テスラ研究家・新戸雅章の静かなる熱狂の日々

エジソンも好きなテスラ研究家がいろいろ勝手に語っています。

★変な科学者の話(3)リチャード・カーワン

2005-08-18 20:10:02 | Weblog
 奇妙な強迫観念、強迫行為に悩まされつづけた大学者リチャード・カーワン。彼は体をねじらないと食べ物が呑み込めず、それを見られるのを恐れて食事はいつもひとりだった。
 ハエをとてつもなく憎み、殺して持って来た使用人には一匹ずつ金を払った。一番の心配のタネは風邪がもとで死ぬことで、それを避けるため真夏でも暖炉を燃やしてその前にじっと座っていたという。
 裕福なアイルランドの家庭に生まれたカーワンはフランスの大学で化学を学び、若くして父親の莫大な遺産を相続した。32歳で妻を亡くしたあとはすべての時間を学問にあてた。そして法律、論理学、言語学、化学、鉱物学、哲学、鉱業、地質学、気象学などの分野で一流の業績を挙げた。晩年はアイルランド学士院の総裁を務め、死の直前まで膨大な数の論文を提出しつづけた。
 化学では化学的親和力の研究が有名で、塩類の誘引力や比重に関する実験は分析化学に重要な貢献を行った。気象学ではアイルランドの天候記録を利用して、天候の長期予報システムを開発した。このとき彼が用いた数学的方法(自己相関)は今日、様々な学問分野で用いられている。鉱物学では比重の違いを用いた鉱物選鉱法を提案、英語で書かれた最初の体系的な鉱物学入門書をあらわした。
 この百科全書的な知識や創造性と、その不可解な強迫観念はどうつながっていたのだろうか。