「電車が通過するのは見苦しい」192件(県内62件、県外130件)などを上回った》《近鉄線を肯定する意見の中には「特別史跡指定前から通っており違和感がない」と、線路開通から80年以上たって、風景に溶け込んでいることを示すものもあった》。
近鉄線の南北分断に、肯定意見が512件で、否定的な意見398件を上回ったのは、やや意外だったが、奈良市の仲川市長も、上記の朝日新聞(10.11.23付)で「車窓から朱雀門と大極殿の両方が見られるのは魅力」と語っているように、すでに「溶け込んでいる」ということなのだろう。
朝日で《荒井正吾知事は3年前の知事選で、駅と宮跡内の線路の地下化推進を公約に掲げて当選。国土交通省が2年前に策定した国営公園化の「基本計画」は、景観や来園者の安全確保に配慮して線路の移設を前提とし、具体的な移設計画は「県が主体となって検討を進める」とまとめた。ただ、移設には困難が伴う。県は近鉄と技術的に可能な移設方法を検討してきたが、宮跡地下に構造物を造る場合、地下水の変動で地中の木簡に悪影響が懸念され、高架にすると景観を損なう。「成案を見いだせずにいる状態」(都市計画室)》ということだった。
今回の調査結果で、その膠着状態に一定の方向性を見出せたのではないだろうか。
昨年11/7、当ブログで「近鉄の移設について、アンケートを実施中」という話を紹介した。その後、朝日新聞(10.11.23付)で「平城宮跡横切る近鉄線、移設の賛否に生の声を 県が調査」と大きく報道されたので、ご存じの方も多いことだろう。《平城宮跡を東西に横切る近鉄奈良線の移設をめぐって、県が初めて、県民や県外の観光客らを対象にアンケートを実施している。移設は長年の検討課題だが、ハードルは高いまま。県は県民らの生の声を参考材料にしたい考えだ》という趣旨である。
このほど、その結果がまとまったようだ。奈良新聞(2/19付)から抜粋して紹介する。見出しは《近鉄奈良線 「車窓から宮跡」好評 移設をめぐる県アンケート 木簡保全に関心》。《アンケート結果は、昨年の11月に県がホームページで行った調査で118件、10月31日~11月4日に1300年祭・平城宮跡会場と、近鉄奈良駅で行った聞き取りの1070件の1188件を集計。内訳は県内392件、県外786件で不明は10件だった》。
《近鉄線移設に際し「優先的に配慮すべき事項(複数回答)」で、計2600回答のトップは木簡などの文化財保全(646件)、2位は宮跡と周辺の良好な景観形成(440件)で、3位は「移設先の地域の生活環境」(359件)だった》。
《近鉄線が平城宮跡を通過して南北分断されている状況についてどう思うか(複数回答)、で最も多かったのは「車窓から宮跡が見えて奈良らしさが感じられる」が512件(県内219件、県外293件)。「宮跡内に近鉄線が存在するのはふさわしくない」206件(県内55件、県外151件)や「電車が通過するのは見苦しい」192件(県内62件、県外130件)などを上回った》《近鉄線を肯定する意見の中には「特別史跡指定前から通っており違和感がない」と、線路開通から80年以上たって、風景に溶け込んでいることを示すものもあった》。
近鉄線の南北分断に、肯定意見が512件で、否定的な意見398件を上回ったのは、やや意外だったが、奈良市の仲川市長も、上記の朝日新聞(10.11.23付)で「車窓から朱雀門と大極殿の両方が見られるのは魅力」と語っているように、すでに「溶け込んでいる」ということなのだろう。
朝日で《荒井正吾知事は3年前の知事選で、駅と宮跡内の線路の地下化推進を公約に掲げて当選。国土交通省が2年前に策定した国営公園化の「基本計画」は、景観や来園者の安全確保に配慮して線路の移設を前提とし、具体的な移設計画は「県が主体となって検討を進める」とまとめた。ただ、移設には困難が伴う。県は近鉄と技術的に可能な移設方法を検討してきたが、宮跡地下に構造物を造る場合、地下水の変動で地中の木簡に悪影響が懸念され、高架にすると景観を損なう。「成案を見いだせずにいる状態」(都市計画室)》ということだった。
今回の調査結果で、その膠着状態に一定の方向性を見出せたのではないだろうか。