青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

薔薇の咲く駅、松川駅。

2021年05月13日 17時00分00秒 | 長野電鉄

(中野の街の片隅に@中野松川駅)

山ノ内の鯨回遊、お次はどこで撮ろうか・・・と考えて、中野松川の駅にやって来ました。信州中野から湯田中まで、山ノ内線内には6つの駅がありますが、だいたい信濃竹原・夜間瀬・上条・湯田中近辺で撮影していて、松川界隈は今まであまり積極的にやっていなかったんよね。この駅も、開業当時からの長電スタンダードとも言える木造駅舎が残されていて好ましい雰囲気です。ただ、これは全国の鉄道事業者の方に申し上げたいのだけど、折角好ましい姿をした駅舎の真ん前に自動販売機をドカンと置くのはどうにかならないのか・・・と勝手ながら思ってしまいます(ex.地鉄の西魚津とか)。

行燈の駅名表のレトロな書き文字と「旭製パン」の広告。朝日の中で食パンが輝いている意匠に何とも言えない暖かみを感じます。これは中野市内の電話番号の数が下四桁で収まっていた時代に作られた看板のようです(最初、市内局番も表示からカットしていたのかと思ってましたが、そもそも市内局番がなかったんですね)。こんな古い看板に掲載されてるお店なんかもうやってないんだろうな・・・なんて思ってたんだけど、どっこい駅前通りのすぐ先で今でも営業しているらしい。ちなみに折角の行灯式なのに、中の電源はずーっと昔から抜かれたまんま。灯りが付いてるのを見た事はないですね。

中野松川の駅と言えば「バラの駅」。駅からほど近いところにある一本木公園では毎年5月の終わりに「信州なかのバラ祭り」が開催されて、駅前にはバラの花で出来たタワーがお目見え。開催期間中はこの中野松川の駅にも特急が臨時停車し、祭りに花を添えるのが通例です。今年は気候の進みが早いので、早咲きのバラの一つや二つ咲いてねえかな、と辺りをウロウロしたものの、めぼしい花はなく。時間切れ、とばかりに駅横の踏切の鐘が鳴り、マッコウクジラの信州中野行きが出て行きました。

最近の鯨の運用は、朝早く須坂を出て来て昼までは中野~湯田中の機織り運用。中野で折り返した湯田中行きを、駅の北側のシバザクラのじゅうたんでパチリ。隣の小学校の校庭から賑やかな声、コロナ禍の中でも校外活動が行われているらしく、シバザクラのそばで這いつくばっているオジサン(私)を見ては怪訝な顔をする。決して怪しいもんじゃござんせんので、そんな目で見ないで欲しい(笑)。

線路っぱたのハエ叩き的なケーブル柱が若干気にはなりますが、シバザクラのバックには冠雪した妙高の凛々しい姿。引き付けて撮ると、大きな枕ばねが特徴のSUミンデン型の台車が引き立ってそれもまた佳し。日比谷線の3000系は、車両として完全体で移籍したのは長野電鉄だけでしたけど、他の廃車体から捻出された台車や冷房装置やその他の艤装品は京王重機整備を中心にした改造を通じて全国の地方私鉄へ納入され、各地の鉄道会社の体質改善に貢献したのは特筆すべき事象かもしれません。鯨は肉や骨など「捨てるところがない」と言われたほどに用途が多かったそうですが、こと電車の世界においても、それは変わらないようです。

10時台の中野行きには、街へ向かう数人の乗客の姿が。一日100人にも満たない中野松川の乗降客。少しクルマで行けば列車の本数も多い特急停車駅の信州中野がありますが、どっこい松川駅も頑張っています。昨年はコロナ禍の中でバラまつりは中止になったんだそうですが、今年は開催されますでしょうか。祭りの開催によって、駅に賑わいが戻る事をお祈り申し上げます。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 鯨がやって来たあの頃。 | トップ | 春の風 集めて爽し 山ノ内 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

長野電鉄」カテゴリの最新記事