tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

奥明日香 さらら

2008年11月05日 | グルメガイド
郷土料理の店「奥明日香 さらら」をご存知だろうか。「旬どき・うまいもの自慢会 奈良」(10/12)で隣り合わせた明日香村在住のN浦さんご夫妻に、「明日香村で、美味しい店はありませんか」とお聞きしたとき、教えていただいたのがこのお店だった。
※旬どき・うまいもの自慢会 奈良~08年秋の集い~(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/tetsuda_n/e/80646e7e1a8207dc6501724aeabf73f4

村おこしの一環として、奥明日香の女性グループが地元の食材を使った料理を提供しているという。場所は、明日香村稲渕の奥にある「関西大学飛鳥文化研究所」のまだ奥(吉野寄り)の、栢森(かやのもり)というところだ。道が細いという印象があったが「普通車でも、全然大丈夫」ということだったので、訪ねてみた。



稲渕の棚田を経て関大の飛鳥文化研究所を過ぎると、ごく短い区間だけ道路が細くなっている。よく見ると神社(飛鳥川上坐宇須多伎比売命神社)があった。そのせいで、ここだけ拡幅できなかったのだ。

「さらら」の前には小さな駐車場があるとのことだったが、進入路の道幅が狭かったので、途中で車を停め、村の旧道を少し歩いた。傍らを飛鳥川の清流が流れている。



坂道が二股に分かれるところがあり、足元を見ると、こんなところに花がある。



下に回ると、ご覧のような野仏だった。よほど古い仏さまだろう、お顔がすっかり摩滅している。それでも村人が花を手向けているというのは、すごい。「さらら」は、もう目と鼻の先だ。




「さらら」の入口


蟷螂(カマキリ)が 暖簾(ノレン)の上から いらっしゃい!

一見、普通の民家だ。ノレンがないと、入るのをためらうところだった。カマキリだけでなく「さらら」代表の坂本博子さんと、食事に来られていた旧知の県職員・Tさんにも出迎えていただいた。Tさんは、吉野から飛鳥を歩くウォーキングを企画されていて、「さらら」を途中の休憩地と想定されているようだ。

「さらら」のHPに、詳しい説明が載っている。《明日香村の奥座敷のような位置に奥明日香三大字(明日香村稲渕(いなぶち)・栢森(かやのもり)・入谷(にゅうだに))があります。1300年以上昔、天武天皇の皇后鵜野讃良皇女(うののさららのひめみこ:後の持統天皇)が吉野へ足しげく通われた道沿いでもあります。「さらら」の命名はこの「さらら姫」に由来します》。

《奥明日香の活性化を推進する「神奈備の郷活性化推進委員会」が平成14年に結成され、「特産品研究開発部会」という女性グループの活動がはじまりました。「奥明日香に人を呼ぼう!」と農山村に伝わる素朴な加工品作りや、稲渕にある宇須多伎比売命神社の社務所で年数回のお食事会を企画し、伝統を受け継いだ手料理を「さらら膳」として提供するようになったのです》。なんとこれは、先ほどの道幅が狭くなっていた場所の神社だ。


畳部屋。結構広い

《活動の幅が広がるにつれて、お客さん達とのおしゃべりをゆっくり楽しみながら、田舎の自然や、食の豊かさを発信していくために、借り物ではない自分たちの拠点をもつ夢が生まれました。栢森の古い田舎家を買い取り再利用することにし、みんなの手で改装。平成20年4月、ほっこりとした食事とお茶を楽しめる店「ふるさとの食 奥明日香 さらら」が生まれました》。

《さららの食材の90%は地元でとれた野菜、山菜です。たまに、奥明日香へ懐かしいお袋の味を食べに帰りたくなる。そんなお店を目指しています》。《ゆったりとお過ごしいただくために「さらら膳」は先着順完全予約制です。お席に余裕がある場合に限り当日でも予約は承ります》。


洋間。掃除が行き届き、内装も良い

そのお料理が、冒頭の写真である(「さらら膳」2500円)。料理が来たのですぐ撮ろうとすると、Tさんが「まだ天ぷらが来ますよ」と教えて下さったので、3分間待ってから撮った。

ご覧の通り、薄揚げと大根の煮物、大根餅(すり下ろした大根を片栗粉で固めたもの)、手作りコンニャク、なます、鯖の味噌煮、神奈備(かんなび)豆腐、サツマイモとニンジンの天ぷら、赤米入りのご飯などの素朴な田舎料理である(デザートと、コーヒーまたは紅茶がつく)。割り箸はヒノキの天削(てんそげ)箸だ。素材の味を活かしたあっさりした味付けで、とても美味しい。「飛鳥の食」と聞いて、思いつくのは生姜の佃煮くらいのものだが、よくこんなにたくさんの料理を誂えたものだ。

いただいていると、庭のススキが傾き始めた光を受けて、キラキラと輝いている。網戸では、チョウが日向ぼっこしている。時間が止まったような、何とものどかな光景である。





「さらら」は、(財)南都経済センターの月報(10月号)の「観光まちづくりレポート」でも紹介されている。《女性部員数名が、それぞれ自信のある地元の食材を使った料理を1品ずつ持ち寄った。その中には「自分が知らないような珍しい料理」も多くあり、改良を加えることで商品化できるのではということになり、郷土料理「さらら膳」を作り出した》。
http://www.nantoeri.or.jp/geppou/saisin.html

民家を買い取る資金は、メンバーが自己資金を持ち寄った。《オープンに当たり、行政等の補助金を全く受けなかったことは特筆すべき事であろう。「奥明日香 さらら」ではこれからも家庭の味、地元の味を提供していくとともに、新たに2階部分を村内作家の作品展示スペースにする構想もあり、今後、奥明日香の情報発信基地としての役割も担っている》。

「さらら」は奈良の「観光まちづくり」に貢献する、立派な「0.1カラットのダイヤモンド」だ(村田武一郎・奈良県立大学教授曰く「10カラットのダイヤモンド1個より、0.1カラットのダイヤモンド100個が大切」)。

代表の坂本さんは、HPの中にブログもアップされ、お店の近況や、ここで行われた「スターの恋人」ロケのことなども、さりげなく紹介されている。
http://okuasuka.cocolog-nifty.com/blog/

こんな山村で、都会人を引きつけるお店があるというのには驚くし、これまでのご努力には頭が下がる。雰囲気は良いし、お料理は美味しいので、明日香村周遊の際には少し足を伸ばして、ぜひ立ち寄りいただきたい。なお「さらら膳」は前日までに要予約なので、ご注意を(予約不要の喫茶メニューもある)。
※参考:「さらら」のホームページ
http://okuasukasarara.kir.jp/index.html

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