闇に響くノクターン

いっしょにノクターンを聴いてみませんか。どこまで続くかわからない暗闇のなかで…。

寓居で若者たちと雑談する

2009-12-07 22:28:57 | 雑記
一昨日は、五月に六本木で歓談したO君(以下、仮に小原君と呼んでおこう)とS君(以下、仮に須藤君と呼んでおこう)が新居での私の生活ぶりを見てみたいというので、二人を寓居にお招きし、簡単な午餐と雑談をともにした。
以前も書いたが、小原君と須藤君はもともと同じ大学の同級生で、日本史関係の同じゼミを受講しているうちに仲が良くなったらしい。いっぽう私はというと、そのゼミの教官から日本史のことをいろいろ個人的に教えていただいていたので、そんな縁で二人と知り合ったという次第。実は小原君はゲイで、私は須藤君もゲイに違いないと決めつけていたのだが、先日お会いしたときに、「闇太郎さんは私のことをゲイだとおもってらっしゃるようですが、そうではありません」ときっぱり否定されてしまった。それにしては、小原君と須藤君は波長が合って、いつも仲良く交際しているようなのだが、純粋に知的関心の方向性が合致しているということなのだろう。ちなみに、小原君はもう大学を卒業して社会人として生活しており、一方須藤君は大学院に残って日本史の研究を続けている。

当日は、ともかく若者が二人遊びに来てくれるというので、まずは伊○丹に買出し。K堂で電車に飛び乗ると、向かいの席に、若作りのかっこうで帽子を目深にかぶったおじさんときちんとスーツを着て重そうな鞄をもった青年の奇妙なカップルが目にはいる。不思議なとりあわせと少し観察するうちに、若作りのおじさんは指揮者の小○征爾さんだと気がついた。隣の青年はどこかの音楽事務所の関係者なのだろう。めったにない機会なので、私は、見るともなく素顔の小○さんをしっかり観察させていただいた。そしてまた聞くともなく聞いていると、二人はミュージカルの話などをしているが、話題が一つ片付くと小○さんは目をつぶって黙っている。それで瞑想しているかとおもうと、時折、指先が指揮をするときのように動いているのがおもしろい。なにか曲のことを考えているのだろう。10数分二人を観察しているうちもう新宿。二人は雑踏のなかに消えていった。

さて伊○丹では、このところ気に入っているシーキューブのケーキと前菜を少し買い込む。それだけだとおなかがすくので、メインは玉葱のファルシーにした。

それから急いで寓居に戻り、部屋を片付けたり簡単なテーブル・セッティングをする。そのうち約束の時間になって小原君からK堂に着いたという電話がはいる。商店街のコンビニを目印に来て欲しいと告げてから、彼らがコンビニ前に着くタイミングを見計らって迎えに行く。ところがコンビニの前まで着いても二人は影もかたちもないので、ゆっくり歩いているのかとおもい私も駅に向かって少し戻ってみるが、それでも二人は見つからない。「あ、もしかして」とおもってコンビニと駅のあいだにある古本屋を覗くと、案の定、本好きの二人はそこにひっかかっている。「やっぱり」とか笑いながら挨拶をし、二人を寓居に案内。

それから、先日購入したばかりのグラスにワインを注ぎ、準備していた前菜を出して雑談開始。三人でこうして会うのは約半年ぶりということになるが、午後二時に話し出して気がついたら夜の九時になっていた。まだいろいろ話したいところだが、とりあえずそれは次回ということにして、二人をK堂駅まで見送った。

雑談のなかみはやはり日本史のことが中心だったが、そのなかでは、平安時代から鎌倉時代への移行期の政治と文化の係わり合いをどうとらえるか、この時代、和歌を詠みまたそれを勅撰集として編纂するのはどのような行為であったか、日本の貴族社会とヨーロッパの貴族社会の違いはなど、とりとめもなくいろいろと議論しあった。
ワインを飲みながらの自由発想的な話だったので、筋道も結論もないのだが、三人の会話がどのようなものだったかをご想像いただくために、以下に、会話の主な登場人物を思い出せる範囲であげておこう。

白河院、後白河院、後鳥羽院、花園院、藤原頼長、兼実、良経、慈円、俊成、定家、親鸞、井筒俊彦、黒田俊雄、五味文彦
マルクス、フーコー