青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

龍暴れる年明けに。

2024年01月02日 11時00分00秒 | その他私鉄

(2024年初乗車@十国峠ケーブルカー)

2024年、新年あけましておめでとうございます。元旦は朝の4時半に起きて、上の息子と静岡県は熱海市の十国峠まで初日の出を見に行ってきました。いつもは朝9時からの営業のケーブルカーも、この日ばかりは元旦の初日の出営業で朝5時から運行を開始しております。日の出の時間は6時50分頃と聞いておりましたんで、小田原厚木道路と箱根新道を登って現地到着は朝の6時。既に十国峠の駐車場は満車に近い盛況っぷり。去年は大山阿夫利神社の境内で初日の出を迎えたのですが、今年も乗り始めは鋼索線。淡い水色と白のパステルカラー&金太郎塗りのカラーリングがなんともかわいらしいケーブルカーは、昭和31年日立製作所製造の年代モノ。昔は青と赤の金太郎塗りだったような気がするんだけど、経営が伊豆箱根鉄道から富士急グループに譲渡されたそうで、そこらへんもあって変更されちゃったんですかね。

右に伊豆大島を望みながら、相模灘の向こうからゆっくりと登って来る初日の出を拝む。穏やかに2024年の年明けを迎えたあとは、自宅に戻って家族とささやかな正月料理でお祝いの席を持つ、いつものお正月。朝早く起きたので、お神酒の日本酒が回ってしまったかたっぷりと昼寝をしてしまったのですよね。子供に起こされて午後遅くになってから地元の氏神様に初参りに行ったんだけど、戻ってきたところで能登半島地震の発災。2024年の元日からこんなことが起きるなんて、神様がいるのだとしたら随分とあんまりじゃないかなという・・・。夕方からは能登を中心に北陸地区の被害状況を報ずるニュースにくぎ付けになってしまった。輪島市、珠洲市を中心にした能登半島の被害もそうだが、震源から離れた新潟市内も軟弱地盤の液状化で相当に被害が出ている。子供の頃に見た新潟地震の写真を思い出します。

奥能登・白米千枚田の春。いつぞやのGW、能登半島をクルマで一周したことがあった。今のところ情報がないのだが、日本海に続くこの美しい風景もどうなっているのか。昨日来の地震により、観光地としても有名な輪島の朝市通り一帯は大火で焼失してしまった。否が応でもこういう地域のシンボルというか、心の拠り所みたいなものの喪失ってメンタルの部分に来る。地元の人にしてみたら身を引き裂かれる思いだろう。まだ被害の全容が分かっている訳でもなく、人的被害も物的被害もどこまでになるのか、そして頻発する余震はいつまで続くのか・・・そもそも三年前くらいから珠洲市周辺では年単位のオーダーで地震が頻発していたわけだけど、これ以上の被害に発展しないように祈る事しかできないのはもどかしいのだが。

被害に遭われた皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げます。

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新年あけましておめでとうございます。

2023年01月01日 18時00分00秒 | その他私鉄

(2023年が明ける@相州大山・阿夫利神社)

謹賀新年。毎年恒例の初日の出撮影、ここんところは手近なところで七里ヶ浜の海岸から見る事が多かったのだけど、ちとマンネリ感もありましたので今回は初参りを兼ねて相州は大山(阿夫利山)へ登って来ました。新東名の伊勢原大山ICってのが出来たんで、自宅からリアルで30分くらいで行けるようになったのもポイント。まあ近くなったからって大山にそう何度も行く訳でもないんだけど、正月くらいはその恩恵をフルに活かしてみようかなと。上の息子も行くって言うんで、朝5時に家を出て大山ケーブルに乗り、阿夫利神社の境内に入ったのが午前6時。とりあえず初日の出の前にお参りを済ませてお札を授かる。2023年の払暁の時、明けて行く相模平野を眺めながら日の出を待つ。

七里ヶ浜の海岸だと、人は多くとも砂浜なので好き勝手な場所で見れるし、そう混雑した感じもないのですが、さすがに阿夫利神社の境内からという事になると見る場所が限られている。いい場所は既に抑えられていたため、初日の出は人の頭越しに。今年は相模湾上に厚い雲がかかってましたけど、基本的には晴れベースなんで雲通過後の初日の出をバッチリと拝めましたね。境内には初日の出に合わせて大きな太鼓の打ち鳴らしと同時に「君が代」が流れて来て、思わず胸に手を当てながら日本代表の如く2023年の夜明けを迎えたのでありました。

つつがなく初日の出のイベントを終え、参拝客が一斉に下山する頃合い。大山ケーブルも、10分ヘッドの最高頻度で客捌きをしていたのだが、さすがに元日の多客期。下山迄30分ほど待たされる。ともあれ、また新しい年のスタート。この歳になって、新しい年に改めての感慨とか皆無になって来たってのはあるんだが(笑)、TL諸兄に置かれましては、趣味商売家庭ほか森羅万象に幸多からんことをお祈り申し上げて、年頭のご挨拶とさせていただきます。

本年も宜しくお願い申し上げます。

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さよならお山のモノレール

2019年10月27日 23時00分00秒 | その他私鉄

(不忍の空を飛ぶ@上野動物園モノレール)

日本最古、そして日本最短の距離のモノレールとして、半世紀以上に亘って上野の山を行き来していた上野動物園モノレール。折からの設備の老朽化と諸般の事情により、今月の31日を最後に運休となるということで、最後の姿を撮影しに行って参りました。ホントだったら、今日は群馬の上毛電鉄でデハ101(ツリカケ旧型電車)が走るんで、そっち行きたかったんだけど子供(お父さんばっかりずるい!自分も行く!)とヨメ(明日学校でしょッ!まだ明日の宿題もやってないのにそんな遠出はダメッ!)の許可が下りなかったのでしょうがない。

最近台風だ台風だ大雨だと週末ごとに災厄続きの日本列島。スカッ晴れとは行かないまでも、今週は久しぶりのまともな天気の週末。家族全員での外出も本当に久しぶり。下の娘は上の子とどうしても趣味が合わないのでなかなか外に連れ出してやれなかったんだけど、今日は動物園でパンダとペンギンを見てご満悦でありました。つーか、パンダあんだけ並んで一匹だけしかいねーでやんの。もっと仕事しろ(笑)。モノレールもねえ、何だかんだお名残り乗車の人がかなりいて、30分くらい待ったでしょうか。おかげで一番前のいい席を子供と陣取ったんだけど、あんだけ並んで1分30秒のはかなき空中散歩は、150円のささやかなアトラクションなのでありました。

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モダニズムイン六甲

2019年08月11日 17時00分00秒 | その他私鉄

(阪神間モダニズム@六甲ケーブル六甲山上駅)

摩耶ロープウェイの摩耶山上から、阪急バスに乗って六甲山上を縦走。六甲ケーブルの六甲山上駅にやって来ました。こちらもまたアールデコ調のクラシカルな駅舎、六甲ケーブルが出来た昭和初期からの伝統ある建造物です。この六甲ケーブルに限らず、鋼索線やロープウェイの駅には時折おやっと思うほど伝統と風格が感じられる駅舎があるような気がしますね。おおかたの駅が立地の厳しい山岳地帯にあって、容易に再建築が効かないということもあるんだろうけど、開業当時の姿をそのまま残している事が多い。

六甲山の中腹に立つ六甲山上駅は、地上3階地下1階の規模を持ちます。外壁のところどころにレリーフがはめ込まれるなど、標高は730mの位置にあり、摩耶山ロープウェイの星の駅(山上駅)に比べると70m程度低い。屋上の展望台は昭和天皇の行幸を仰いだこともあって、天覧台と呼ばれている。先ほどの眺めに比べ、やや目線が下がっているのがお分かりいただけるだろうか。

昭和初期に、阪神・阪急の両私鉄によって競うように開発された西宮・芦屋・灘などの表六甲各地区には、西洋のエッセンスを取り入れつつも日本文化と融合させた「阪神間モダニズム」という都市形成のムーブメントがありましたが、この六甲山上駅もその潮流に沿った形で出来た駅なのでしょう。大きくゆったりとした車寄せと、西洋のホールを思わせる高天井の待合室。裾の広がった丸階段と、階段の仕切りについた丸窓にコンセプトの統一感があって佳き。陳腐な表現だが、なんというか、松屋に代表されるような昭和の銀座のデパート感というかね。レトロお洒落だよね。

さて、六甲ケーブルで麓まで降りる事にします。摩耶ケーブルはあんまり化粧っ気のないフツウのケーブルカーだったけど。こっちはガッツリと観光施設的自覚に満ち溢れた雰囲気で、山の下手側の車両はオープンエアーのトロッコ車両になっていました。分かる人にしか分からないと思いますが、かつて下津井電鉄が起死回生で製造したメリーベル号のような、あーいう感じです。

大きく六甲の森の爽やかな空気を取り込みながら、山麓までは約10分。途中に何本もトンネルがあったりして、アトラクション的にも結構楽しめます。距離の1.7kmってそこそこ長いんじゃないですかね。と思って調べてみたら、比叡山坂本ケーブル(2,025m)に次いで日本第2位の長さ(1,764m)なんだそうな。坂本ケーブルが中間駅を挟んでの全長という事を考えると、山麓~山上間のワンスパンを一気に上り下りする六甲ケーブルは駅間距離が日本一長いケーブルカーと言えます。

摩耶ケーブルは駅前(摩耶ケーブル下)まで行くバスの本数が少ないのだけど、六甲ケーブルは山麓駅の前にバスターミナルがあって、阪急六甲やJR六甲道、阪神御影方面へ路線バスが結構頻繁に走っている。六甲山観光のルートは大まかに言えば二つありまして、我々が使った六甲ケーブルから山上バスで摩耶山に抜けてまやビューラインを使うルートと、六甲ケーブルから山上バスと六甲有馬ロープウェイを使って最終的には有馬温泉に出るルートがあるのだが、どちらかというと有馬温泉ルートの方がメジャーみたいですね。ちなみに有馬温泉ルートを使いたい場合は「六甲有馬フリーきっぷ」を利用するのが良いようです。あー、これ使うと有馬温泉で金の湯に浸かれて、神鉄も北神急行電鉄も使えたのか。そっちでも良かったかなあ(笑)。

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港都神戸を睥睨し

2019年08月10日 17時00分00秒 | その他私鉄

(坂道の街を走る@神戸市営バス)

日中の暑さを避け、明石海峡大橋の展望台で涼しい時間を過ごした後は、JR神戸線で三宮に戻って参りました。今回、神戸観光に使ったのが「六甲・まやレジャーきっぷ(阪神版)」。今回の神戸・大阪・奈良三都旅では、毎日一つずつこの手のフリーきっぷを使いました。いわゆるJR的な三都物語ってのは神戸・大阪・京都だったと思うがそれはまあどうでもいい。乗車券が割引になったり乗り放題のエリアがあったりと便利なのはもちろん、ルートがパッケージングされているのでプランニングが楽だという利点もある。ようはアレコレ考えずにフリーパスの推奨コースに乗っかってしまおうという安直な考え(笑)。

夕方に近付き、ようやく少し太陽も西に傾いた。三宮駅前から摩耶ケーブル行きのバスに乗車したのだが、さすがに神戸はすぐ裏に六甲・摩耶を抱える坂の街。バスがこんな坂登るのかい!と思わずツッコミを入れたくなるような急坂を登って、バスは摩耶ケーブル下の停留所へ。停留所から見える路地からの眺めはいかにもな坂の街神戸のソレで、立ち並ぶ住宅の向こうに瀬戸内海が見える。三宮からかなり登ったんだなあ。

三宮からバスで20分。摩耶ケーブル駅は、坂道の住宅街のど真ん中にありました。もっとこうケーブルカーってーと観光地観光地した場所にある感じを勝手に想像していたのだが、周りが普通の民家なので幾分場違いな感じすら受ける。夕方のケーブル駅は日曜日の割にひっそりとしており、我々の他はアジア系のカップルが一組のみ。

摩耶(まや)山は、神戸の中心街の真裏にそびえる標高703mの山。六甲・摩耶観光の目玉と言えばもちろん「100万ドルの夜景」「日本三大夜景」と言われる神戸・大阪方面の夜景。摩耶ケーブルとロープウェイを使って、「掬星台(きくせいだい)」という展望台に上ることが出来ます。ただこの時期はまだ日が長くて日没が7時頃と正直夜景まで待ってられないというのはあるんだよなあ(笑)。「六甲・まやレジャーきっぷ」では摩耶山上から六甲ケーブルまで六甲山上を縦走するバスに乗車出来るのですが、このバスが午後5時半過ぎに終わってしまうというのもある。折角なので、どっちのケーブルにも乗りたかったのでねえ。摩耶ケーブル駅から終点の虹の駅までは標高差約300m。摩耶山の山肌にしがみつくように敷かれたレールをよじ登って所要時間は5分程度。中間点から終点に向かっては結構な斜度がありましたねえ。

虹の駅で摩耶ロープウェイにお乗り換え。この摩耶ケーブル&ロープウェイを総称し「まやビューライン」の愛称で呼ばれています。ロープウェイから芦屋・西宮・大阪方面の眺め。右手前の山にある古い建築物は摩耶観光ホテルと言う廃ホテル。廃墟趣味者には「マヤカン」と呼ばれつとに有名な物件で、昭和初期のアールデコ様式と西洋建築の技術をふんだんに活かして建てられたホテルが山中で静かに遺されています。ちなみにこのホテルを建てたのは現在の摩耶ケーブルを敷設した摩耶鋼索鉄道。六甲摩耶地域の、いわゆるリゾート開発の一環だったようです。

摩耶山山頂から夕方の神戸の街を。ケーブルとロープウェイで楽に登れてしまうのだからありがたい。遥か大阪の街から六甲アイランド、ポートアイランド、そして神戸三宮までを一望のもとにする展望台。港都と言われる神戸の街らしく、沖合に浮かぶは無数の船。これほどの展望なので、さぞかし夜景は美しいものと思われるが、これから2時間以上待ってなきゃならんのもそれはそれでかったるい。なんか時間潰せるような場所でもあればよかったんだけど、山の上は展望台が広がるばかりで、あくまで景観を見に来るだけの純粋な施設と言った感じ。ロープウェイ駅にBBQテラスみたいなのがあったから、バーベキューでもやりながら夜景を待ったりするくらいは出来るのかもしれないけどね。

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