TENZANBOKKA78

アウトドアライフを中心に近況や、時には「天山歩荷」の頃の懐かしい思い出を、写真とともに気ままに綴っています。

柿との戦い

2021年11月15日 | 畑・園芸・工芸・片付け
実家に一本の柿の木があります。渋柿です。
私が物心ついたときには既に大樹でした。
父や祖父の話から想定するに、樹齢は100年を越えています。



老木なのですが、例年沢山の実をつけます。
特に今年は豊作で、優に500個を越えました。1本の柿の木で…

実は、この柿の木が悩みの種でした。
週末に実家に帰るのですが、帰る度に、夥しい数の熟した柿が庭に落ちているのです。
1日に3個落ちたとしても、1週間では20個を越えます。
その後始末が大変でした。

初めの頃は、熟した柿を採っていたのですが、とても食べきれません。


(熟柿)



ジャムや羊羹に加工したのですが、そんなに食べられるものではありません。
そこで、先手を打って、柿が熟する前に柿を採ることにしました。


(小屋に梯子を掛けて採取)



生ゴミとして廃棄も考えましたが、せっかく実ったのだから何か有効利用ができないかと考え、地元の直売所に相談し、無料で引き取ってもらうことにしました。
「干し柿を作る人にどうぞ」と。
また、干し柿ができるように枝は丁寧に残しました。



いい人にもらってもらえよ…


直売所には100を越える柿を持ち込んだのですが、とても喜んでもらいました。

熟す前の柿を採取したので、しばらくは熟柿のポタポタから解放されていたのですが、2週間経つとまた夥しい柿が色づきました。
柿採取第2弾では、1回目を越える150個にもなりましたが、これも直売所に無料で引き取ってもらいました。

さらに第3弾でも150個。
さすがに直売所も迷惑だろうと、姉に電話したら
「10個なら」

落胆していたら、姉から電話が来て、「お隣さんが50個欲しい」とのことで少し捌けました。
お隣さんは干し柿用に、毎年渋柿を購入されているとのことで、この話に大変喜ばれたそうです。
さらに、ダメ元で職場に50個持っていったところ、これまた喜ばれ、即完売(もちろん無料)。
また、ものは試しにと、義父がお世話になっている介護施設に電話したら、こちらも喜んでもらってくださいました。この施設も、この時期には、入所されているお年寄りと干し柿作りをされるそうです。

そんな訳で、第3弾は身近なところであっという間に捌けました。

その頃、期せずして、ステキなプレゼントが届きました。
ジャーン!


例の直売所からです。
干し柿になって帰ってきました。
私は干し柿は好きではなかったのですが、せっかくだからと食べてみると実に美味しいではないですか。食わず嫌いだったのでしょうか、それとも歳がいって好みが変わったのでしょうか、いずれにしても、しみじみと美味いと思いました。

そして第4弾。柿との戦いの最終章です。
今回の柿はこれまでのように簡単には採れないところになっています。
放置すれば熟柿爆弾が降ってきます。
そこで、柿採取マシーンを作りました。(果実採取用高枝切り鋏は4000円~6000円もするので)

ジャーン!


じいちゃん直伝の柿採り棒!
確かこんなんだったよなと、昔の記憶をたどりながら鉈と小刀で作ってみました。
半信半疑で使ってみると
すごい!


たったこれだけで、落ちない。


反対側


昔の人の知恵はすごい!



実は、あれだけ憎々しかった柿が、このときにはそうでもなくなっていたのです。
干し柿の美味しさを知ったからからでしょうか…

今年最後の柿


この柿は自分で干し柿にすることにしました。(何という変わりよう)

柿を干す準備




物干しがないと言われていたので、園芸用の支柱で作りました。

そして皮むき
(これが苦手なんだな…)


私が剥くと、皮がポトポトとちぎれます。
自分でもヘタだなと思いながら剥き続けます。

ある光景が蘇ります。
ワンゲル初めての合宿、新歓登山でのテントの中…

あの日は雨だったので、テントの中で晩飯を作っていたのですが、そのときのU野さんの包丁さばきです。ジャガイモの皮を次から次に、瞬く間に剥かれたのです。
あまりの鮮やかさに、目が点になったのを今でも覚えています。

ジャガイモをクルクルと回しながら、つながった1本の皮が落ちたときには剥き上がりです。その間数秒。
U野さんは2期上の先輩で、佐賀の大和町のご出身です。
大和町は干し柿の特産地ですが、U野さんが言われるには、小学校に上がる前から、家の手伝いで柿剥きをしていたとのことでした。

あんな風に柿を剥きたいと思いながら剥くのですが、簡単にはうまくなりませんでした。

柿の皮(一方が私で、一方がつれ合いが剥いたもの)


熱湯につけて


完成!





長かった…
ついに柿との戦いに終止符です。

「戦い」という言葉を使うほど、柿は憎々しかったのですが、今では愛おしさの感情に変わっているので、自分でも不思議です。
私にとって柿は、初めは面倒なだけの存在でしたが、柿と関わる中で、それを有り難いと感じる人と出会い、柿の価値に気づかせてもらいました。

来年以降も、喜んでもらってくれる人にお裾分けしながらも、自分でも干し柿を作っていこうと思いました。


番外編
柿の実は無くなりましたが、今度は葉っぱが…




ドラム缶いっぱい。
柿との戦いは、後しばらくは続く…
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